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夜中のピザかと思えば

数日前、夜中の11時か、すでに12時すぎだったかもしれない、腹が減ったので、ピザをネットで注文した。
サイトの表示には「30分以内に届く」とか書いてあったが、いざ注文すると、
「届くのは翌朝の午前11時半」
ということになっていた。

「30分以内に届く」のは、あくまで店が開店していたときの話で、私は気づかなかったがピザ屋はもう閉まっていたので、「30分以内に届く」はノーカンだったのだ。

仕方なく寒い中、コンビニで弁当を買って家で食べた。

自分のうっかりに、ニヒルに苦笑したハードボイルドな私だったが、この、
「翌日の昼食は確実にピザ」
というシバリは、思いのほか、私に精神的苦痛をもたらした(あくまで私の「うっかり」が原因であり、ピザ屋を責めるつもりは毛頭ない)。

キャンセルもできたのかもしれんがよくわからず、そうなると翌朝、午前11時半にピザを受け取って食べないことには、遠出もできない。
厳密に言えば、早朝に映画を観て午前11時半に戻ってきたりすることは不可能ではないが、映画に集中できない。

午前6時くらいから、
「ああ、あと5時間経たないと出かけられないか」と思ったのと、
とっくの昔にピザを食べたくなくなっていた。やはり夜中に頼んで食べる背徳感が、自分にピザを頼ませたのだろう。

太陽のもとで、一人で食べるピザは、味はともかく状況としては虚しさが倍増するだけである。

どこかの家のクリスマスのイルミネーションが、夜にはあれほど輝いていたのに、翌朝には「宴の後」の象徴としてみすぼらしく映るように……。
とかって作家ぶって書いたけど、こんな形容、いらねぇよな。
おれもそう思うよ。

そしてピザは午前11時半に来た。おいしかったので食べた。

だが、その後も、
「おれは失敗して注文したピザを食べたんだ。もしシェアハウスなどをしていようものなら、起業を考えているヤリチン小僧や、ギャルみてぇな女にさんざんバカにされたに違いない」
と思い、自然と涙があふれて来た。

ちなみに、なぜ私がシェアハウスをする際、「起業を考えているヤリチン小僧やギャルみてぇな女」と部屋をシェアすることになるのかは、まるでわからない。

ただし、純粋な悪意のかたまりがそのような人間の姿をして、自分の前に現れることはあるのだ(急にオカルト)。

おしまい


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