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超・感動小説 一人で小旅行

何かと一人でカッコつけたがる男・二郎之介は、自宅から電車で二時間ほどの地方都市に、一人で小旅行としゃれこんだ。

しかし降り立った町には、何も見るべきところはなかった。
駅前広場には、聞いたこともない人物の銅像が立っており、そこの名物はなぜか「ホットドッグ」で、どこでも食べられるようなホットドッグを売る店が二軒、あった。

そのうちの一軒は店の前で、数人の子供たちが大騒ぎしながら「あっち向いてホイ」をやっており、もう一軒は昼間はホットドッグを売り、夜はスナックになる店で、厚化粧の中年女性がけだるそうにホットドッグのソーセージを焼いていた。

大騒ぎしている子供のうちの一人が、ドッジボール大の鉄球(用途不明)を銅像に向かって投げつけた。
その鉄球は銅像の頭に命中し、頭ははずれてドスン! と地面に落ち、パカッと割れてしまった。

大騒ぎしている子供たちはそのことに気づいていなかった。

けだるそうにソーセージを焼いていた、もう一軒のホットドッグ店の女主人は、銅像の首がもげたのを目の当たりにしてブルブルと震えだし、焼いていたソーセージを一心不乱に手づかみで食べ始めた。

急にゲリラ豪雨が降ってきて、激しい雨にけぶった町は何もかも見えなくなり、二郎之介が目覚めると、そこは真っ白い部屋だった。

二郎之介はテレビをつけて「ミヤネ屋」を見続けたのだった。

おしまい

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