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大丈夫ですか? 戦えるタイプですか?

牡蠣に当たったことありますか。
わたしは幸運にもまだない。
そう幸運にも。

他に適当な店がなかったせいだと思うんだけど
その日わたしたちはちゃんこ料理の看板を掲げた店に入った。
大昔…大学3年か4年生の年だったかな、
サークル後にみんなで食事に出かけたのだった。
OBの人が遊びにきてたから、十数人、ほぼ全員がバラけずぞろぞろと店に移動したのを覚えている。
単独行動が好きな人間の多い変なサークルだったのでそういうことは珍しかった。

そこで大皿の生牡蠣が出て、
(ちゃんことは何なのか? と思ったがそれはおいておく)
わたしはノーダメージだった、
(なんか帰省したとき象潟で食べた牡蠣とちがうな〜こういうものか〜などと呑気に思った)

その一方で
離れた席で別の皿から牡蠣を取った人々はみんなそのあとで体調を崩した…猛烈に…
と、後になって同輩から聞いた。

牡蠣こええー!!
みんなも気をつけようね!
などという話をしたいわけではないです。

今も忘れられないのは、同輩が聞かせてくれたその後のエピソード。
「◯◯さんと◯◯さん(たしかいずれも後輩の女子)で、ちゃんこ料理屋に抗議に行ったところ」
「『どうしたいの?』と店の人に言われたらしい」と。

えっ、それで…?
「あとは帰っちゃったんだって」

お、おう…
それは大変だったねえ。
ぐらいのことしか当時のわたしには言えなかった。

今のわたしだったらどうするかな?
「保健所に相談したほうがいいのでは」
ぐらいは言うかもしれないな。
いや言わないかもしれん、話を聞いたの出来事からずいぶん後だったし、薄情だからなわたしは。

牡蠣に当たると相当つらいとは聞きますね…
食中毒の症状のみならず、
牡蠣大好きなのに一回当たって以降はアレルギーみたいになっちゃって、新鮮で何ら問題のない牡蠣も口にできなくなったという話も聞きます。
牡蠣の話を掘り下げなくていいから。

ええとつまりだな、
この出来事の何がわたしの記憶に引っかかり続けるのかというと

「こっちに落ち度のない、まあ事故みたいな被害に遭ったとき、自分にはまともな対処が出来るんだろうか?
 どストレートに相手に抗議して『どうしたいの?』とか言われて終了。ってこともあるわけだ」
と、思ってしまったから。という話。

だっておかしな話じゃないですか。
対価を払って牡蠣を食べて、それで猛烈にお腹を下したわけでしょう?
わたしだったらその時点でライフがゼロだ。

そこへ持ってきて

・誰にこの被害を申し立てるのか
・どのように話を進めるのか
・何がどうなったら決着と認めるのか
・追い返されたら次の手はどうするか

これらを自分の頭で一回考えないとならんのですよ!牡蠣に当たってんのに!!
…牡蠣に当たってんのに!!

「どうしたいの?」とちゃんこ料理屋の人に言われて帰るほかなかったという
牡蠣事件被害者の子たちの行動は、あまりに学生っぽかったよなーとは、思います、今となっては。

しかしそれはそれとして、
「どうしたいの?」をあらかじめ決め得ない者は戦うことができない…
という現実の残酷さというか面倒くささを、なんかときどき考えるわけです。

酷い目に遭って打ちひしがれていても
「どうしたいの?」を考えて語れないなら
戦いの、土俵に上がることさえ許されないのです。
ちゃんこだけに。じゃねえよ。

余談だけど食中毒絡みで抗議される側になったことならある。
10年ぐらい前か。

観光施設で働いてて、
屋外の飲食イベントでそういう被害があったという。

というっていうのは、
そのイベントは自治体の主催で、
施設側の担当者も別の人だったから全部後になって聞いたので。

しかしその後に保健所が開いた「再発防止のための研修」に送り込まれたのはわたしだった。
問題のあったイベント以外の、夏休みとかに定期的にやる屋外飲食イベントの担当者は新田だから新田行ってこい。てな感じで。

ハアー? 「再発防止のため」って言われてんだけど意味わかるかオイ??
ぐらいのことは内心思ったけどおとなしく行ってきた。
研修自体はためになり面白かったです。
余談終わり。

題名の「戦えるタイプですか?」っていうのは、
わたしの大好きな漫画作品のひとつ『お茶にごす。』の中のセリフです。

不良を辞めて平和に生きようと決意している主人公のまーくんが、
茶道部の部長(可憐な女性です)から
「一緒に帰りましょう」と言われたとき、
咄嗟に
「大丈夫ですか? 戦えるタイプですか?」
と返してしまうのでした。

まーくんは部長を心底から慕っているんだけど
何やかや争い事に巻き込まれる自分と彼女とでは住む世界が違いすぎる…と悩むっていうのが、
物語の軸になってます。
名作だ。西森博之の漫画には必ず孤独を隠して生きてる人が登場して、それが救われて終わるところが好き。

まあしかし現実で大人になってみると、
戦うことにタイプとかはあまり関係ないかもしれないな。
などと思ったのでした。最近。

なんか気づいたらやるしかない状況になってたりするし、
やったらやったで(やらなくて良かったのでは)という気も、実はしています。

Facebookでギャーギャー騒いでたんですが、
娘がいわゆる濃厚接触者になった際の登校予定を巡って、中学校と戦っておりました。
先月末から今月初旬ぐらいの間の話。

今になって落ち着いてみると
本当にギャーギャー騒いでただけで
わたしの話は相当わかりにくかったな、って…

こっちに経緯の全体がわかるようにまとめようかなと、思っております。
まあ済んだことだし、そのうち。

その前に今日は
戦うのってやだな!面倒くせえなー!
という気持ちを書き綴ってみました。ではまた

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