ゲートキーパーの故郷

出入口によくいた。って書くと何かの虫みたいで気持ち悪いな。

観光施設の仕事を辞めてからのわたしは無職でぶらぶらしたり近所の書店でパートしたりって生活をしながら、いろんなイベントの手伝いに出かけていた。面白かったから。
何か手伝うよ、と声をかけたり、手伝ってほしい、と声をかけられたりいろいろ。で、イベント会場の受付に立つことが多かった。設営とか司会とかもやったことあるけど、まあ受付が多かったと思う。

あるイベントで、ってぼかす必要ないんだけど、開催名を忘れた。千秋公園で開かれたダンスの公演だったな。そこでも会場入り口に立って、入場者を誘導したり公演を知らずに通りかかった人に説明したりっていうのをやってたら、知り合いが見にきて「出入口によくいますね」と言われたのだった。何かの虫みたいで気持ち悪いですね。という意味だったのかもしれない。

でもイベントの開催中に考えられるいろんな役割のなかで、出入口にいる人、受付がいちばん面白いと思う。いろんなお客さんが来るからね。

来る人とイベントとの距離感って本当にいろいろなの。何の予備知識もないし何なら文句言いたいぐらいの気持ちで現れる人もいるし、普通の来場者ですよって顔でやってきて実はコアな関係者だったとかもある。
一旦はどういう相手もフラットに受け付ける。ご来場ありがとうございます! って言う。お話ししながら、この人が求めてるのは何だろうな…? って考える。文句言いたそうな感じが単なるポーズで、きっかけさえあれば場内で何が起こってるのかめちゃくちゃ見たいって人もいるし、ガチのクレームの場合もある。関係者でも関係者じゃない体で入りたい人もいるし、場内にいる誰かに用事があるって場合もある。

展示やパフォーマンスのイベントにはそれぞれお客さんに伝えたいこと、受け取ってほしい思いがあるものだと思う。しかしイベントが始まってしまえばそういう思いを受け止めたい人だけじゃなくて、本当にいろんな人が来る。

受付ポジションは、誰に対しても「これは良いイベントだからぜひ見てほしい」という姿勢を崩さずに対応することで内容の質を保証することができるし、作家や出演者といった「中の人」が「伝えたいことを伝える」以外のあれこれで走り回るリソースを軽減できる。けっこう、大事な役割だと思う。

って書いてたら、受付の手伝いで起こった面白い事件の思い出がいくつか蘇ってきたので書きます。

1、受付したのがゲームマスターだった。

2、いちじくを受け付けた。

3、小説の中で受付していた。

急に眠くなってきたので
後でこれらのエピソードを詳しく加筆します

3月に入ったのは小売業の会社なんだけど、貸し会場みたいな仕事もたまに担当してる。
先月、駐車場を会場にした星空観察会の利用があったので対応した。曇りがちだったけど、ときどきはベガとかアークトゥルスとか宇宙ステーションとかが観察できて楽しかった。

まあでも観察を楽しむのはお客さんと主催者で、自分は仕事だからな。
基本的には出入口に立って、入る人に資料を渡したり出る人に挨拶したりしてた。
空には流れる雲、時折のぞく星々、逃げるみたいに飛んでゆく宇宙ステーション。駐車場には行き来する人々、子供の歓声、星座を指し示す大人の声。
出入口にいると、それら全部を見ながら、それら全部と距離をおいている自分の在り方を意識させられた。

面白いから、楽しいから、みんなと関わりたいから。そう思って受付してきたけど
受付している最中にわたしが感じ取っているのは、懐かしくて安らかな孤独だった。
すごく心細くてさみしいのと同時に、この場所、何からもちょっとずつかけ離れている立場、これが自分の居所であることも理解していた。

眠すぎてもうだめだ。この辺もあとで直します
ではまた

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