見出し画像

【記事とデータを公開】訪問介護 97自治体で事業所ゼロ/広がる空白

 高齢者の生活を支える訪問介護事業所が休止や廃止に追い込まれ、サービスの〝空白地域〟が広がっています。編集部の調査で、事業所がない自治体が6月末時点で全国97町村にのぼることがわかりました。残り1事業所だけの自治体も277市町村あります。4月から訪問介護の報酬を減らして事業の継続をさらに困難にした岸田政権の失政は明らかです。

※赤旗日曜版8月11日・18日合併号で、訪問介護事業所がない「空白地域」について編集部が独自に調査した結果を報じたところ、「各地域の詳細を知りたい」という要望が複数寄せられました。そこで、事業所ゼロまたは残り1となっている自治体の一覧やその地域分布を示した詳細地図、調査結果をまとめた記事を特別公開します。


特集記事の概要(ダイジェスト動画)

地図:訪問介護事業所がゼロ、残り1となっている自治体

黒=事業所ゼロ(97町村)、赤=事業所1つ(277市町村)
2024年6月末時点、厚生労働省が年2回公開する事業所一覧をもとに分析
注)本地図は取材メモとして作成。拡大で各地域の詳細を閲覧できます。塗りつぶし地域の表示が不安定な場合は、URLをコピーしPC版での閲覧をお試し下さい。
注)利用後もスマートフォンの地図アプリから表示が消えない場合、①塗られた自治体をどこか一つ選んでタップ②出てきた自治体名をタップ③「地図の凡例を表示」をタップ④「閉じる」をタップーの手順で解除します。(地図上の「非表示」の案内からも解除できます)

https://www.google.com/maps/d/edit?mid=1oQy__AA5pSBt4KbUV1k6j-Z_0YTPJFU&usp=sharing


一覧表:訪問介護事業所がゼロ、残り1となっている自治体


特集から調査結果の解説記事を公開

※赤旗日曜版8月11日・18日合併号から

◇保険料払ったのに利用不可
 全国津々浦々に介護事業所が存在し、必要なサービスを受けられることが介護保険制度の大前提です。しかし、実際は、介護保険料を支払ってきたのに訪問介護を受けられない事態が起きています。
 編集部の調査で訪問介護事業所がない〝空白地域〟が存在し、それが徐々に拡大していることが明らかになりました。

赤旗日曜版8月11日・18日合併号から

―訪問介護事業所がゼロの自治体が2020年12月末の83町村から、今年6月末の97町村へと増加。
―事業所が残り1の自治体は同期間に、265市町村から277市町村へと増加。
 事業所ゼロや残り1という自治体は、都市部から離れて住宅が点在している農村地域や中山間地域、島しょ地域に多くなっています。(地図参照

 こうした地域では訪問介護の経営が成り立たないことも編集部の調査でわかりました。
 事業所が残り1となった277市町村のうち、営利法人が最後のサービス提供を担っていたケースは32町村にとどまりました。残り245市町村の内訳は▽行政の補助金や委託金がある社会福祉協議会(社協)176▽社協以外の社会福祉法人52▽医療法人6▽自治体6▽非営利活動法人4▽農協1―でした。

 事業所を直営する北海道中頓別(なかとんべつ)町は「民間では耐えられない額の赤字だ。町が事業を救うしかなかった」(町保健福祉課)といいます。
 同町は23年4月、町内の社会福祉法人から訪問介護とデイサービスの2事業を引き受けて〝町営化〟しました。

「23年度は2事業あわせて3480万円の赤字で、これを町の一般会計から出した。国の交付金などはなく、町の持ち出しだ」

北海道中頓別町保健福祉課

 国は〝要介護状態になっても住み慣れた地域で暮らせるように〟といって介護や医療、生活支援などの「地域包括ケアシステム」を推進しました。しかし、その中心を担う訪問介護が地方で成り立たず、システムが〝崩壊〟しつつあります。

◇報酬引き下げの撤回を
 岸田政権は今春の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬を2~3%減らしました。日本共産党は訪問介護の報酬引き下げをすぐ撤回するよう求めています。介護保険の国庫負担割合を増やし、保険料・利用料の軽減、介護報酬の抜本的引き上げが必要だとしています。

(赤旗日曜版8月11日・18日合併号の特集では、訪問介護事業所がない自治体の実態や、事業者の倒産状況、専門家による解説なども掲載)

ぜひ、購読で赤旗を応援してください
見本紙もお届けします


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?