離婚後共同親権という新しい世界とそれに反対する人たち

うーん、この記事もツッコミどころ満載ではある。シングルマザー達や女性記者達はこの記事で説得力があると考えているのだろうか。

この人のnoteなど、「賛同表明と罵詈雑言」というわけだからもう議論のテーブルから自ら降りているわけである。どうしようもないということである。だってこの人は最初から反対意見など聞く気もないということを表明しているのである。こういう人の主張は聞くだけ無駄ということを自ら主張しているのも珍しいわけである。セルフ交渉決裂している人ってもう放置するしかないのではないか。

「男はみんなDV野郎」という擬制と養育費

それに比べれば最初の記事はマシである。離婚弁護士の意見がメインだけれど、それはまあやむを得ないだろう。彼らの主張であると、男というのは皆悪いDV野郎なので話し合いなど無理である。(おわり)

これだとそもそも弁護士さんが介在する余地もないわけである。だって話し合いの余地がなければ「じゃあさよなら」でおわりじゃん。もう悪いDV野郎は母子の前から消えます。これで一生の別れです。さようならで男は全てを諦めて新しい人生を切り開いていけばいいのである。

これが拗れ出したのは、この悪いDV野郎に「親なんだから養育費を払え」と言い出したからである。でも親じゃないから子供には一切会わせないとやったから拗れたわけである。別居親の父親を金を払って親扱いなのに親ではないという蛇の生殺しのような状態に追い込もうとしたわけである。ちなみに女性が別居親の場合には「金がないから払いませーん」というのが認められる。

面会交流と養育費はバーターではない

母親であれば別に面会交流などしなくても黙って子供に会う人もそれなりにいるようだけれど、父親はもう子供の学校に行くと親権のない親が来るなと追い出される。場合によっては警察を呼ばれたわけである。そう言って嘆いていた人がいるのである。そうなると母親側は「親としての義務だから言い値を払いなさい。子供に会うこととは関係ありません」というのだけれど、そりゃ野良犬のように追い払われて金だけ払えという主張には従えないという気持ちにも理解はできるわけである。

そりゃ面会交流と養育費はバーターではないとは言っても精神的に無理なので、多くの元父親は金を払わずに行方をくらまして、新しい人生に自分のお金を使うことに決めた人が多かったわけである。何年か前は離婚後にネットで子供と会いたいと言っていたお父さんももう子供には会えないと悟るといつの間にか消えていったわけである。

それで裁判所は養育費の支払いと同時に面会交流の推進を打ち出したわけである。面会交流して月に一回でも会わせれば父親という認識を失うことなく養育費を支払うだろうということであった。それはそれで合理的な意見だったのであるが母親側は猛反発したわけである。つまり父親はDV野郎で虐待者である!そんな奴は人間扱いする必要はない!というわけで今では面会交流も退潮だそうである。母親側からしてみれば人間としての父親など不要であり、ただ預金通帳の額であればいい、金だけ振り込めというわけである。

ハーグ条約

これは日本男を馬鹿にしてやっているわけではなくて、国際結婚した日本女性も勝手に「実家に帰らせていただきます」と子供を連れて日本に帰ってきて離婚する事例が相次いだため、海外の夫達が怒り心頭で日本は離婚事務について世界中から非難されているわけである。それで、離婚時にはいくら日本に逃げ帰っていても居住国に戻って離婚事務を執り行うというハーグ条約に加入させられている。

離婚弁護士さんの文章などを読むと、「できるだけハーグ条約からは早く脱退して日本人女性の権利を守らなければならない」みたいなことを書いているのだけれど大丈夫なんだろうかとは思う。

国内の現状

国際結婚であればそれでも夫の権利は守られるのだけれど、日本国内の結婚ではもう女性のやりたい放題ということになっている。フェミニストさんや離婚弁護士さんの主張では当然の権利だということになってしまうけれど、面会交流だって実施率は大体29.7〜8%である。養育費の支払い率がわずか28.1%しかない!って怒り狂うフェミさんは多いけれど面会交流の率もさして変わらないのである。で、そもそも養育費の支払い取り決めをしているのが半分もないわけである。いくら何でも額も決めずに養育費を支払うことなどできないわけなので、実際には取り決めた人たちの中では6割の人が支払っていることになる。一回でも支払った人は9割を超える。

そりゃ別のいい人と出会って新しい家庭を築くためにとか単に失職して収入を失ったために、もしくは面会交流の約束が守られないために頭に来てやめたとか理由はさまざまであろうが養育費の支払いを止める人はいるのだけれど、それでも調査では6割のお父さんがその時養育費を支払っているのである。お母さんお方からは「あいつはモラハラだ、DVだ!虐待者だ!」と散々な悪口を言われているにも関わらずである。

ただまあ、アンバランスな関係であることは間違いない。父親の善意で養育費が支払われているとしてももう子供にも会えないのに義務としてお金のみを支払っている父親の姿を見て若い男性が「自分も離婚したらDV野郎と言われても虐待親!と言われても養育費を払い続けることが幸せなんです」と共感するだろうか。むしろそういうリスクがあるのが今の結婚ならば孤独でもいいからリスクを回避しようとするかもしれない。そうなれば婚姻数は減ってさらに少子化一直線である。いくらリプロダクティブライツといっても、女性だけで受精はできないわけである。いや、米国には精子を買って人工授精して挙児に至るという猛者がいるのだが、日本であればその精子の所有者に養育費を請求するというフェミさんがいたので(ネットの話だからフェイクだろうとは思うが日本のフェミさんなら「は?契約なんて何よ!養育費を払え!」とか無茶を言いそうな気がしないでもない)そんなの精子供給者は養育費の支払い義務を恐れて精子の供給をやめてしまいそうである。

離婚後共同親権の議論(初めに戻る)

こういう状況を打破するためには離婚後単独親権という制度自体を変えて離婚後も共同親権を維持するというアイデアがある。実際、世界の多くの国では離婚後の共同親権、共同養育を義務付ける方に動いてきていて本当に虐待がある事例でもないと共同養育のプランを立てるのが多くの国のやり方になっている。実際離婚後単独親権を維持しているのは数カ国になっている。で、日本でも離婚後共同親権を導入しようという動きが出ていて、冒頭に引用したnoteのような騒ぎになっているわけである。

フェミさんは常に「家父長制」や「男尊女卑」を錦の御旗にして自分たちの要望を押し通そうとするのだけれど、こと離婚事務になると完全に女性優位になっている。これは家族を養うという男性の性役割の裏返しでもあるのだが、家族を養うために長時間労働を強いられている男性は家事育児に割く時間は限定されているわけである。なので育児は女性の仕事ということになっているが、フェミさんは最近それを批判している。つまり家族を養う長時間労働に加えて家事育児労働を担えと言い出している。そりゃ厚労省のイクメンプロジェクトは結構続いているし、男性育休の義務化なども話題になっているが、要は男への労働強化に過ぎない。男が家事育児労働を担うからといって「じゃあ、専業主夫になりますね❤️」なんてことは決して女性は容認しないであろう。

男は労働機械として稼ぎ、主婦である妻の忠実な奴隷として家事育児労働することが求められ始めている。で、離婚になれば妻は子連れ別居して自治体にDVの申し立てをすれば事実関係の調査なしに住所が秘匿される。そうなれば離婚時には「監護の継続性」という原則で親権は妻側に行くという寸法になっている。そこに男が勝てる要素はない。離婚弁護士さんもきっとこの必勝ルートを守りたいということであろう。

離婚後共同親権はこの必勝ルートを壊してしまうのである。つまり、母親がいくら子連れ別居して「監護の継続性」を主張しても、ハーグ条約のようにそんな努力は無効化されて「はい、離婚後共同親権ですから協働で子供の養育プランを立てていきましょう」ということになってしまうのである。無論、そうなると父親の方が「もう母子とは縁切りだ。自分は新しい人生で新しい伴侶と幸せになろう」と思ったとしても子供のことを見捨てることは許されなくなる。なのでそこには新しい緊張と新しい協調が生まれて新しいバランスが求められることになるが、弁護士さんたちもシングルマザーさん達も元の必勝ルートの維持を求めているということなのだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?