これ、医学的には病因の解明や正確な死亡原因を確認するために適切に病理解剖を行うことは何も間違ったことではない。
日本人って病理解剖を嫌がる人って結構いるような気がするけれど、その人の病気がどうしてその人の命を奪ったのか、病気がどのように進展したからその人に症状として現れたのかは病理解剖しないとわからないことも多いのである。
私の分野では、可哀想な子供が必死で闘病して力尽きたのを、死後にもさらにメスで切り刻むなんて可哀想だという声が大きく、病理解剖の率は低い。
けれども、長年、担当した亜急性硬化性全脳炎の患者さんが亡くなった時には、きちんと病理解剖が行われた結果、脳からは麻疹ウイルスのゲノムが検出されて、確かにその子は麻疹の持続感染によって症状を起こしたのだと証明されたこともある。
情緒的に反対したいという人もいるだろうし、遺体にメスを入れるなんて非情だという人もいるかもしれない。けれども、それは医学の進歩のためには重要なことである。
3000人の解剖記録をきちんと記入し、整理して後世に残した医師は無名の人なのか、実は超有名な人かはわからないけれども、その人の仕事は決して否定すべきことではないよ。その仕事は医学の進歩のためには重要なものである。
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