ポスターのビジュアルがよかったのでうっかり文劇7を観に行ってきた話

舞台「文豪とアルケミスト 旗手達ノ協奏(デュエット)」
2024年6月11日 13:00公演 アフタートークショー付き

はじめに

タイトル通りですがポスターの泰江和明くんのビジュアルが最高過ぎて原作もタイトルしか知らない(ゲーム?ですか??)上に、過去作も見たことのない文劇7のチケットを取って観に行ってきました。
割と舞台前に予習するタイプなのですが4月末〜6月頭まで現場をパンパンに入れていたので「逆にこれは事前情報ほぼゼロで舞台を見てみよう!幸いにも文学作品は学生時代にある程度読んでいるのでいけるだろう!」という感じで入ることにしました。
事前に見たのはポスター・チケットを取るため/グッズを確認するために見た公式HP・泰江くんのTwitter・公式Twitterです。

シアターHの感想

先日オープニングイベントが行われたシアターH、ようやく銀河劇場通い(天王洲アイル)が終わったのにまーた東京モノレール!!!の気持ちにはなりました。
周辺に飲食店が少ないのでマチソワするのは厳しそうだな〜の印象はあります。
トイレは個室の個数が多くて最高、どこのトイレが空いているかも分かり易いので助かります。
ステージ低くない??前列傾斜が緩やかなので役者さんが舞台上で蹲ったりすると見えなさそうだなと思いました。今回は1階後方サイドだったのですが、全員が背もたれと肩のラインを合わせるように座ったら一応千鳥配列になっているのでそこまで見えにくいことはないかもしれないですね、実際はそんなことないので前々列の方の頭で見えない…みたいなことが発生していますが、それでも一応見え方は努力したのだろうなという感じが伝わってきます(私は運良く見やすい席でした、感謝)

本編雑感・いろいろ考えたこと

※思いついた順に書いていきます。
※原作未履修・事前知識ほぼゼロのため誤った用語を使用している可能性があります。

観る前に一番不安だった「設定わからなかったらどうしよう」問題、序盤の石川啄木と高村光太郎が追われているシーン〜最初の図書館のシーンで「本を侵蝕する存在」が様々な文学作品を侵蝕していくのを転生した文豪たちが食い止めているということが理解できたので不安は解消され楽しく観ることが出来ました。
最序盤に生前の小林多喜二と志賀直哉のやりとりみたいなシーンがいきなりくるとは思わなくてひっくり返りました、心の準備が出来ていない状態で泰江くんの多喜二と対面してポスター以上に顔面が良くて最高!?の気持ちと、そのシーンが示唆する史実を重ね合わせて胸の中にずっしりと重いものを感じました。

泰江くんのビジュアルに惹かれて入ったので当然の如く小林多喜二定点観測だったのですが、途中まで捕われの姫みたいなポジションじゃなかったですか?いやそれにしては叫びがあまりにも強過ぎでしたが……

観てびっくりしたのが武器持って殺陣で戦うんだ!?なんですけど、4月末から連続で殺陣アリの舞台観てる気がします(薄ミュ→ブリミュ→文劇)

途中、懐中電灯で文豪達を照らすシーンで侵蝕者たち?が客席に降りて舞台を照らしていて「これってもしかして観客達も文学を侵蝕していく存在(装置)」としての演出なのかな?と思うなどしました。最近の舞台って観客も舞台装置として使う演出が上手で良いですよね。おそらく原作だと艦これの提督とか刀剣乱舞の審神者にあたるポジションが存在していて、それが観客なんだろうなという固定概念があるじゃないですか、でも私たちって文学を脅かすことが出来る存在にもなりえるのでそう考えると侵蝕する装置としての演出、なるほどな?となりました。

セットの話。今回は幕がなく観客が中に入った瞬間にセットが見えるタイプだったんですけど、上下2段・左右に階段・奥にスクリーン(とミラー)そして舞台セット上段と下段の間に格子状のセット(表現が難しい)があるのですが、格子状のそれを一番最初に見た時に原稿用紙かな?と思ったんですよね、ただ最序盤の小林多喜二と志賀直哉のシーンを見た後これは牢獄では?と思って、でも最終的にはやはり原稿用紙なのでは?と……シーンを経るごとにというか、彼らが彼らの文学の軸を自覚し理解した時は原稿用紙に、蝕まれている時は牢獄なのだろうなと感じました。キャラクター達の心情に合わせて多面的に見えるセット非常に面白かったです。

一番好きなシーンというかこの文劇7という物語の中で一番大切なセリフなんじゃないかなと個人的に感じたのは、多喜二に歯車が戻ってきた後に志賀の剣を取り返しながら「これはお前が触って良いものじゃない」と言ってるセリフなんですけど……
事前知識ほぼゼロの人間がここのセリフに至るまで文劇7を見てきて感じたのはその武器は彼らの文学そのものなのではないかなということ。そしてその武器である文学を、過去の回想シーンで検閲されあれだけ黒塗りにされた小林多喜二が……それを理解しない人たちに易々と触らせることをよしとするわけがないよね、って強く感じました。
なのでアフタートークでここのこのセリフが良いよねの話が出ていて嬉しかったです。

タイトルの「協奏」の部分についていろいろ考えたいたんですけど、「自分が強く想う誰かと」ではなく「自分のことを見てくれているみんなと」なのかな〜と、おそらく回数観たらこの辺の解釈深めることが出来そうな気がしなくもないのですが残念ながら文劇はこの1回きりなので後で配信買ってもう少しみてタイトルの自分なりの答えを見つけたいなと思っています。

アフタートークでも泰江くんがずっと楽しそうにしていたし、実際に「楽しい」と言っていたけど、確かに文劇は「楽しい」舞台でした。