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感想 / 映画、本、アニメ、ゲームなど

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2024年2月の記事一覧

薄暗くて優しい漫画 『雨の首』

同じ作者さんの『頽廃の花売り』という漫画がすごく良かったので、こちらも読んでみた。 タイトルを『雨の音』だと思っていたけど、 正しくは『雨の首』ですね。怖い。 上記はAmazonの紹介文の引用。怖い。 もうちょっとあらすじを書くと、 剥製のように、人間や獣人の首を「干し首」にする黒猫ロアと ロアに拾われた、身寄りのない可哀想な女の子アメの物語です。 めちゃくちゃ暗くて辛くて残酷!という内容ではなくて しっとり薄暗くて切ないけど、 可愛さやほのぼのしたところもあって、読み

Pleiades 堤あおい写真集

パッと開いたページの写真が、誰かがモノクロームの世界に閉じ込めた恋しい人の記憶のように見え、泣きそうになってしまって、そのまま書棚には戻せなくなりお迎え。 ひび割れたような加工がなされていたり、色褪せたような風合いであったり、 耽美や退廃といった言葉が適用されるような雰囲気なのだけれど、 受ける印象に陰鬱さはなく優美さと愛とに貫かれていて、 心の傷にそっと寄り添ってくれるような癒しを感じる。 帯に「女性から女性におくる」とあるけれど、男性にもオススメ。 単純にとてもキレイだ

夢を旅する絵本『ねんねこ』

作者:ザ・キャビンカンパニー マックのハッピーセットのおまけだった。これ目当てで買った。 ちょっぴり不気味さのある可愛い絵本。 夢で待ち合わせ、というテーマ自体に哀愁を感じて少し切ない気持ちになる。決して悲しい話ではないはずなのだけれど。絵柄によるものかな。 なんでもできる自由な世界にワクワクさせてもくれる。 キラキラハッピーなばかりでない影の質感が美しく、 ラストのシンメトリーな画は私の大好きなウェスアンダーソン映画のようで特に好き。 2018.03.15

スタンド・バイ・ミー

観るのは2回目、でも前に観た時のことは殆ど覚えてない。 友人はこの映画を観ると、等身大の自分に戻ってこれると言っていた。 ああそうだった、と、爽やかな気持ちになれると。 この映画を観て、等身大の自分に戻ったのは私も同じ。 でも私の場合、爽やかさは一切なく、明るい未来がなにも見えなかった子供の頃のように、途方にくれた気持ちになった。 自分はまだ12歳のあの頃のまま、傷ついた子どもなのだと思い知った。 父親を馬鹿にされて泣いたテディはどんな大人になっただろう、 主人公は父親

淡い恋と映像美 ロスト・イン・トランスレーション

監督・脚本:ソフィア・コッポラ 主演:ビル・マーレイ スカーレット・ヨハンソン この歳の頃のスカーレット・ヨハンソンをソフィア・コッポラが美しく可愛らしくガーリーにセクシーに撮っているというだけでも、このフィルムは人類の宝!! スカヨハがとにかく可愛い……。 ビル・マーレイとスカヨハの繊細な演技が素晴らしい。 絶妙な距離感にたまらなくドキドキさせられる。 やや焦れったさも感じるけれど、「もう駆け落ちでもしちゃえばいいじゃん!」と背中を押したら途端に全て壊れてしまいそうな