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外国人と健康保険について

日本国内に住む外国人の数は年々増加しています。1990年代には日本国内に在留する外国人の国籍は韓国・中国がほとんどでしたが、現在ではその出身国は実に様々です。

そんな在留外国人の『健康保険』はどうなっているのでしょうか?


在留外国人も日本人と同じ保険制度

有効な在留資格をもって、適法に日本国内に1年以上在留することが見込まれる外国人は、日本人同様、健康保険制度に加入することができます(しなければなりません)。

日本人の配偶者など扶養家族であれば、その日本人が加入している保険制度に加入することになります。

世帯の構成員が全員外国籍の場合、在留資格により加入する保険制度が異なります(国民健康保険、健康保険)。

在留資格と健康保険の種類

(組合・協会)健康保険(健保)のケース

在留資格が①「技術・人文知識・国際業務」など、被雇用者の場合、②「日本人の配偶者」「家族滞在」で、被雇用者の家族の場合など

国民健康保険のケース

在留資格が①「経営・管理」など自営業の場合、②「日本人の配偶者」「家族滞在」で、自営業者の家族の場合など

また、「留学」の場合も恐らく国民健康保険になるかと思います。


在留外国人の受診に対応するには・・・

昨年からのコロナの影響は、在留外国人の受診行動にも少なからず変化を与えています。とくに、PCR検査を受けたい外国人に情報提供をできる地元の医療機関が少ないといった事情が少なからずあったようです。

1.言葉(コミュニケーション)の壁

日常生活ではなんとかなる会話レベルでも、いざ医療機関で自分の症状を詳細に伝えることはなかなか難しいことです。特に体調不良の場合、日本語でのコミュニケーションがより難しくなることが考えられます。

また、看護師や事務職員は医師以上に外国人の患者さんとのコミュニケーションに苦手意識を持つ方がいらっしゃるかもしれません。中国語・韓国語、英語(できればスペイン語など)多言語での対応ができるよう冊子をあらかじめ用意するなどの工夫が必要かもしれません。

通訳として、同じ国出身の友人を伴っての来院も診られますが、健康に関する問題はデリケートな問題でもあるため、何処まで任せられるのか不安です。また、医療の専門用語など正しく伝わるかも疑問です。

友人と同じくらいあるのが、日本語がわかる(日本の学校に通っている)子供を連れてくる場合です。外国人の友人よりも日本語を理解することはできるかもしれませんが、親の病気にショックを受けて正しく伝えない場合があるようです。

2.医療や薬への考え方

診療時間が短いと感じること、会話が少ないと感じること、薬の量が少ないと考える、処方された薬を正しく服用しないなど「お国柄」と言ってしまえばそれまでですが、ここについても配慮が必要になります。

3.制度の違い

母国の保険制度・医療制度の違いにも注意が必要です。たとえば、医療費がまったくかからない国、事前に金額を提示する国など様々です。

意図せぬ未収金の発生やトラブルにもなりかねません。

さいごに

日本語での会話・コミュニケーションが十分にできない外国人はこれからも確実に増えていきます。地域医療を担う小規模の診療所でこのような外国人の対応をするのが当たり前になる時代もすぐにやってきます。

自治体などでは医療通訳の派遣をしてくれるところも増えてきましたが、十分ではありませんし、充実にはあまり期待できません(医療と英語の両方をマスターするのは容易ではない)。

今後、外国人患者さんの対応が必要となりそうな地域(ここ数年で外国人が急に増えている地域)の診療所では、自治体に問い合わせて、何処の国の出身が多いのか、何語がメインなのかなど確認し、対応策を考えておく必要があるかもしれませんね。


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