ペンギン・ハイウェイ
気づいたら5か月以上も更新していなかった。
飲み会のたびに「お前も早くnote更新しろ」と何度せっつかれたことか。
実は映画は何作か観てはいた(だいたい2回目以降)けれど、どうにも書く気がしていなかった。
あと、映画館で観た映画については書きにくい、というのもあった(だいたいそのあと酒を飲んで細かいところを忘れるから)。
今回は久々すぎて観る作品が決められなかったので、気になっていた作品からアンケートを取り、最も票を集めた作品にすることにしました。
というわけで、今回は「ペンギン・ハイウェイ」。
予告編はこちら。
一言で言うと
とても爽やかな作品でした。
たとえるなら開けたての瓶ラムネのような、瞬間的な感じ。
森見作品なんで、最初は主人公であるアオヤマくんのまどろっこしい語り口調が心地よく、「ああ、森見作品だぁ~いいねぇ~」って感じでした。
良い少年そうなのにおっぱいが大好きというのもまた、主人公をキラキラさせすぎない感じで森見作品らしい気がする。まぁ、他の作品よりは相当ちゃんとした主人公だけども。小学生なのにね。
話の流れはとてもスムーズで、前半1/3くらいで主要人物は出し終え、そこから登場人物の心象を動かし、ラスト1/3で世界を動かし、クライマックスへと持っていく…なんともきれいな流れでした。
登場人物の役割もめっちゃはっきりしてて、わかりやすかったですねえ。「わかる」のは観る上でとても大事だと思うので、丁寧なつくりの良作って感じでした。
キャラ的にはハマモトさん(CV:潘めぐみ)がめちゃくちゃよかったですね。喜怒哀楽がとってもはっきりわかる。心の機微も含めて声に出ているのが、すごいな~と思いながら観てました。単に声が好きなだけかもわからないけど。
ちなみにこれは、SFということでいいんだよね? SFというよりかは、もっと神的なおとぎ話の体裁の作品だと思ったけれど。神の要素が出てくるのも森見作品らしい(ということでいいのかなぁ。「森見作品」というくくりでこの作品を考えすぎか?)。作品のプロットというか、題材やワードセンスが良いのは原作のおかげだと思う。
特にタイトルの「ペンギン・ハイウェイ」という言葉は好き。
ペンギンハイウェイは少年の成長する道そのもので、でも、それは子供が大人になるための道であって、その先にはきっともっと大きな世界がある。お姉さんが従えるペンギンと共に世界を修復して、元のあった姿に戻す、という意味でペンギンが道を作っているところにもかかっていたりする、みたいなこのへんの上手い感じ、とっても好きですね。
ジャバウォックを知らなかったので調べたら、「鏡の国のアリス」の中の詩に出てくる怪物らしいですね。お姉さん、並行世界からでも来たのかな。
と、つらつら語りましたが、よい物語作品でしたね。気持ちよく観れました。
ありがとうございました。
んで、こっからが正直なところの感想。
この作品、「良作」すぎてあんま語れないですね。
つくりはちゃんとしている、登場人物の動きも理由がわかる。音楽も邪魔をしない。アニメの描画も普通にきれい。変な乱れもそんなにない。声優もまぁ、悪くない。お姉さんの声は最後までしっくりこなかったのだけど、まぁ、そこは好みもあるだろうし。
ただ……なんというか、こう……
「伝わるもの」みたいなのが感じられなかった……
ストーリーは、ひと夏の瞬間を切り取っていて、とてもきれいな思い出なんですよ。
ただ、なんていうかね、作る側の「想い」みたいなのが、あんまり感じられなかったのが、ちょっと悲しくなってしまった(感じられない俺が鈍いのだろうけど)。
あと、アオヤマくんとお姉さんがどちらとも感情をあまり堂々と出さず、静かで粋なやりとりをするタイプなので、映画では地味になってしまっていたと思う。だからこそ、感情出しまくりなハマモトさんとスズキくんの印象が強い。
小説の文字で読むとまた違ってくるのかもなぁ。
ちなみにハマモトさんは、アオヤマくんに興味を抱き、チェスで負けたときに惚れて、自分の秘密を公開し、夏祭りには浴衣で来て、出てきたお姉さんには嫉妬心をあらわにします。
きれいな、あまり報われないヒロインの動きをしていて、安心感までありました。
潘めぐみさん、いいですよね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?