マインド・ゲーム

怪作にして名作。すごく良かったんだけど、観終わって最初の感想は「なんだこれ、どうやって作ったんだ!?」だった。

正直、どこから語ればいいかよくわからないくらいには濃密だった。映像、手法、音楽、色彩、ノリ、ストーリー、どれもすごい。のだが、よくわからない。凄いのはわかるんだけど・・・マジメに語るのがこの作品の味わい方なのか? と考えるとさらによくわからなくなる。

でも、ただの怪作ではない。この映画で言いたかったこと、大事にしていることはわかるのだ。

とても不思議だったのだけど、これだけ演出も何もかもカオスな中で、主人公が語る長ゼリフは心に「すっ」と染み入るのだ。とても青臭いのに、なぜだか説教じみては聞こえない。

ここでちょっと真面目な気持ちになると、すぐにカオスな映像や音楽や設定によって緊張を解かれる。「そんな力を入れて観るモンじゃないよ。これ、現実離れしたアニメだよ?」とでも言わんばかりである。

でも、そのカオスな映像体験の中にも、どこかひっかかる、大事なものが紛れている気がするのだ。雑然としたおもちゃ箱の中にある、人生を動かすためのエネルギーを探すような、そんな作品、とでも言えばいいんだろうか?


予告編はこちら。


とっても難しい。映像の芸術性に振り切った怪作でもないし、ストーリーや登場人物に共感する名作でもないのだ。これを言葉にできないのは自分の技量が無いせいだと思うのでとても悔しいけれど・・・そんな感じなのだ。

この作品のメッセージ性、というか、大事にしているものはある。あるのだが、映像作品としてのまとめ方があまりにも秀逸すぎるので「人生は、マインド・ゲームである」の一言に集約できてしまう。観たことのない人には全くしっくりこないと思うけれど、観た人は「これしか語れないな」と思ってくれるはず。

何度もこの文章を下書きしていて思ったのだけれど、自分がこの作品を観て「大事だな」と思った気持ちや考え方、映像が伝えているもの、などなどについて、文章にすればするほど違和感がある。

どう書いても、偉そうで、薄っぺらくなってしまう。

「これを観てこう思った」と書けば書くほど、「いや違う。同時にこんなことも感じられて、これにはこんな意味があって、これとつながっていて・・・」などなどと浮かんでくる。

文章が語るよりも濃密かつ純粋な形で映像にされてしまっているので、これはどうしようもないんじゃないか、とも思う。

何をどう語っても、この作品のことを表現できない。だけど逆に、自分がこれを観て思ったこと、感じたこと、もらったエネルギーの形は、たぶん間違ってないんじゃないか、とは思う。

良くも悪くもどう文章にしても「中らずといえども遠からず」といった感じになってしまう気がする。


いや~なんなんだマジで。言葉でうまく捉えられない。悔しい。

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