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【表現評論】メモリーズオフ 想い出にかわる君 コアレビューその4 那由多ルート2(終)【全作再プレイシリーズ】

⚫︎前回の記事

⚫︎小夜美と静流

が出てきたら超おもんなモードになるので憂鬱になれる。おもんないというか、やってることが同じすぎる。スキップで飛ばしていいんじゃないか。

⚫︎山下2.5号

酒瓶を抱えて歩く男。こんな人もいましたね。脇役にわざわざ立ち絵を作るくらいだから、金がかかっている。

⚫︎沙子と公園で遭遇

やたらと公園で遭遇と書いている気はするけど、主に静流のせいですね。静流とは公園で会う率が95割くらいあったので。

沙子はレスバみたいな返答が多い。何? そういうデータあんの? それってあなたの感想ですよね。客観的な正当性がないのに、私が従う必要があるんですか? みたいな。顧問がアホやからバスケでけへんのショーゴ君は気が合うんじゃないのか。

那由多のことが好きなんです。大切な友達なんです。と言ったらちょっと悲しそうな顔してますね。沙子はショーゴが昔の遊び相手ということに気づいてそう。ショーゴ君は盛大に那由多と勘違いしたままです。

⚫︎那由多の部屋へ

1st、2ndと相手の部屋に入ったキャラはいないんじゃないですか。かろうじて家まで入り込んだのは巴だけど、巴の部屋までは入ってないはず。つばめはまあ、隣の部屋だし、ノーカンで。回想ではカナタの部屋にも入ってるっぽいけど。

ようやくここで「俺が昔の男の子だよ!」と伝えますが、知らんがな、と言われて終わります。ただ那由多は相手が沙子だと気づいたんじゃないでしょうか。すっごい気まずそうだし。流石に考えすぎか。

ショーゴは沙子と那由多を勘違いするくらい何らかの共通点を見出してるわけで、やっぱり血の繋がらないってことはないんじゃない、という推測が湧いてきます。

気まずすぎて家へ逃げ帰ると、母親からの電話でかつての鳴海さんは沙子だったと教えられます。例の公園に行くと、土管の彫りつけた相合傘にショーゴといさこが書いてありました。過去のちょっとええ話も出てくる。

この作品、こういう真面目なところは面白いんですよね。ギャグとジョークが滑りに滑りまくってるので、プラスも大きければマイナスも大きいという作品です。

⚫︎鳴海邸へ

那由多に謝りに行くショーゴ。インターホンを押すと沙子が登場。俺覚えてない? と聞くと、知らん、と返されます。いやぁ。それは嘘でしょ。なんで嘘ついた。意外と那由多のためなのかもしれない

那由多の方にはすまん、勘違いだったと伝えるとあっさり仲直りします。喧嘩したわけでもないけど。花火に誘うと秒速でOKをもらう。もう付き合ってるのと同じでしょ。こんなもん。

⚫︎那由多と海へ

花火大会の前に浜辺で戯れていると、こんなことを言われます。

……ショーゴの心の中に……こっそり誰かが住んでる……なんてこと……ないよね?

想い出にかわる君

まだ付き合ってないよね。我々。と言いたいけど、このやりとりが実質告白なのかもしれない。家族に裏切られた過去があるので、お前は裏切らないよな? と念押ししてきます。重い要素来たな。

花火大会が始まると、小夜美と静流が出てきて、テンチョーがタレントといたことを教えられます。誰とは言ってないけどあいつですよあいつ。ママでも家来でもない人。もうええんじゃ過去の女は。珍しくあっさりと去っていく二人と2.5号です。さすがに空気を読んだらしい。

⚫︎那由多と沙子

花火大会のシーンが急に打ち切られてガレージのシーンに移行します。急すぎるだろ。那由多の笑い方が沙子に似てると言っていますが、やっぱり血繋がってるって。伏線きたな。那由多はデカい時計をしてるけど、見せるのを嫌がります。これカット的なものを隠してるとかじゃないよね。

公園に行って沙子とのやりとりを思い出す主人公。まだ未練タラタラです。道端で沙子に遭遇して、やっぱり俺は覚えてるんだよ! と言ってるところを那由多に見られるという地獄。何で二人とも道端にいるんですかね。あまりにも展開が雑すぎないか。

那由多は激おこで夏休みが終わるまで連絡が取れませんでしたと。期待を裏切られた時の怒りは人間の怒りの中で一番大きいですからね。期待が大きければ大きいほど、反発もデカい。翔太君が語ってたフックの法則です。

⚫︎地獄

大学が始まれば会えると思ってたところで、地獄の状況が発生します。これを想君のベストCGにするか。

その後那由多と話そうとするも、沙子とうまくいくといいね、と言われて逃げられます。うまくいくわけねえだろ。こんなもん。相手はレスバの達人ですよ。

あれこれあって、やっぱり俺は那由多が好きなんだぁ、と気づく主人公。沙子に似ている那由多の笑顔じゃなくて、那由多のオリジナル笑顔の方がずっといいと。こういう見せ方は上手いと思うんですけどね。2.5号だのプロレスマニアだの、いらない要素が多すぎて邪念が付き纏う。

ここで再度、例のMDを聴き込んで、ショーゴ愛している、というフレーズが空耳として聞こえることに気づきます。でもこれ空耳ではなかったでしょ。実際のカナタのセリフだったはず。MDのセリフに気づいたことで、なんとか許してもらって、ひとまず仲直りしました。

⚫︎再度那由多の部屋へ

那由多がヒートアップして喋る時は、緊張している時、不安がある時だと分析して追います。スッゲー早口の時がありますからね。オタク特有の早口の三倍は早口。振り返ってみるとそうなのかもしれない。

主人公は那由多の部屋で大量の殺人記事の切り抜きをこっそり発見します。闇ってレベルじゃねーぞ。一応、完全殺人マニュアルが置いてる本棚で遭遇したという伏線はありましたが、それ以上の闇がありました。主人公はとりあえず見なかったことに。

そういうのに興味あるのかと探りを入れると、想像するのは楽しいと返ってきます。例えば特定の臓器が悪い人間に特定のビタミン剤を多量に飲ませるとか、何とか。

その後キッチンで戯れあってると、那由多の時計の下にカットの跡があることに気づきます。やっぱりそうでした。その後開示される真実は、父親の不倫相手の子どもが那由多であるという話です。記憶通り血は繋がっている。那由多は父親がいなかったから、ダブル不倫ではないのか。沙子とは数ヶ月しか年が違わない。まあこれはアレですね。ちはやの父親と同じですね。妊娠中に浮気したパターン。一番嫌われるやつ。

全寮制の高校に入ったはいいものの、一人になると余計に考える時間が増えて、いらんばっかり考えた結果、汚れた自分を消去しようと考えて自殺を図ったらしい。何回も。

このルート重いなぁ。家族が絡むと一気に話が重くなりますね。鷹乃、つばめ、那由多、沙子、麻尋、三城一家。激重ルートばっかり。

⚫︎父親が突然死亡

那由多のグループが開催している個展を見にきた酒臭い父親。シリーズ伝統のダメ親父です。しかも階段で足を滑らせて事故死するという結末に。那由多は父親への憎しみを露わにして、事故死なんてずるいよ、と言ってのけます。母親と同じように病死するものと思っていたと。それを聞いた主人公は、那由多が話していたビタミン剤の話は、現実に実行されていた話ではないのか、と不安になっています。だって病死って言ってるくらいですからね。そういう推測が出てもおかしくはない。

那由多が色々と妄想を爆発させているので、主人公はそもそも不倫相手の子どもということすら、本当かどうかわからんだろう、と話しますが、こういう答えが返ってきます。これ重要。

「それが事実かどうかなんて、もうとっくに意味がないよ」
「だって……それに打ちのめされたことは、本当にあたしの体験で… …」
「もう、あたしの中では真実になってる」

想い出にかわる君

やたらと事実を気にする人は多いですけどね。結局世界なんてものは、私にとっての世界しかないんで、私にとっての真実は完全に世界の真実なんですよね。那由多の世界の真実はもう確定してしまっていると。だから事実かどうかなんてとっくに意味がない、というのは正しいです。やたらとファクトにうるさい時代ですが、事実とは一体何なのか。

那由多は主人公が考えていることに気づいています。私が本当にそれを実行していたのなら、私のことを嫌いになるのか、と。何も答えられませんわ。こんなもん。

⚫︎正義とは何か

仮にそれが実行されていたとして、どうするのか。主人公は自問自答します。追及したところでどうなるのかと。ここで正義とは何か、という問いが出てきました。シンやカナタから、正義とは客観性ではなく主観性であると返答が返ってきます。

究極的には、仮に那由多が正しくないことをやってたとしても、主観的に許せるならそれでいいというか、ショーゴの世界ではそれでいいんですよね。
という結論に達して、那由多にそのことを伝えます。何をやっていたとしても、俺の気持ちとは全く関係がないと。笑っている那由多だけじゃなくて、どんな那由多も好きだと。それが俺の真実なんだと。

この変遷はいいですね。明るくてよく笑う那由多が好き、というところから、とんでもねえ闇を見せられて、いや、やっぱり俺はどんな那由多でも好きだ、という移り変わりがうまい具合に見せられていると思います。この時のCG、記憶にないんだけど、新規追加とかあったのかな。

最後はこんなセリフで締められます。ちょっと長いけど引用。

「例えば、ショーゴがこの先、おっさんになって、めちゃくちゃ冴えなくなっちゃって、時々浴びるほどヤケ酒飲んだとしても、その愚痴も♪」
「例えば、お腹がデブっちゃったりして、夜中の通販番組見てこっそりダイエットマシン買って、こそこそコンプレックスと戦ってもぜんぜん成果が出なくて」
「相変わらず、ぽこっと可愛く出てるとしても、その脂肪も♪」
「おい、人の将来を勝手に堕落させるなよ」
「ぜ〜っんぶ、大好き♪」
「おっと、ケータイ」
「せっかくのステキなシーンを邪魔するその野暮なケータイの音も、ショーゴの何もかもすべてを」
「今のセリフのどこが、ステキなんだよ?」
「愛してる」

想い出に変わる君

見事にバカップルっぷりを見せつけて終わりました。ちょっと薫を思い出しますね。薫って誰よその女。アマガミの薫ですね。あんたの悪いところ100個言える。いいところは101個言えるみたいな。ちょっと違うか?

⚫︎那由多ルートまとめ

かおるや巴と同じような、軽くノリのいいキャラと見せかけて、激重要素をぶっ込んでくるキャラです。ギャップがすごいですね。根が明るいんじゃなくて、闇要素を隠すために明るく振る舞っているところが、かおるや巴と決定的に違う要素でした。芸術系のキャラで、若干アーティスティックな電波を飛ばしている時もありますが、それも不安や緊張を打ち消すためのものであるわけで、とにかく全ての外面を塗りに塗り固めたような人格をしています。主人公はその外側に惹かれていたわけですが、最後は塗り固めた部分ではなく、全てが好きだと気づいて、物語は終わります。それが逆転しているのが、最後の引用ですね。お互いが全てを認め合う関係になったと。

那由多がいつ主人公を好きになったのかはわかりません。テキスト的には一目惚れとしか考えられないけど、この作品そんなん多そうですからね。想君のライターの思想なのかもしれない。恋ってのはな、一目惚れしか有り得ねえんだよ、みたいな。

那由多が正しくないことをやっていたのかどうか。これはやってたんじゃないかと思いますね。やってなかったらやってない、といえば終わりだし。やってるから、やってたとしたら嫌いになる? と聞くわけで。ただやってたかどうかはどうでもいいですね。少なくともショーゴの世界ではどうでもいいというのが、このルートの解答です。主観を大事にしろと。

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