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【表現評論】メモリーズオフ2nd コアレビューその10 希ルート(終)【全作再プレイシリーズ】

●メモオフシリーズ、その他作品、様々なネタバレが含まれます。

●前回の記事

●希ルート

と言いつつ希と望は一緒にやっていきます。タイトルに書きすぎるとタイトルネタバレになってしまうので。病弱後輩、しかも絵を描いているというみなも枠。じゃあ鷹乃は詩音枠か。静流は小夜美枠か。初代フォーマットに乗らないのはほたると先生か。

●思い出補正

私は星天の記事でこんなことを言ってました。

●声優ちょっと棒読み?
それもひとりやふたりではない。メインヒロインほぼ全員だ。なーんでこうなったんですかね。少なくともめちゃくちゃ上手いとは思えない。こっちの耳が老化してるのか。でも下手ってほどでもないし。普通のクオリティというべきか。プロとして最低限のクオリティは保たれているというべきか。棒読みっぽい声質なのか。サブキャラはみんなうまいです。はい。

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でも1stと2ndを再プレイすると、星天と大差ない気がしてきました。唯笑、かおる、ほたる、つばめ、巴は特に違和感感じないですが、他の人はそんなにこなれている感じはしない。新人だから当たり前か。でも2000年のクオリティは全般的にこんなもんだった気もするし、時代に対する相対評価と考えると、星天の方がアレなのか。でも結局聞いてりゃ慣れるんですよね。全ては慣れで解決。

●バイト先の仲間と海へ

水着に着替えるのを恥ずかしがる希。胸がないからと言う理由に対して、大丈夫! みんなないから! と返す主人公です。どういう返答だ。周りのやつ聞いてたらどうすんの。これ以上はないというレベルのNG返答をかましています。なんだろう。これが智也とか信だったら許される気がするんだけど、イナケンは変に真面目ちゃんなので突っ込まざるを得ない感じになってます。失言しまくりのやつが失言しても誰も気にしないというやつですね。水着は至って普通。今のところ夏らしく全員水着になってますね。鷹乃は競泳水着だけど。つばめだけなさそう。浴衣を着てた記憶はある。静流はあったはず。

●希と望

立ち絵が違うからわかりやすい。ときメモ2の方は判別不能なレベルなのでありがたい。

●CGのクオリティ

こんなんとか改めて見てみると、やはりCGは1stと比べて異常に質が上がってますね。ガンダムで例えると1stからZになったレベルで変わってる。発売期間も2年空いてますしね。初代が売れて、予算も確保できて、質も上がるという好循環があったんでしょうか。2ndも売れたから、想君も予算をかけた感じはありましたね。評判はともかく。むしろ過剰にかけ過ぎた気すらする。開発の事情なんか内部の人間にしかわからないんですが。

●時給850円

で結構高いと言っている2001年の相場。20年経つともはや最低賃金、もしくは以下ですよ。このファミレスも結構時代を感じますね。猫型ロボットもいないし、店員呼んで注文するスタイルだし。

●恋人いるんですか

という希(望)からの質問。こんなもん興味がありますって言ってるようなもんですやん。まあいるんだけど。こっちも彼氏いますから〜と返してきますが、いないだろ。彼氏詐欺か? 寿奈桜の前世か。と思ったら本当にいたらしい。全然記憶になかったわ。かおるだけじゃなかったのか。

追記 妹のために探ってた説が正しいかも。

●ほたるの嫉妬

バイト先で希と一緒に帰ってるとことがバレてたようで、詰問が始まります。いや、あいつ彼氏いるから〜と言い訳すると、なぜ彼氏の話などするのか、彼氏がいるからなんなのか、彼氏がいなかったらどうするつもりなのかなどという、高等な詰問が展開されます。ちょっと面白い。ほたるじゃ不満と言われても、恋愛に限らず、人間どうなっても満足なんてしませんからね。世の中みんながみんな待遇が悪い、給料が悪い、あーだーこーだと言ってますから。満足とは何なのか。

●本当は明るくないんです

希がそんなことを言い出します。いや、明るいと思ったことが一度もないんだが。設定上はそうだったのか。ほたるとか巴が明るいはわかるけど、希は基本ダウナーですやん。演じることに疲れたらしいけど、演じてもあのレベルなのか。

●ミスリード

希と望って別人だよね。二重人格と見せかけて別人というミスリードだったはずですが、テキスト読んでる感じでは全く別人には見えない。主人公は体調を崩しがちな希が気になってしょうがないという感じになってますけど、そんなに気持ちが寄っていくほどの何かがあったようには見えません。

●待ち合わせに遅れる男

ほたるとの待ち合わせに遅刻。こいついっつも遅れてんな。待ち合わせに遅れてほたるの機嫌を損ねてから、他の女に行くという、リバーブロー→ガゼルパンチ→デンプシーロール並みの黄金パターンが確立されている。

●希と望の違い

基本的に希は神対応。望は塩対応です。望と付き合うと、入れ替わってるのとは関係なしにイライラさせられそう。元カレの心境やいかに。

●多重人格

当時は流行りだったんですかね。このネタ。やたらと見た気がします。2ndの場合は双子だけど。ガチの多重人格は柚莉ですが、イノサンフィーユの時代になると懐かしさすら感じました。精神病のようなネタまで踏み込むと、メモリーズオフっぽくはないと思いますね。サブならまだしも、イノサンフィーユはメインにそれを持ってきてるからな。それは科学ADVの方でやってもろて。ではメモリーズオフとは何なのか。答えは各々の心の中にあります。

●ほたるとの別れ

お前なんでそんなに相摩さんのことばっかり気にしてんの、という当たり前の問いかけがやってきます。毎回喧嘩してるんで、もはや胃もたれ気味です。結局希とあいあい傘で歩いているところを見られ、お前も男と歩いてたやんけと揚げ足の取り合いに。たまにはさっぱり別れるルートはないのか。コンクールに優勝したら留学するんで別れる、優勝できなかったら彼女でいさせてくれという話で落ち着きます。それもどうなのよ。お前の愛はそんなもんなのか〜。ほとんど別れる前提で話してるんでしょうが。それはそれで優勝する確信があるってことにならないか。実は自信家なのか。誰のルートに進んでもほたるが食い込んでくるんで、どうもメインヒロインが頭から離れないですね。ほたるがめっちゃ人気なのも、延々と話に絡んでくるからというのはありそう。この記事もほとんどほたるの話しかしてない。希さんは体調が悪い描写ばっかりであんまり語ることがないんですよね。結局コンクールは優勝したんで、ほたるの方が健ちゃん捨てるんだよというセリフで幕を閉じます。実際、周りからみるとそうとしか見えない。

●希と望

物語もだいぶ進んで、ようやく別人であることが発覚します。希が姉で、望が妹? こんがらがってきた。入院してるのは望で、病弱な方が希? なんかおかしくないか。シナリオほとんど覚えてないんで、何が何やら。

●希とデート

海に行くけど主人公は疑心暗鬼に。これどっちやねんと。ぼーっとしてると、私の話ちゃんと聞いてくれてます? と突っ込まれます。このセリフを人生で一回も言ったことない女性いるんですかね。1000人集めたら998人は言ってそう。主人公は結局お前どっちやねんと尋ねます。ここでわかりますが、病弱な方は望ですね。病室に札貼ってるから当たり前ですが。キレ芸を発揮してメンタル不安定なのが姉の希、自信なさげで病弱なのが妹の望ということで理解できました。別人としか覚えてなかったので。質問の後に望の体調が急変して病院へ。母親と希が言い争っているところに鉢合わせますが、母親がブチ切れ状態で話し合える雰囲気ではないので帰宅します。入れ替わってるのがバレてブチ切れ状態のようですが、鷹乃に続いてまーた変な母親が出てきたよ。2ndは父親より母親がアレな作品なのかもしれない。

●希望

希は姉で望は妹。希が以前病気にかかって、おそらく望がドナーとなって回復した。今度は望が別の病気にかかったけど、今度は同じように治療はできないので、今のような生活になったと。週に2〜3回は通院が必要だけど、みなもみたいに手術しないと終わるみたいな感じではなさそうですね。ただ高校になってからはずっと入院中と。希も健さんのことが好きなんですと望から言われますが、そんな描写あったか? 基本塩対応だったけど。私に資格なんて、とか言ってたから、一応伏線っぽいのはありましたかね。でもあまりにも塩対応すぎるだろ。望のためにあえての塩だったのか。それにしてもなぜ希が主人公を好きになったのかが全くわからない。望はデートしたり悩み相談してたり、ありのままの君でいい、なんて言われてたりしたからわかるけど。彼氏と別れたあたりのやり取りとか、望から聞かされる話とかで、惹かれていったんですかね。ギリギリわかるようなわからんような。

希が望と入れ替わってた理由は、最初は望が可哀想だったからだけど、両親が優しくしてくれるのが嬉しかったから、というのが本心のようです。まあ母親とか見てもね、入院してる望には優しいらしいけど、希の方は当たりが強いからね。報われないキャラです。愛されないが故の、心のささくれが見え隠れして、どんどん好感度が上がっていく。姉っぽい。僕はこの手の可哀想なキャラに弱いです。望とは可哀想の質が違う。元カレがあいつに付き合ってたら身が持たないようなことを言ってたようですが、両親に愛されないが故の何かがあったんでしょうね。

望は澄空の美術室で素晴らしい絵を見て一目惚れしたと言ってますが、これみなもの絵だよね。絵を描いた人はどういうわけか澄空にはいなくなってると言ってるので、ぼかしてますが、亡くなったと考える方が自然でしょう。

希にも望にも、あなたはどっちが好きなんですかと問われる主人公。少なくとも君と会ってる時は君が好きだったと二人に答えます。この答えは凄くいいですね。そうとしか答えようがないし。二股だけど、主人公に非はないでしょう。ルートに入ってからは、意外に好感の持てる人物になってます。

見舞いに行ったところで二人のやりとりを覗き見する主人公。お互いに自分の感情を話し合い、二人とも(主人公)を譲りたくないという旨の話をしています。じゃあこれから主人公を巡って盛り上がるんだろうな〜と見せかけてからの〜。

●伝説の踏切 希エンド

マジで意味がわからん。ファンの間では伝説? の踏切です。思い出よりも唐突に出てくるな。そして思い出よりも意味がわからない。とりあえず希エンドの場合はいきなり望が電車に轢かれて亡くなります。なぜそんなところにいたのかは不明。死んだ後の展開も超絶すぎて語ることがない。その後をしっかり書けば、メモオフの中でも屈指のシナリオだったと思うんですけどね。誰がこんな打ち切りエンドにしたんだよ。ほんまに。ちなみにコアレビューは作品内だけで解釈するので、他の作品は考慮しません。

●望エンド

希が轢かれる以外はほぼ一緒です。望が踏切にいたのは、希が今まで望のことで散々悩んでいたことに気づいて、そのことに思い詰めている内に、あんなところにいたということですが、どういうこと。無理があるでしょ。

●希望エンド

どちらも選べなかったということで、希と望が合体する謎エンディングです。メモオフ史上、最もファンタジックな物語。全く意味がわかりません。もちろんいろんな解釈があることは知ってますが、作品内から全く推測できないので、意味不明としか言いようがないです。

●希ルートまとめ

正直、これほど失望感の漂うルートは他にないかもしれない。好きになった相手が希と望という、別々の人だったと発覚するところから、どういう風に盛り上がっていくのかと思いきや、唐突に踏切エンドに入ります。ここから先の三角関係を丁寧に描いてたら、メモオフの中でも1位2位を争うほどの神シナリオになったのではないかと思いますが、現実はそう甘くなかった。救いは、イナケンが他のルートよりは多少マシな男だったことですかね。こういうイミフな感じのやつは、まさに2000年前後の時代感を思い起こさせます。現代では通用しないと思う。望も希も後半になって境遇を理解すると好感度が急上昇してきて、お気に入りのキャラになったので、ますます惜しかった。リメイクしてもらいたいほど惜しい。

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