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【表現評論】メモリーズオフ 想い出にかわる君 コアレビューその12 音緒トゥルールート(終)【全作再プレイシリーズ】

●メモオフシリーズ、その他作品、様々なネタバレが含まれます。

⚫︎前回の記事

⚫︎話を聞かない人たち

想君は全員自分の喋りたいことしか喋っていない。会話のキャッチボールをしろ。人の話を聞け。かろうじて話を聞いてるのは、妹が一緒にいない時の音緒さんと、不安な早口モードじゃない時の那由多くらいじゃないか。

⚫︎カナタとかいう狂犬

付き合ってるおっさんの前で昔の男と楽しげに話す女。テンチョー(田中一太郎)はどんな気分なんだ。いくらおっさんでも、気分がいいとまでは行かなそうだけど。そもそもショーゴが昔の男だと知らない可能性もあるか。

全編において、やたらと君も変わったねえ、を連発するカナタ。変わってほしくないからそう言ってるのか、俺は変わってないけどね、というアピールなのか。何なのか。ここでカナタからタモルのライブに誘われます。しかも音緒と映画に行く予定の日のライブ。どういう意図で誘ってるんだ。この女は。田中一太郎と行けよ。ショーゴ君もどっちに行くかな〜じゃないんだよ。先に約束した方に行けや。この男はなかなかkz男の素質がありそう。女が全員初見で惚れる男だからね。女の扱いなんて適当でも許されるんや。結論は映画は朝行って、タモルは夜に行けばいいや、となりました。よくねえよ。全然よくねえよ。

⚫︎テンチョーの事故死

カナタとバイクデート中に、事故に遭ってテンチョーは亡くなります。カナタは擦り傷程度? テンチョーが死んだことで、弱っているカナタを見て、主人公とカナタとの心理的距離が近くなっています。

カフェがなくなったことで、行き場を失って、主人公はフラフラとしています。他の面々は前に進んでるのに、自分だけその場に留まっているというか、留まっていたいと思っているようです。

音緒はショーゴ君がカナタと付き合っていたことに気付いたようで、意気消沈して映画の約束も断りました。気を使いすぎやねん。カナタさんを見習ってくださいよ。カナタと同じ事務所でモデルやってたから、劣等感があったらしいけど。

カナタが入院する病院の前でと再会。どうも一目惚れではなく、チャリで送ってもらった時から気になっていたようです。お? 初めて一目惚れじゃないヒロイン来たな。初めて? ここで花の王子カミングアウトが来ますが、すでに知ってるからね。

主人公は昔見た事故のことを思い出します。バイクと、魚が散乱したトラックの事故だったらしい。トビーとマグローの父親か。

唯笑登場

周りはどんどん進んでいくのに、一人だけ置いてけぼりの主人公。どうしたらいいんだと思いならが、その辺で飯を食ってると、唯笑が現れます。落ち込んだ人間を慰めるのは慣れている人。ここで唯笑の語りが入りますが、唯笑は智也が唯笑よりも彩花が好きだったと考えているらしい。いまだにそうなんじゃないかと疑念があるとか。智也が何と言っても本人がそう思ってしまったらどうにもならないですね。結局、考えてもわからないから、考えてもわからないということが結論なんだよと教えられて、ショーゴ君は納得してます。

⚫︎音緒と見る予定だった映画

を一人を見ていると、一蹴という名前のキャラクターが出てきます。すでに次回作の主人公の名前は決まってたとかあるんですかね。内容はバッドエンド。映画館で音緒を見つけたので、現実はバッドエンドじゃない! 俺たちの物語には続きがあるよ! という高度な告白を実行します。音緒はあたしも続きを見たいと盛り上がっています。こいつら、ストレートに物を言ったらダメな縛りでもあるのか。ギルティギアのストーリーモードか。二股男? そんな弦の狂ったギターじゃハイになれねえんだよ。音緒さんはそのくらい言って欲しい。

「あたし、ショーゴ君のオンリーワンになりたい! いいかな?」
「うん!」

想い出にかわる君

このセリフからの〜、夜にはカナタとタモルのライブに行く男。伊波先生超えてるだろ。

⚫︎音緒とカナタの看病

寝込んでいると、いつの間にか部屋にいた音緒。合鍵使って入ってきたとか。マジ? 鍵渡すの早すぎない? 立ち絵が新衣装になってる。さすがパッケージヒロインは優遇されているな。季節がだんだん深まって来ているから、ノースリーブ衣装は無理があったらしい。で、音緒が帰るとカナタが看病に来るというね。こっちも新衣装。季節が変わったから全員そうらしい。カナタの方は合鍵持っておらず。でもさ〜。これ絶対両方にバレてるよね。来た痕跡を消してるけど、気づかんわけない。

この二股。一見クズ男だけど、カナタを放って置けないというのも一理はある。一理しかないけど。どちらかと言うと音緒がメインで、カナタをなんとかしないと、と思っているっぽい。

やってきた信には匂いでモロバレで、お前クズやな〜的なことを散々言われます。音緒の方が彼女という認識はされているらしい。お前のことは好きだけど、責任を取りたがらないところは時々カチンと来るとも言われます。傍観者気取りなのは色んなところで指摘されますね。それをあからさまに嫌っていたのがトビー。

⚫︎毎日女に飯を作らせる男

翌日も音緒がやってきて食事を作る。都合のいい女やな〜。もう体調治ってるんだから自分で作れ。音緒さんは風邪で汗かいただろうから、シーツを洗いたいと言い出します。カナタがベッドに寝っ転がってたの、バレてるだろ。絶対。匂いなのか髪が落ちてるのか女の勘かわからんけど。いや〜、楽しくなってきたな。想君。ショーゴ君はしょうもないけど。枕カバーにアイロンをかけている最中、香りつけのためにヴァーベナを2回、ローズを1回振りかけているところで、名言が飛び出します。

「ショーゴ君………あたし……三回に一度でいいから」

想い出にかわる君

流石に悲しすぎる。このセリフでショーゴ君もいい加減目が覚めたようです。

⚫︎制服でやってくるカナタ

別れを告げるために登離波橋で会おうとしたのに自宅にやって来るカナタ。なぜか浜咲の制服です。あの頃に戻ろうよと。戻らねーよ。別れ話(付き合ってない)を察知してやってきたらいし。そもそもなんでそんな制服保管してるんだよ。捨てろ。いつ着るつもりだったんだ。制服って捨てない方が普通なの?

カナタはお前、私と田中のこと疑ってるだろ、何があったか気になってるだろ、嫌疑かけてるだろ、田中のことで自分を責めてる私を憐れんでるんだろ、と猛攻を仕掛けてきます。何があったかって。バイクでデートする仲だぞ。疑うほどのこともないでしょ。

あーだこーだと言い合った後、音緒がやってきたのを察知して、カナタは帰りました。プレゼントにもらったガラスのダイヤはまだ持っておく、あとは音緒に全部あげると言い残して。なんでそんなにあっさり諦めたん。もう少しなんかないのか。

と思ったらバッドエンドに。やり直し。

⚫︎カナタの悲しき過去

いや、悲しき過去はないんだけど。なぜこういう我儘放題の人格になったか語られてます。母親と祖母の確執で、いつも理路整然としてた母親の方が正しいと思ってたけど、よくよく考えると感情モンスターだった祖母の方が羨ましかったと。ほぉ。理論派が翻って感情派になったってことですかね。いや、そこは理論派のままでいてほしかった。

主人公と別れたのは、祖母が死んだ時ほっとしている自分に気づいて、自分はショーゴを利用しているだけかもしれないと不安になったからだとか。自分が思ったより悪人だと気づいて、ショーゴ君を利用している可能性に自覚的になったってことですかね。

カナタの話を聞いてると、ショーゴのことがテンチョーとのデート中にチラついて事故ったんじゃないかという気がします。明示されてるわけじゃないですけど。

この場面、選択肢を間違ったらバッドエンドなんですが、非常に不自然な会話になってます。何せどこで間違っても同じテキストでバッドエンドになるので。誰もチェックしてないのか。確か全員クリアしないとカナタルートに入れないんだっけ。だからテキストがおかしくなるんでしょうか。

音緒がやってきたので、カナタはこのくらいにしといたるわ、と言って帰りました。昔誕生日にもらった石だけはずっと持ってるよと。

なんかこの辺めちゃくちゃバグってるんだけど。音緒と話している最中に帰ったカナタとのセリフが始まり、バッドエンドに向かうという謎現象が。どのみちその前の選択肢を間違っていらしい。

バッドエンド回避すると、音緒が部屋に来て、カナタの制服のリボンを発見します。本当に何もなかったわけですが、これで何もなかったは流石に無理では? と思ったけど、ショーゴ君が男気を見せて、何にもねえよ! これも返してきて、二度と会わないから! と言ってのけます。公園にいたカナタにリボンを返す主人公。最後に指に蝶結びしろと謎の要求を告げてくる。どうやらこの二人は同じ幼稚園に通っていたらしく、カナタはその話をしています。主人公は全く気づいていない。だから最初に電車で会った時、向こうは知ってる素振りだったわけですね。結局カナタはリボンを受け取らずに放り投げます。それを放置できずに持って帰る主人公。アホです。

⚫︎リボンを隠す男

結局リボンは捨てずに、その辺に隠す男。バカです。そのうち返すじゃなくてすぐに捨てろ。それにしても、高校生を部屋に連れ込む大学生って、厳密に言えばアウトではないか。ショーゴ君の部屋を自分好みに改造する音緒。めっちゃ楽しそうだけど、上げて落とすやつですよ。これ。

⚫︎重い女

なんでも甲斐甲斐しくやってくれる音緒。主人公は、カナタと比べるとちょっと重くねーか、と思ってます。あれと比べたらそうなるよ。相手高校生だからね。多分初めての彼氏だし。ハッピーモードで手がつけられない状態に。

多くを知る。そして、やったりやらなかったりする。それが、センス。オレはそう思うよ。

想い出にかわる君

テンチョーの名言っぽいものが出てきます。これは確かにそう。初めてテンチョーに同意した。

⚫︎上げて落とす

大学から帰ると、突然音緒の持ち物だけさっぱりなくなっています。当然、リボンを見られたからです。アホやね〜。この人。合鍵はポストに入っているという徹底っぷり。女の心変わりはおそろしぃの〜。やっぱり南斗孤鷲拳の伝承者の言う通りですな。三回に一回で良いっていたじゃん! 嘘つき!

急にリプレイマシンがかかる演出が入るけど、この曲そんなに刺さらないんですよね。水樹奈々は好きだけど、メモリーズオフOPの水樹奈々はそこまで刺さらない。オルゴールとピアノとは名曲ですけど。しかも飛ばせないという粋な計らいが。

登離波橋でカナタにリボンを返し、ようやくカナタと決着をつける主人公です。カナタとは永遠に分かり合えないということで、気持ちに整理をつけました。だからと言って音緒さんが戻って来るかはわからない。

⚫︎最後の男気

マグローは寿司職人を目指して修行。シンは海外旅行に向けてバイト三昧。カナタもいない。音緒に送ったメールも返事なし。彷徨っていると、信の計らいで音緒がマンションに来ました。信君大活躍です。たまにはいいことするな〜。

重い女状態だったのは、カナタを意識しすぎていたからだったようです。ショーゴのことをたくさん知っているカナタには負けたくねえ、みたいな。まあね。高校生だからね。全部それで解決させる。なんかグダグダとカナタのことを言い訳していた主人公ですが、最後は男気を見せて、お前のことが一番好きなんだ! もう一回俺の彼女になってくれ! と告げて終わりました。

⚫︎音緒ルートまとめ

なんかね。可愛いよね。音緒さん。ちょっとめんどくさいけど、面倒なところも可愛いみたいな感じで。ギャルゲー的には美味しいキャラです。あんまり特徴はないんですが、特徴がないのが特徴で、普通の女の子、という感じがします。メモオフに普通の女はいないからね。基本。

音緒は最初は姉としての役割に徹していたわけですが、それも限界に来て、花の王子として暴れ回り、妹と感情をぶつけ合うのが前半パートです。後半は有頂天ハッピーモードは見せかけで、カナタを意識しすぎて重い女になり、私は三回に一回でいいと言っておきながら、昔の女に嫉妬してブチ切れ逃亡します。溜め込んでから爆発するという、ノエルタイプの女。全体的に、なんだろう。すっごいなんだろう。女性的な物語という気がしますね。最後もショーゴ君の理想通りの女の子にはなれないよって言ってますし。こういう演じるのに疲れた系の話は、あんまり男性的ではない気がする。自己犠牲はもう無理、という結論に達しているので、唯笑さんとは違います。違って良いんだけど。

普通に可愛いという、メモリーズオフでは珍しいキャラでした。さすがパッケージヒロイン。

ベストスマイル賞



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