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【表現評論】メモリーズオフ2nd コアレビューその11 静流ルート(終)【全作再プレイシリーズ】

●メモオフシリーズ、その他作品、様々なネタバレが含まれます。

●前回の記事

●ほたるの姉

姉とくっつくルート。気まずいレベルじゃない。ほたるは義理の妹になって、今後冠婚葬祭等で毎回顔を合わせることに。ほたるはピアニストになるので、日本にほとんどいなさそうなのが救いか。ほたるの旦那も気まずい。

●静流と海へ

主人公、信、ほたる、静流と静流の車で海へ。こいつらいっつも海に行ってんな。ほたるの彼氏ならおかしなことも考えないだろうと、日焼け止めを塗るように言われます。流石に男の理解が浅くないか。異常なくすぐったがりで全く塗れないというね。なぜ頼んだ。それにしてもほたるの水着の肩紐が緩んでるのが気になる。

信から静流の澄空時代の写真を見せられますが、サービス的に小夜美も映ってます。1stのキャラが映像として出てくるのはこれだけじゃないですか。他のキャラは名前すら出てこない。話の中で仄めかす程度です。

主人公、ほたる、静流の分の貝殻を拾うシーンがありますが、二人分しか見つからなかったので、主人公は自分の分をほたるに返します。ほたるから物を貰いたくない、という心境のようですが、微妙な気持ちを薄れを感じさせます。

帰りのラッシュに巻き込まれそうになったので飛ばしまくる静流。スピード狂です。プロレス好きだったり、スピード狂だったり。元ヤンくらいの設定があってもおかしくない。

●ほたるの誤解

つばめの髪が主人公に引っかかって解こうとしてるところをほたるに見られ、謎の誤解を受けることに。しかし主人公は立ち去ったほたるを追いかけようとはしません。そこまでほたるに思い入れがない、というのが正直なところか。

●静流との会話

静流の勧めでなんかプレゼントして謝れという提案を受けます。謝りたくても謝れないなんてこともあり得るから、はよ謝れと。そういう過去でもあったのか。やたらと頭撫でてくる癖なんとかしてください。こんなん絶対好きになりますやん。とりあえずオルゴールを作ってプレゼントする作戦を立てますが、そもそも別に健ちゃん悪くないんだよね。勝手に誤解するマンが悪いんだけど、世の中理不尽なんで、なぜか謝らなければならない時がある。しかしほたるに話しかけても忙しいからと去っていきます。ストーリー上仕方ないとはいえ、ほたるはいつも怒ってるイメージがついてしまいました。

●再び静流と会話

ベンチでオルゴール作ってる最中に静流と遭遇。本当にこれ受け取ってもらえるのか、そもそもほたるへの気持ちは冷めてるのでは、と思いつつ、流石に姉には言えない主人公。オルゴールの悲愴を聞いた瞬間、静流は青ざめています。なんかトラウマでもあったっけ。静流のストーリーも全然覚えてません。2nd自体ほとんど覚えてない説がある。

●塩対応は続く

いつまで経ってもほたるとまともに話せません。まああれやこれやの積み重ねでブチ切れ状態なので、つばめのことだけじゃないですよね。他のストーリーでもありましたけど、主人公がほたるのことを(恋愛的な意味で)そんなに好きじゃないということに、ほたるは気付いてるはずなので、ブチ切れというよりも、諦めモードなのかもしれない。でもこれだけは健ちゃん悪くないです。

●コンクールで優勝したらオーストリアへ留学

ということを静流に知らされます。主人公は知らなかったわけですが、これもな。本当に興味あるんだったらそのくらい調べないか。2001年って、ネットもあったし。予選からずっとやってんだから、予選を見に行けば、そのくらいの情報入ってくるやろ。ちょっと調べりゃ自然と入って来る情報を調べないくらいの関係性が読み取れる。ほたるが教えなかったのは、主人公と離れたくないから、教えて気持ちが離れるのが怖いから、と理由はそれなりにありますが、主人公が知らないのは単にそこまで興味がないからということでしかありえないんですよね。別に悪いことではないけど。

静流に頭を撫でられてるところをほたるに見られ、万事急須です。ほたるはもう終わりにしようと言いますが、主人公は好きだよ、と心にもないことを言って、嘘つき呼ばわりされます。もう終わりやね。終わり。結局ほたるがどれだけ主人公のほたるに対する興味の薄さを我慢できるか、というところで関係性が保たれているわけなので、我慢できなくなった終わりです。どのルートでもそれは共通している。

自分がイナケンのアンチと化すときは、「他の女と二股かけている」時にまつわる行動がメインで、一番強く出ていたのは巴ルートです。なんで二股だけあかんのかといえば、自分の倫理観に合っていないというのも当然ありますが、ほたるが許してないからです。当たり前だけど。私は週に何回かでいいとか、音緒さんみたいなことは言ってないので。その時はイナケンアンチです。ただそれ以外の場面では、正直ほたるの方が付き合ってもらっているという立場に近いので、ある意味全てを許していると考えます。ほたると主人公のみの関係性で考えると、主人公にほとんど落ち度はないですね。大遅刻くらいか。ただしょっちゅう遅刻しては許してるっぽいので、これも結局は惚れた弱みという感じですが。ほたるちゃんの自業自得っちゅうことやね。結局、開始時点からあまり健全な関係ではない。それを克服するのが、ほたるルートということなんでしょうが、本当に記憶がない。グラウンドに白線引いてた記憶しかない。

●仮病でバイト休む

と静流が家までお見舞いに来ます。仮病なのに。あんな気まずいシーンを妹に見られてよく顔を出せるな。それに責任を感じたからこそ来たらしいが。主人公は仮病なのにアイスを食べさせてもらってます。静流は人を極限まで甘やかすのが得意技らしい。ダメ男製造機です。いや〜、ほたるより静流さんの方がよくないか。ほたるは天才特有のワガママさが見え隠れするので、あまり好感度は高くない。他ルートの可哀想加減のおかげで結構加点されている感じがある。

●静流のポンコツ要素

バイト中に静流が来店。プロレス狂とかスピード強とか薬を一粒ずつしか飲めないとか、まあまあポンコツ要素が多い。プロレスはそうか? お菓子作りが得意なのは不断の努力の結晶らしい。自分が作ったお菓子を男に食べてもらったことがほとんどないとか、現実なら絶対嘘だろとしか思わないけど、まあ物語だからね。

わたしね、大好きな人と一緒に、おいしいお菓子を食べてなごむのって、すごく幸せだと思うのよ

Memories Off 2nd

いい言葉でなので、静流の名言として引用しておきます。ただこれを言ったせいで、静流は自分が主人公が好きなのではと気付いたっぽい。気まずい雰囲気の中、速攻店から出ていきます。ただ携帯を忘れたので届けることに。そこでほたると全く口を聞いていないことを聞かされます。関係は最悪状態に。静流は静流で主人公と指が触れただけで激しく拒絶する様子を見せてます。気付いちゃったか〜。

●本当に体調不良に

眠れなくて徹夜になってしまったせいか、本当に体調不良になる主人公です。バイトでミスりまくり。考えてるのは静流のことだけ。ほたるのことは完全に消えてます。とにかく会って話を聞かなければということで電話すると、一応会えることに。

●ほたると静流

いつもの公園で待ってると、ほたるも一緒に登場します。その瞬間の主人公のツラが見てみたい。舌打ちくらいはしてそう。登場シーンのBGMはなぜかバラードの3番。テキストでもほたるが来た瞬間、疎ましく感じたと言ってます。かわいそ。主人公の方も静流が好きなんだと気付いたシーンです。当て馬か。ほんまにかわいそうだけど、まあ仕方ないね。今回はほたるが自分で蒔いた種だし。静流の意識が行きすぎて、ほたるとは特に何も話さずに別れます。

●魔女のプリンの話

魔女のプリンの話は2ndコアレビューその4で出てきます。セルフ引用。

食ったらもう一回食いたくなるけど、2回食ったら死ぬプリンのお話。静流はどこか魔女っぽい。もう主人公食っちまったよ。もう一回食ったら落とされる。年上キャラってまあこの手のゲームでは大体不人気ですが(しかも大学生だし)、静流はなんかツボをついてくるキャラですね。年上キャラが基本不人気なのは、そもそも手抜き&ボリュームが少ないということもありますが、余裕見せてくる感じがダメなんだろうなという気がする。静流は余裕がありそうで、余裕がない。

魔女のプリンは2回食ってはいけなかったらしい。静流はちょっと魔女感がある。男を沼らせる魔女。倫理観の怪しさに定評のある伊波さんも、恋人の姉を好きになるとか、流石に最低では? と自問自答していますが、それでも静流が欲しいという結論に至ります。そういう自覚があるなら仕方ないね。自覚なしにフラフラするのはカッコ悪い。静流ルートの主人公はそんなに悪い気はしないですね。巴ルートを最初にやったせいか、悪すぎる印象がついてしまった感があるな。鷹乃ルートも希ルートも、そこまで印象が良いわけではないですが。なぜ静流が悲愴を聞いて悲しそうな顔をしたのか気になった主人公は、とりあえずオルゴールを完成させることにします。静流から電話があってとりあえず会うことに。

●静流と公園で再会

遅れてくる静流。炭酸系の飲み物を頼んだのに、なぜかお茶を持ってきます。動揺しすぎでは。本題に入ると、悲愴は大好きで大嫌いと言い出します。マクロスの歌か。ここで静流の過去話。元々めっちゃピアノうまかったけど、天才のほたるにあっさり抜かれて脳が破壊されたという話です。ほたるの天才的な悲愴を聞いて初めてピアノで感動して、そしてピアノを辞めたと。才能って残酷ですね。と言いたいけど、この手の人って諦めが良すぎるんだよなぁ。僕なんかは最後まで弾いた方が勝ちだと思いますね。静流はほたるのピアノを悲しいものにしないで、と言いますが、主人公はもうほたるを受け入れることはできないと拒否します。ここで男気告白。答えがなんであれ、もうほたるには戻れないと言ってます。いいね。毎回このくらいやってくれよ。

健くんがほたるのことだけ見ていれば、わたし、自分の思いなんか諦められたのに!

Memories Off 2nd

ということで、静流の気持ちも分かりましたよと。わかったところでどうしようもなく、静流は大事なものを諦めるのは慣れていると、立ち去っていきます。

●ほたると別れ

毎回ほたると別れって書いてますね。毎回別れるからしょうがないんだけど。とりあえずオルゴールを完成させてほたるに渡し、本当に好き「だった」と告げて立ち去ろうとします。それも本当かね。その好きはほたるが求めたものではなさそう。少なくとも満足する熱量ではなさそう。

健ちゃんひどいよっ! どうして、どうしてお姉ちゃんなのっ!? どうしてほたるじゃ駄目なのっ!?

Memories Off 2nd

全くもってその通りなことを言われます。そんなこと言ったってしょうがないじゃないか。追加で散々文句を言われますが、言い疲れて諦めたように別れを受け入れました。二人を応援するという話で落ち着きます。ええ子や。

●鉄壁の姉

静流は携帯電話の番号も変え、完全に主人公と会わないモードに入ってます。信との会話で、静流はほたると一緒にオーストリアに行くのではと察する主人公です。でもさ〜、こんな状況で姉がついてきても気まずくないか。あまりにも気まずい。ほたるの方が拒否するでしょ。間違い推理ですわ。しかし結局どうやっても会えないんで、ワンチャンほたるのコンクールを観にくることに賭けます。

●コンクール

題目はリストの愛の夢。ほたるのピアノは以前のように天真爛漫なものではなく、深みと広がりのあるピアノになっているとか。それはいい変化なんですかね。得ると失うは両立不可能だという事実がどこか物悲しい。深みなんて、年食えばみんな持ってるんじゃないのか。どのみち天才だから優勝はするわけですが、唯一無二ではなくなったというのが実際のところという気がする。主人公はコンクール会場で静流を見つけますが、静流は泣いていました。捕まえようとしますが、秒速で逃亡されて行方不明になります。

●静流と公園で

いつもの公園。この世界にはこの公園しかないんか。コンクール当日もコンクール翌日も散々探し回った挙句、夜に例の公園で静流を発見します。仮に付き合っても絶対気まずいというか、ほたるのことが頭によぎってどうにもならないという、至極当たり前のことを言われます。家族は死ぬまで家族だと。健くんなら好きになってくれる人がこれからも現れる(から諦めろ)という話に対し、静流が好きだと気付いた時、ほたるに何も思わなかったとでも思ってるのか、俺の気持ちはそんなに軽くないと言い返したところで、決着がつきました。これからは大事なものを諦めるような生き方はしてほしくないと。静流はほたるのピアノを聞いて二人の関係が戻ったのだと勘違いしてパリに逃亡しようとしていたようです。勘違いとは恐ろしい。最後に魔女の話が出てきます。綺麗にまとまった。

●静流ルート まとめ

完璧に見えてポンコツ。人を甘やかすのは大得意。という、そばにいたら100%好きになりそうな人物ですが、その裏では妹のために全てを諦めてきたという過去があります。自信があったピアノで、天才の妹にあっさり抜かれ、プライドを粉々に粉砕され、自分に絶望したという、いかにも長女っぽいキャラです。そこから転じて、妹のためならなんでもするという人格が形成されましたと。その優しい姉が、妹に先んじて、自分が本当に欲しいものだけは手に入れたというお話です。

恋人の姉と結ばれるということで、一番ドロドロ&修羅場&なんなら殴り合いくらい起きてもおかしくなさそうな内容ですが、かなり綺麗にまとまったお話です。主人公もそれなりの男気を見せ、ほたるにもしっかりと別れを告げ、ほたるの理解も得て、静流と結ばれると。これ以上ない終わり方では。巴ルートは主人公が色んな意味で終わってるし、鷹乃ルートと希ルートはソードマスターヤマトエンドだったので、こんなに華麗に物語を着地させたルートは初めてでした。やっぱね、主人公はこのくらいの男気を見せて欲しいですね。あ〜、巴と付き合いたいけど、なんかほたる振るのもめんどくせえな〜、みたいなところとは打って変わったキャラになっています。ルートで人格が違うのはギャルゲーあるあるですが。魔女の話が綺麗に回収されるのも、芸術点が高い。静流ルートはダントツに完成度の高いルートでしたね。まだつばめとほたるは終わってないけど。


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