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【表現評論】メモリーズオフ それから コアレビューその15 葉夜ルート2(終)【全作再プレイシリーズ】

●メモオフシリーズ、その他作品、様々なネタバレが含まれます。

⚫︎前回の記事

⚫︎オルバースのパラドックス

ってあるでしょ? と言われても、普通知りませんよ。物理やっててもオルバースのパラドックス知ってる人はあんまりいなさそう。自分も大昔にそれからで知りました。実は才女説。

いのり、アメリカに行くってよ、の流れから、のんちゃんに相談を持ちかけると、こんな流れになりました。宇宙にはこれだけ星があるのに、なぜ宇宙は暗いのか、っていうパラドックスですね。星が無限にあって、無限に光り輝いてるなら、世界は真っ白でもおかしくないと。実際は星の寿命が有限だし、光の速さも有限だし、そもそも宇宙が広すぎるから、そうはならないというところが、科学的な説明です。のんちゃんワールドによると、夜が暗いのは、灯火を大切にするためらしい。これはなかなか解釈が難しいですね。人間が楽しかった思い出(灯火)を大切にできるのは、夜が暗い(悲しい思い出がある)からだということでいいんでしょうか。のんは一蹴君のともしびになりたいと。もう完全に惚れてますやん。

⚫︎事故の真相その2

のんちゃんは一蹴君が誰なのか気づいてたという話。りかりん編で触れたのでカットで。

⚫︎病院の前で父親を待ち続けるのんちゃん

これもカット。いつもニコニコの割に、相当病んでることは伝わってくる。

⚫︎りかりんも一蹴君のことを知っていた件

これもカット。カフェルート被り多過ぎでしょ。

⚫︎好きって言うのやめる

りかりんが一蹴君のことを好きだと気づいて、もう好きっていうのやめるね、と言うのんちゃんのシーン。りかりんが瞬間沸騰してビンタくらって修羅場です。修羅場でもないけど。りかりんが一人でキレ散らかしてるだけ。身を引こうとするのんちゃんに対して、俺が好きなのはお前だから、ときちんと伝え、一旦結ばれます。もちろん、こっから落としていくのがメモリーズオフです。

⚫︎相変わらず毎日待ち続けるのんちゃん

父親は亡くなってるのに、毎日待ち続ける人。ホラーでしょもはや。病院に行って呼び出してもらおうとすると必死で引き留めているので、事実は認識しているような気もする。

⚫︎真実

のんちゃんを驚かせようと病院に訪れると、やはり父親は亡くなっていました。のんちゃんも病院内では知れ渡ってる存在のようです。そら毎日入口にいたらそうなりますよ。いやぁ。このルート重いな。カオスヘッド的な重さがある。

家に突撃すると母親が出てきて、一通りの事情を聞かされます。父親の死を受け入れないし、言うことも聞かないし、もうあいつはあかんわ、という感じで諦めモードです。

のんちゃんの家にある秘密基地に潜入すると、大量の思い出の品に塗れてました。父親に出した手紙も散乱している。父親出した手紙って、どこに出してたのよ。ここに出してたのか。完全にメンタルブレイクしてますやん。のんと呼んでいたのは父親だったようで、だからのんと呼ばれることに固執していたようですね。父親の蔵書を読破していたらしいけど、これ結構すごくないか。小中学生が自力で読んだということなので、やはり天才か。

手紙を読んでいくと、恐ろしい事実が開示されていきます。一蹴をバイトに誘ったのは、父親と約束した、黒い気持ちを持たないようにと言う約束を遂行して、父親が帰ってくることを望んだのが理由だったとか。怨敵と言ってもいい一蹴君とニコニコ話していたのも、好きになったフリをしていたのも、納得がいく理由です。これは腹黒と言っていいのか。これだけ内面を隠せるなら、もはや表面に現れてるものに本質が宿ってると言っても良さそうですが、憎しみを押し殺しているのは間違いない。押し殺してる嘘ついてるからニコニコできると。

しかしかなり入り組んだストーリーですね。りかりんのおまけ程度に思ってたけど、全然おまけじゃなかった。あとナマチューは実在しなかったです。みんな知ってた。

一蹴君はのんちゃんが自分を取り戻して前に進むには、真実を理解して自分が憎まれるようにするしかないと結論づけます。流石に悲しすぎない。愛ゆえに憎まれるしかないと。まあ本当は両親の仇みたいなもんですからね。憎まれる方が普通なんですが。

⚫︎思い出ファイアー

のんちゃんが未来に進むために一蹴君がとった行動は、のんちゃんの秘密基地にあるものを全て燃やすことでした。ここにある秘密は、のんちゃんが留めようとする過去ですからね。しかし母親に了解を取ったとはいえ、流石に? やりすぎでは? 汚物は消毒だ〜とばかりに、父親への手紙を含めて、全部燃やしてしまいました。

とどめに、お父さんを殺した俺を好きになるっておかしいだろ! と問い詰めると、ようやく感情を取り戻します。ここまでやるか。

「憎いよ? 一蹴君」
「……何度も、殺したいって……思った……!」
中略
「お父さんを返してよ……」
「返して!」
「なんで、一蹴君は生きてるの!?」
「死んじゃえばよかったのに!」

メモリーズオフ それから

最終盤でようやく出てくる本音。重いよぉ。愛ゆえに人は憎まれなければならぬ、という勢いで、傷つけるだけ傷つけて、シーンは終了します。

「出会わなければよかったね……」
「私たち……出会わなければよかった……」

メモリーズオフ それから

あまりにも悲しい結末です。

⚫︎ファイナルラストシーン

男気ケジメとして街を出ることにした一蹴君。駅を立つところで、カナタに秘密基地には第二の秘密基地があったことを聞かされます。そっちの部屋には一蹴との思い出の品がたくさんあったとか。まあ好きなことは好きだったわけですね。

半年後、誰にも教えてない住所にのんちゃんがやってきます。以前プレゼントすると言っていたフライパンを抱えて。お前の秘密はなんでも暴くと。しかもメガネ外してんじゃん! 嘘つき! 可愛いから許すか。

のんちゃんは最後に葉夜と呼んでとお願いしてきました。これで過去というか、父親のことは吹っ切れたってことですかね。うーん。もうちょっと経緯があってもよかった気はするけど、これはこれでいいのかな。元々好きだったわけだし。半年くらいは愛憎半ばで苦しんだということで。

最後はりかりんのインタビューシーンでした。みんなバラバラになっちゃったけどズッ友だよという内容です。のんちゃんのルートなのになんで最後りかりんやねんという。

そしてファイナルラストにナマチューの実在が言及されました。しかし正体は謎。実在はするらしい。

⚫︎のんちゃんルートまとめ

秘密大好き、いつもニコニコ、謎のワールドを発動する天才少女、と思いきや、その表情は全て仮面で、父親の死を受け入れずに、いつまでも秘密という名の過去に立ち止まって、父親との約束を守り続けているという、とんでもない闇を抱えているキャラです。ここまで病的なキャラいたかな。イノサンフィーユは別枠だから除くとして、ちなつくらいか。

いや、それにしてもこのルート、やる前は結構舐めてましたね。雅とりかりん終わったし、あとはいのりまでおまけか〜などと思っていましたが、なかなか素晴らしいお話でした。しかもドス黒い。全てが最後にひっくり返されるという、メモリーズオフとしては珍しい構成でしたね。正直りかりんルートより良かったかもしれない。自我を取り戻してからをもうちょっと丁寧にやっていれば、雅ルートにも劣らないお話になったのかもしれません。いやぁ。惜しいな。ほたるルート並みに惜しい。ほたるルートと希望ルートとのんちゃんルートをセットでリメイクしてくれ。頼む。

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