アリーナ・ザ・コンテストについて

1.このゲームについて

1キャラクター単位で、繰り返されるラウンド中に移動と行動を繰り返して、対人、あるいは目的をこなしていく、ファンタジー系ボードゲームだ。
ゲームモードは3つあり、1つはアリーナ4vs4の対戦でキャラクター同士で戦う、2つ目はクエストで4キャラクターである目的をこなしていく、3つ目はそのクエストを連続させ、成長要素を加えたキャンペーンモードになる。

プレイヤーキャラクターはそれぞれタンク役などの役割と、4つの技を持ち、2つは必殺技で1回の使い切りとなる。ルールは単純で、一番近いものといえば、ボードゲームではなく、移動や射線の扱いなどを簡略化したD&D4eと言っても過言ではないと思う。

この手のゲームは大好物であるが、基本的に様々な理由からリプレイ欲が削られることが多いので、あまり期待せず購入した。だってルールをざっと見る限り、単純すぎるんです…A4見開きの裏表で、ほぼルールの全部になるくらい。移動と攻撃繰り返すだけのゲームだしね。

2.ファーストインプレッション

まず、ルール確認の為に、一番最初のクエストを並べて、1人で4人分を動かすことにする。
が、思った以上にキャラクターのことが把握できておらず、キャラクターの動きは微妙になっていた。
技は個性的だし、キャラクターの特性と呼ばれる特徴を活かそうと思ったら、意外と4人扱うのは慣れてないと厳しいと思えた。

そして、先日3人でプレイした時、このゲームのプレイ性への気遣いが思った以上に高いことが分かった。

3.プレイのしやすさ

まず、セットアップがインサートを含めてやりやすい。
タイルはきっちり収まるべき所に収まってるし取り出しやすい。大きさが一定のスクエアマップゆえに、配置図も見やすいので配置もある程度は早い。
5種類の敵の種類がそれぞれ1-4体用意されており、シナリオにより今回このフィギュアはオークとして扱います。という感じなので、その5種類の取り扱いだけなのでどのフィギュアを使うんだ? って迷いはない。
まあ、だからこそ物足りない部分もあるが、プレイされないよりはいい。
そして何より、敵フィギュアを入れる場所は基本的に同じ大きさで作られており、片付けが楽だ。
このフィギュアをしまう方向は? 場所は? で迷うことがない。

ほかのファンタジー系ボードゲームに比べてルールが単純だ。
これは次にプレイするときに確認することが少ないことを示している。また、別の人が入ろうとしてもすんなりとゲストとして入ってプレイしてもらうことが可能になる。

そして、ルールが単純な分、手に入れるアイテムの把握や、入手する神業(パーティ全体で管理する必殺技)など、どれが必要なのか? というのが把握しやすい。
よくルールを把握してない人とどのアイテムが有効だと思う? という会話は成り立たないが、その心配が少ない。

そしてそれ故にクエスト毎のオリジナルルールが面倒ではない。
結構重めのシステムだと、クエスト毎にルールが追加されると、基本ルールが多いのに、これ以上追加されても面倒…という気分になることが多いが、このゲームではそれはなかった。適度な緊張感をもたらすルールになっており、それはすなわちクエストを楽しめることになる。

さらにプレイのしやすさにも工夫がなされている。
まず、各キャラクターのフィギュアに対応したマーカーがあり、それらは周囲に配置されHPとして扱われる。
これは敵味方のHPを確認するのに、いちいちその人の手元を覗き込まなくていいことを指している。
あいつにとどめを刺せそうだから攻撃、この人が死にそうだから回復という判断が、人にHPを確認する作業を飛ばしてできるのはすごい快適。

攻撃が状態異常を与える場合、カードそのものをそのキャラクターやモンスターに与えるだけで、状態異常を示している。このカードが無くなったら状態異常が解除される。
これはいい手段なのだが、その状態異常については別表参考なのが少し微妙かな?

キャンペーンブックについて、雰囲気十分の描写たっぷりで朗読するには、うんざりするほどに苦痛に思えるシナリオがたっぷり書かれている。
だが、重要な部分は抜き出して書かれていたり、本当に重要な部分は太字になっていたりと全部を読まず要約できる。これはキャンペーンブックを見るGM役がほかのPCが飽きてるなーっというときに時短できるし、次のプレイ時にシナリオを見直すにも使える。

難点としてクエストブック、キャンペーンブック、キャンペーンカードと3つを行き来する部分が面倒といえば面倒。

4.気前のいいGM

このゲームのキャンペーンではパーティ共通で得ることができるXPを消費し、装備アイテムである聖遺物、消費アイテムである巻物、スキル、ステータス上昇などを行う。
この手のゲームでよくあるのが、巻物などはランダムで入手とか微妙に意地が悪い物が多いが、これは結構フルオープン、特定のもの以外は買い放題だし、成長だって一人にXPを注ぎ込んでもいい。
その単純なルール故に、こうなれば強くなると言う部分が即座に分かり、それを補うアイテムや成長を自由に行えるのは素直に楽しい。
ダメージがどんどんプラスされるゲームでは無いので、そのあたりでバランスをとっているのだろう。
ともあれ、ここまで気前よく成長を楽しませてくれるこの手のファンタジー系ボードゲームには出会ったことがないので新鮮だ。

キャラクターではなくパーティとして強くしていく感じも、ほかにはあまりないかな?

5.総評

ルールは単純だし、他のファンタジー系のボードゲームらしさはないし、目新しさなどはほぼ皆無だ。
けど、ファンタジー系TRPGみたいなボードゲーム! って謳い文句のボードゲームに、どうせこうなるんだろ? みたいに斜に構える感じがある人には手にとって欲しいコンポーネントとルールのプレイしやすさと、単純に楽しませようとする姿勢がなんとも気持ちいいゲームだったりする。
値段以外は興味があれば、おすすめできるゲームじゃないかな?

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