見出し画像

心理的安全性のあるチームとは

研修医教育のための知識。
前回は経験学習とフィードバックについてでした。
今回は心理的安全性についてです。

一冊読んどくかと読んだのがこの本です。

Amazonリンク




心理的安全性

「心理的安全性」の歴史

「心理的安全性」はハーバード大学で組織行動学を研究するエイミー・エドモンドソン教授が1999年に概念を提唱した言葉です。

エドモンドソン教授は、企業活動における様々な成功事例、失敗事例について、その要因がどこにあるのかを調査し、ある共通的な因子があることを発見しました。

その共通的な因子を「心理的安全性」と名付け、さらに深く探求を続け、その研究成果を著書として発表されています

どういう状態?

心理的安全性とは「対人関係でのリスクをとっても大丈夫と思える状態」のことで、

無知、無能、邪魔、否定的だと思われることを恐れることなく
話しやすさ、助けあい、挑戦、新奇歓迎が備わっている
という状態です。

つまり、
・話しかけても大丈夫
・助けを求めても大丈夫
・挑戦しても大丈夫
・個性を発揮しても大丈夫

という職場は心理的安全性が保たれているとい

https://www.jmam.co.jp/tsukyocatalog/course/saz.htm


心理的安全のみでよいか?

心理的安全性が高いものの、仕事に求めるレベルが低い状態だとなれ合いのヌルい職場になる。
仕事の出来は高水準を求めるチームで心理的安全性が保たれないと、きつい職場になる。

心理的安全性×高水準を目指すチームは学習するチームになれる

心理的安全性×仕事の水準


健全な衝突とは

衝突(conflict)は多くが生産性の低下につながる負の要因となり、誰しもが避けようとします。

けれども、意見の衝突はチームの貴重な成長の場になります。(Fam Pract Manag. 2020;27(4):11-16

意見の衝突を恐れることなく、素直に意見を打ち明けることで知識の共有や、より良い方法が話し合われることが望まれます。そういった衝突は「健全な衝突」と言われ、心理的安全性が保たれているチームではこの健全な衝突が起こることが期待されます。


医療現場での心理的安全性

「心理的安全性が高い医療現場ではミスが少ない」という仮定は正しいでしょうか?

https://www.youtube.com/watch?v=LhoLuui9gX8&ab_channel=TEDxTalksの動画でEdmondson は「心理的安全性が保たれた 病院の方が誤薬の報告件数が高い」という調査結果を話 しています。

この逆説的な結果は、組織の「話しやすく」「間違いを認めることは無知や無能を非難されるリスクではない」という風土がインシデントの報告のしやすさにつながっていることから説明されます。

医療従事者が心理的安全性が高いチームでは、自分の意見や問題をオープンに話し合い、医療エラーやアクシデントを未然に防止するための改善策を検討することができます。

一方、心理的安全性が低い環境では、自分の意見を表明することをためらい、エラーやアクシデントが発生しても報告されず、問題の改善が遅れる可能性があります。

心理的安全性の向上は医療安全の向上につながります。
ミスからは学ぶことがたくさんあり、各々が意見を表明して「健全な衝突」ができればチームは成長することができます。


まとめ

心理的安全性な職場とは
・話しかけても大丈夫
・助けを求めても大丈夫
・挑戦しても大丈夫
・個性を発揮しても大丈夫
な職場です。

そういう「大丈夫」と思える風土が、
ミスをすぐに報告し、相談し、対策を検討できるチームを育て
「医療安全」につながります。

研修医や専攻医からの報連相は「ミス」や「無知」や「考えなし」かもしれません。だとしても報連相できる風土が育っていることを認識し、さらにその風土を育てるために報連相を受けたら「よく聞いてくれた」と受け入れるところから始めることが重要だと思います。


参考サイトなど

  1. 【要約】5分で読める『心理的安全性のつくりかた』まとめ 行動分析に基づくチームマネジメント

  2. 病院に心理的安全性は醸成されているか? −医療従事者,医療安全管理者,そして病院管理者の葛藤−

  3. O’Donovan ら(2020)職場の心理的安全性尺度 日本語版-東京大学


記事内容が良ければサポートよろしくお願いします。記事作成の意欲向上になります!