新人医療者向け「この点滴の速度だと、どれくらいで点滴が終わるの?」が分かるようになる記事
今回は新人医療者、特に初期研修医と新人看護師に向けて「点滴の速度」についてざっくりつかめる記事を書きたいと思います。
点滴速度については看護師国家試験でも問われますし、検索すれば多くの記事がヒットします。今回はさらに臨床で使いやすい形でinputしましょう。
輸液セットの種類
輸液セットには主に2種類あります。いわゆる成人用と小児用です。
今回は話をシンプルにするために成人用で話を進めていきます。
例えば1秒に1滴落としたら?
1秒に1滴滴下するようにすると、1分間で60滴落ちますね。60滴は成人用の輸液セットでは3mlになります。
つまり1秒に1滴滴下すれば、1分間に3ml落ちるわけです。さらに1時間続けると180mlが滴下されますね
1滴/秒=60滴/分=3ml/分=180ml/時
一般的な輸液製剤は500mlなので、この速度だと2時間30分~3時間で落ち切ることがわかりますね。
1分間の滴下数を3倍するだけ
ここまではどの本でもサイトでも書いてますし、言われれば分かると思います。けど暗算で考えていくのは正直時間がかかるし、間違えやすい。例えば救急外来で点滴している場合ならパッと見で素早く「この輸液はいつ終わるか?いつまでもつか?」を把握しなければいけません。
そこで、より簡単に把握できるようにするのが今回の記事の目的です。
まず今やってきた計算を振り返りましょう
1滴/秒=60滴/分=3ml/分=180ml/時
ここで60滴/分=180ml/時の関係性に注目しましょう!
(1分間の滴下数の3倍)が1時間の投与量(ml)になっていることが分かると思います!
この公式を使ってみると例えば
・40滴/分なら1時間で120mlが入る(40の3倍)
・120滴/分なら1時間で360mlが入る(120の3倍)
(1分間の滴下数の3倍)が1時間の投与量(ml)になる
ちなみに、クレンメを全開にした場合には留置針にもよりますが大まかに1秒に10滴落ちるとして、600滴/minなので1時間で1800mlが入ります。
つまり全開にすると20分以内で輸液は空になるということですね
輸液全開では20分以内に1本が空になる
モニターの音を使う
さらにもう一歩踏み込んで、現場により近い状況で考えてみましょう。
1分間に何回滴下しているか?を調べるには1分間を時計で確認しますよね?
けど、時計を見ながら滴下数を数えるのってそこそこ難しくないですか?
そこで活用してほしいのは心拍数モニターです!
<a href="https://www.photo-ac.com/profile/843993">Takacchi</a>さんによる<a href="https://www.photo-ac.com/">写真AC</a>からの写真
心電図モニターやSpO2モニターを張っていれば心拍数をカウントしてくれて音で知らせてくれますよね?心拍数って1分間に何回心臓が動くかを数えているわけですから、心拍モニターの音と滴下のタイミングを合わせるとどうでしょうか?
例えば、心拍数80bpmの音を耳で聞きながら、滴下タイミングを合わします。そうすれば1分間に80滴が簡単に、しかも1分かからずに合わせられます。
さらに1分間に40滴に合わしたいのなら、そのまま2拍に1回のタイミングで滴下するように合わせればいいのです。
せっかく心拍数をモニターして音で知らせてくれているのだから、活用しちゃいましょう!!
1分間の滴下数は心拍モニターの音で合わせる
まとめ
・(1分間の滴下数の3倍)が1時間の投与量(ml)になる
・輸液全開では20分以内に1本(500ml)が空になる
・1分間の滴下数は心拍モニターの音で合わせる