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山川克則とは何者なのか

オリエン界の魔人ブウこと山川克則氏(注:いつぞやのキッズOの地図か何かに自分で書いてた)。その生態は実はあまり知られていない、と思う。私は独立して丸6年、なんだかんだでしょっちゅう山川氏と机を並べその働きぶりをなんとなく横目で見ながら仕事をしてきた。それで見えてきたことがあるので、いつか記事にしようかと考えていた。

なにせ誤解されやすい人である。私も学生時代、山川氏に関するイメージは最悪だった。とにかくなんか偉そうで、インカレを食い物にしてる悪い業者、みたいな。それは結局、一面では間違っていなかったのだが、それだけでは本質を見誤る。この相当いい加減な業者が、なぜいまだにオリエン界を支える存在と言われているのか、今回はその本質に迫りたいと思う。

山川克則氏の仕事ぶり

彼の仕事のやり方だが、まーとにかく無茶苦茶である。

まず、スケジュール管理という概念がない。できないを通り越して、「概念がない」。

一緒にインカレを運営する羽目になり、膨大な徹夜作業を余儀なくされ、いまだに成仏し切れていない学生OB・OGはたくさんいるだろう。テープ巻の日に地図が完成してないこともあれば、前日深夜の地図印刷なんてこともある(当然デフ切りとシーリングはその後すべて運営者に降りかかる)。

とにかく納期守ってくれないのがプロジェクトを一緒にする立場としては一番困る。守れそうにないならあらかじめそう言って相談する、納期に同意したら必ず守る。それが社会人としての基本だと思うのだが、

「みんながいろんなこと要求してきて、ボロカス言われながらもそれ全部に答えてんだ。」と全く悪びれない。

次に、とにかく物を壊す。

プリンタもそうだが特に自動車の被害は甚大だ。某氏の証言によると、「彼、プロになってから10台くらい廃車にしてんじゃない?」と。いやいや、さすがにそれ盛りすぎでしょwwと思っていたが、考えてみれば私がプロになってからの6年ですでに2回廃車にしている。単純比例計算だと10台目でも全くおかしくない。おかしくない時点で何かがおかしい。人轢いてないのと、自分が死んでないのが奇跡としか思えない。

挙句の果てに過労の末自分の腎臓まで壊してしまうのだから恐ろしい。そう、彼はいまや月水金の週3回の透析が絶対必須の一級障害者である。特に月曜は中2日空くため、イベント運営なんか抱えようものなら毒が大量に溜まって相当きついらしい。自分が毎年泣きながら払ってる国民健康保険と国民年金の一部が彼の透析代と障害年金代に消えているかと思うと非常に釈然としないものを感じるが、基本的人権には代えられない。

3つ目、要領の悪いことを延々と続ける

特に理解できないのがいまだにめちゃくちゃ小さいネットブックを愛用してること。今の若い子知ってます?ネットブック。ただ単にパソコンを小さくしただけで、キーボードも画面も小さくて動作もくそ重く、しょっちゅうフリーズする悪名高きネットブックですよ。一時期2年間のネット契約と抱き合わせて100円!とかでよく売られてました。懐かしいですね。そんな時代がありましたね。

そんなネットブックをいまだにメイン機で使い続けてる。「指が太くてスマホ入力できない」とか言ってるくせになんであんな小さいキーボードを好き好んで打つのか。実は私、理由を聞いたことがあるのだが、曰く

「これだと寝ながらでも作業できるんだよ」

休む時は休めっつーの。しかも、いまやそのディスプレイが壊れて外部ディスプレイに映して作業しているという本末転倒な状態に陥っている。まともなバックアップも取らずにいまだにあの非力なマシンで動かし続けてると思うと傍から見てもこわくて仕方がない。

とにかく、猛烈に働くことが業界へのコミットだと考えている時点で何か勘違いしている。80-90年代のモーレツサラリーマン的思考はいい加減どこかに置いてきていただきたい。

他にも、メールの文章がとにかく読みにくいというのもとても困る。要領を得ないダラダラした長文が延々と続く。しかも、所々に重要なことが散りばめられてるため、流し読みするわけにもいかない。前々からいろんな人に言われているはずなのだが、努力の問題か能力の問題か、一向に改善される気配がない。

山川克則氏のすごいところ

こんなあきれる仕事ぶりをいかんなく発揮する山川氏であるが、じゃあなぜいまだにこの業界で干されずにやってこれているのかを私なりに考えた。

純粋にすごいなと思うのが、人との関係構築能力

インカレ等重大大会をずっとやってると、非常に難しい渉外にぶち当たることも多い。地元の方の97%以上は協力的で本当にありがたい限りなのだが、ごく一部、いろんな理由で(時には過去にオリエンティアが多大なご迷惑をお掛けするなどして)了解を得るのが難しい方がいらっしゃる。

そういう方々の懐に果敢に飛び込み、話をし、時には裏交渉もしながら、仲良くなってしまうのが彼のすごいところだ。

とにかく普段から人付き合いにかけるコストを惜しまない。私自身いろんな形でかわいがってもらってることは事実である。他にも、冠婚葬祭は絶対参加、前回の集落を利用したインカレスプリントの時には採算度外視で何十日と地元に足を運んで説明に行っている。そういった活動の甲斐あって、たとえば矢板地区での地元との関係は非常に強固なものとなっているのは周知の事実である。

そして何より、オリエンテーリングに対する惜しみない愛情だろう。

これだけめちゃくちゃな仕事をしながら、近くにいる人たちが彼を見放さないのはやはりこの、オリエンティア・オリエンテーリング界への愛情がずば抜けていることを皆わかっているからではないだろうか。なんせ、塩谷地区に家1軒買っちゃってそれで無償の合宿所として公開してしまうのだ。合理的な経営判断では決してありえない。

甘え甘えられる、不健全な関係

愛情の深さを分かっているゆえにどうにも憎みきれないのがある意味では山川氏の魅力である。でも、それで結局、オリエンティアはずっと彼を甘やかしてきたのではないだろうか。「仕事はほんとにめちゃくちゃだけど、なんかいろいろ世話になってるし、何よりこの業界のことをすごく好きなのは分かるし、4人も子供いて育て上げなきゃならないだろうし、まあ仕方ないな」と。

そして同時にオリエンティアも山川氏に甘えてきている。オリエンティアはどんなめちゃくちゃな運営だろうが、それには目をつぶり、彼によってオリエンテーリングが出来る環境が提供されることを優先したのだ。

そんな強烈な売り手市場にもかかわらず、他にプロになろうとするものは出ず(出ても大成はせず)、2012年にようやく私が独立するまで時間を要してしまった。

これからは

さて、これからだ。今や競合他社としてNishiPROも居る、さらに新たにマッパー志願者として修行してる若者もちらほらと現れはじめた。いまや彼に完全に依存しなければならない市場環境ではなくなった。業者として健全な関係を作り直す土壌は出来つつあるように思う。

どうも最近体調があまり芳しくないようで、山の調査はもういよいよ厳しそうであるのだが、山川氏にしかできない仕事も多々あるので、今後も存分に働いてもらったほうがこの業界のためだろう。

体調が悪いっつたって、生命力の塊のような山川氏のこと、まだまだご健在だと確信している。まあ、これからも一緒にがんばりましょう。






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