一周回って未来なのかもしれないド田舎の父の実家の話

父の実家はド田舎である。
まず、下水道が無い。
なのでぼっとん便所である。大は溜めておいて定期的に来るバキュームカーに吸っていってもらう。
どうして下水道が無いのかというと山の斜面に立っているので掘ってそれぞれの家に下水道を通すのが大変だからである。
じゃあ、キッチンなどから出る生活排水をどうしているのかというと、そのまま家から側溝に排出され、海まで流れていくようになっている。
書くのが遅れたが、その土地は海から山が突き出ているようになっている。分かりにくいと思うので図にする。


そして、その村での主な産業は水産業である。
男は漁をし、女は缶詰工場で働く。
魚が良く取れる潮目や、貝がたくさんへばりついている海の底の岩場などは漁協組合の中での秘密になっている。
だからこそ人の付き合いは濃密で、もし外部に情報を漏らした人物がいたら村八分である。

そんな、田舎の人間関係から脱出して街に出てきたのが私の父であり、私も帰省で帰るときにしかその土地に足を踏み入れることは無いのだが、本当に数年前まで携帯の電波も届かず、圏外の土地だった。バスも確か日に5本とかのレベルだった気がする。

とはいえ、その村がすごいと思うのは、よく考えたら機密情報を高度に守り、自然の資源を工場で加工し、換金しているところである。なので、原始的に自然と共に生きる暮らしをしている村が今でも日本に存在しており、資本主義的にもある程度成功しているのである。自然と共に生きる思想は一周回って未来なのかもしれない。

私も、街でPCを触るよりも海で潜って貝を取った方が儲かる気もするが、かろうじてある血縁で村に入るのも厳しいだろう。人間関係も大変そうだし、今よりもさらにペコペコして生きることになりそうだ。

で、もし、何か非常事態が起きて世界が一度崩壊したとしても、あの村では魚が食べれるし、裏山で湧き水も汲めるし、工場に電気を流せば、また海産物を加工して村を発展させることができるのである。
ものすごくシンプルな仕組みで成立している村だが、こんな場所があるんだなーというのを最近になって改めてすごいなと思ったのであった。

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