1ヶ月間カラースケッチをやってみた
色塗りが苦手な私。ある日気づきました。
苦手な色塗りも推しの絵なら楽しくできるかも…そうだ、推しのために色選びを練習してみよう!
このとき、ちょうど人物を取り巻く空気感や雰囲気まで描いているコンセプトアートの素晴らしさに気づいたこともあって
推しだけじゃなく、推しを取り巻く空気感までカラーで描けるようになりたい!
これが私がカラースケッチを始めた理由でした。
気軽に始めるために
少しでもカラーイラストへのハードルを下げるめにいくつかルールを設けました。
・時間を計りながら基本は1時間程度で描く
・毎日同じ時間帯に描いて習慣化させる
・嫌と思ったら即やめて次の日頑張る
・とりあえず1ヶ月間やってみる
2021年のインクトーバーでは3日間で終了した、リアル三日坊主の私。
しかし、ジェスチャードローイングが長く続けられたという自信から、カラースケッチも頑張れるのではないかと自分に期待が持てました。
こちらは2022年10月〜12月の3ヶ月でジェスドロ1000体描いたときの記事。
そして毎日ではないもの2023年1560体、そして2024年はデジタルで370体描いています(2024.5.13時点)
また機会があればジェスドロについてまとめようと思います。
ジェスドロは技術面だけではなくメンタル面でも支えになっているんですね。ジェスドロ、サンキューな…!!
カラースケッチ1〜4日目
反省点
カクテルのグラスのフットの形に違和感がある。
気づき
・野菜や果物などには形に明確な正解がないので、モチーフと違っていても違和感を感じにくい。
・無機物には明確な正解があるので誤魔化しが効かない。下手にアレンジすると静止していないように見える。
カラーイラストとモノクロイラストの違い
・カラーの場合、影の部分は脳が勝手に情報を補完してくれるので描き込みは少なくていい。その分彩度が高いところに力を注ぐべき。
・モノクロの場合、トーンが平面的に見えないので影やシワなどのタッチが多い方が見栄えがよい。
・ピンボケを除き、情報量の多さは物体との近さに比例するのはどちらも同じ。カラーは遠いほど青みがかる。
カラースケッチ5〜11日目
反省点
紙コップのカラースケッチが平面的になってしまう。
気づき
・人間の目は錯覚を起こしやすいので、既に二次元になっている写真を見たまま描くだけでは、平面的になってしまう。
・目だけではなく理論を使って誇張することで立体感が増し迫力が出る。
・アイレベルによって円柱の上部と下部で楕円の膨らみ(短径)は異なる。アイレベルより下に円柱がある場合、上部楕円の短径<下部楕円の短径である。
カラースケッチ11〜19日目
気づき
・私は写真に見える絵じゃなくて絵ってわかる絵が描きたいことに気づく。遠くから見ると写実的に見えて、近くで見るとざっくりタッチが残っているような。印象派の作品が参考になるのではないか。
・写真のスケッチは既に立体が平面になっているので、実物を肉眼で見て描く練習もした方がいい。
・写真だと拡大できる分どうしても細部を目で追ってしまうので、縮小した写真を見て描くようにする。
・情報を取捨選択してスケッチをする。
・最初はモチーフを見たままそっくりに描くことにこだわっていたが、ルールを踏まえつつ自分の印象に残ったところをエッセンスとして強調すると楽しいし、オリジナリティーが出る。
・静止してなさそうとか形が崩れているとかそういう意味ではなくて、雰囲気を絵にして捕まえるというか、物体に感情を持たせるという感覚に近い。とてもアニミズム。
長砂ヒロさんのワークショップ
長砂ヒロさんのデジタルスケッチ入門を読んだもののしっかり理解できているかわからなかったので、4/20(土)にゴキンジョコミュニティ内で行われたワークショップに参加しました。
感想
・ヒロさんの紹介されているデジタルスケッチは手順がテンプレート化されているので初心者にもわかりやすかった。
・その代わりライティングや形の捉え方などの理論・観察眼・基本的な画力が必要になってくる。手順や機能は同じでも結局は誰が描くかで
作品は変わる。
・今まで色選びはカラーサークルを使用していたが、カラースライダー(HSV)を使い始めてから好きな色が出せるようになった。相変わらず配色や絵作りはわからないが、このやり方に変更してから色選びがやりやすくなった。
・同じモチーフを複数人で描くと比較して勉強できるとともに画力で殴られて心が折れることがあるので元気のある時にしよう。
カラースケッチ20〜25日目
気づき
・透明な瓶は一見描きにくそうに見えるが、全反射するハイライトがあるだけで立体的に見える。
カラースケッチ26〜28日目
反省点
実物を見て描くと時間をかければかけるほど、自然光の向きや色が変わり描きにくい。
気づき
・絵の基本は全体像→詳細。短時間で全体像を捉えることが大切。美大卒(油絵)の友人に話を聞くと「どこで作業を止められても絵になる絵」であることが大切とのことだった。
1ヶ月やってみて
成長点
・色選びを練習するつもりで始めたカラースケッチはカラースライダーに変えたことで、早い段階で好きな色が出せるようになった。
・描けば描くほど私達の思い描いている物体の固有色は当てにならないと感じた。環境が変われば光の種類や向きも変わるため異なった色で見える。固有色ではなく光にもっと目を向けるべきだと感じた。
感想
嫌いな色塗りを毎日ひとりでやるのは本当に辛かったです。最初の1週間は描き終わった後も達成感がなく吐き気ばかり起こしていました。毎日、自分の画力のなさと向き合うのは本当に辛い。
元々「楽しいから絵を描く」よりも「これ以上下手にならないために描く」方が気持ちとしては強く、絵の練習は苦しいものと思っているからできたのかもしれません。
今回のカラースケッチを通して、画力が上がったとか色を細かく捉えられるようになったとか技術面が向上したという実感は正直ありません。
しかし、絵を描いていてたくさんの学びがあることやそれを知れる喜びが実感でき、気軽にカラーイラストが描けるようになったことが収穫なのではないかと思います。
最後に
現在カラースケッチは2ヶ月目に突入しています!エッセイ漫画家のカラースケッチを気に入っていただけるようであれば、絵の練習用インスタアカウントにメイキング動画を載せていますので、ぜひ見てやってください。
ここからはおまけです
絵を勉強してないコンプレックス
私は高校生くらいから絵を描くのをやめてしまったので絵の勉強をしてきませんでした。本格的に絵を描くのを再開したのもここ5年くらいです。
学生時代に絵を学んでない人たちにとって、美術予備校や美術大学を卒業した人への劣等感ってあると思うんです。私もそうでした。
でも、カラースケッチをやっていて美術畑の人に相談しているうちに「経歴に劣等感を感じる必要はない」と思えるようになりました。
これは美術畑の人を軽んじるという意味ではなく、目的地へ行くときに電車を使うかバスを使うか飛行機を使うか、みたいに移動手段でしかなく、人によってルートは違うものだと思ったのです。
以前は枕詞として「私、絵の勉強してこなかったんで…」とつけることもよくありましたが、美術畑の人たちはみんな口を揃えたように「そんなこと関係ない」って言っていたんです。その意味がやっとわかりました。
今の私だから得られる学びがあるし、
絵には私の経験や知識が反映できる!
例えばファッション。
色の組み合わせも大切ですが、視線誘導がとても重要なのではないかと15年近くメイクしていてやっと気づきました。
絵との違いは体型や顔のパーツ配置など元々の素材があるかないか。コンプレックスを隠すためにどこを目立たせたいか。構図と似ています。普段撮ってる写真もそう。
ジャンル問わず、表現者って見る者の視線と印象を操ることができると思うんです。
だから、絵とは直接関係ないことも意味がある、絵を描いていなかった時期を黒歴史のように扱っていましたが、私という人間を形成する上で大切だったと思うようになったのです。絵は人生の集大成なのではないかと思います。
エッセイ漫画家に必要?
漫画はその人のポテンシャルや内面以上の物を出すことが難しい。だからこそインプットが大切だと思っています。
絵の練習は画力を向上させるという目的よりも視野を広げたり感性を育てたりするつもりでやっています。作品だけじゃなくて日常生活の中に隠れている色々な魅力に気づけるか、それをキャッチする感度をあげることが絵の勉強なのだと思います。
正直、絵柄を好きと言ってくれるフォロワーさんがいてくれる時点で、私には画力を上げる必要性はあっても緊急性はありません。
SNSに投稿してもカラースケッチはなかなか注目されません。私はイラストレーターではなく漫画家なので、フォロワーからも練習絵より漫画が読みたいと思われているのかもしれません。
応援メッセージや反応は創作活動の励みにはなるのですが、それありきで頼り切ってはいけないというのが私の創作活動のスタンスです。
これを読んで誰かを救いたいとか誰かに喜んでもらいたいとかそんな崇高な理由ではなく、自分が描きたいから描く。常に動機は自分でありたいと思っています。
他人ありきだと承認欲求モンスターになってしまい、描く自分も見ている人たちも辛くなってしまうので。ずっとうまくいけば問題ありませんが、精神衛生上良くないです。
カラースケッチは私がやりたいから周りからの反応がなくても直向きに描いているのです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。