駐車場附置義務の緩和を要望します
全国で60%近くのマンションには、機械式駐車場があります。機械式駐車場の維持には「莫大なコスト」が発生し、大規模修繕工事と並ぶ修繕費を食いつぶす「金食い虫」とされています。この問題は、複数の経済誌でも取り上げられており、その内容をまとめると以下のようになります。
1)機械式駐車場の「莫大な維持費」は修繕積立金を食いつぶす。
2)駐車場の「空き」があるマンションはさらに財務状況が厳しくなる。
3)機械式駐車場を撤去して「平置き」に変えるマンションもある。
機械式駐車場の撤去を行う際に、自治体の条例が「足かせ」となることがあります。一定規模以上のマンションには附置義務という、規模に応じて駐車場を設置しなければならない「自治体の条例」があります。
西宮市の条例は以下に示すとおりですが、「昨今のクルマ離れ」を反映しておらず、現実とはかけ離れた「過大な附置率」を定めています。
西宮市の駐車場附置義務条例(附置率~住居地域)
50戸未満:戸数の60%
50戸~124戸:戸数の80%
125戸以上:戸数の100%
この条例が大きな足かせとなって、駐車場が撤去できない事例もあるとの話を聞いたことがあるので、これらの実情について、西宮市に直接問い合わせてみました。西宮市交通政策課からは、以下のような回答がありました。
西宮市の見解
1)駐車場附置義務条例は、建設時に適応される条例である。
2)維持管理で「駐車場が減った場合の届出」は義務化されていない。
3)今後、増築・改築する場合、届出が必要になる。その際、減った理由を聞かれることがある。
4)管理組合理事会の議事録に、撤去の経緯(使われている台数の状況)などを残しておいた方がいい。
このように「駐車場の撤去」に関しては、何とも曖昧な「法的な解釈」となっています。これでは、行政の裁量でどうにでもなる「危うさ」があります。
以上のように、西宮市の駐車場附置義務には、以下の問題があります。
1)駐車場の附置率が実情とあっておらず、高すぎる
2)駐車場の撤去に関しては法的な解釈が曖昧であり、行政の裁量に左右される可能性がある
この問題についての最近の動向として、以下のような記述がありました。
「附置義務台数の緩和が進む」
国土交通省もこうした事態を憂慮し、2018年7月に「都市再生駐車施設配置計画の活用等による附置義務の適正化について」を通達しました。これを受け、附置義務条例を持つ各自治体でも緩和の動きが活発となっています。既存の附置義務割合を引き下げや、一定の年数を経過した分譲マンションについては、実質的に付置義務を撤廃する自治体も出てきました。また、そこまでの附置率の緩和はなくても、マンション管理組合において恒常的な「空き」が生じていることが明らかな場合には、多くの自治体で一定の資料提出などを条件に駐車区画の削減を認めています。
「東京都の場合」
2019年3月、東京都都市整備局は「東京都駐車場条例第19条の2第1項弟2号の運用について技術的助言」を通達しました。そこで、分譲マンションについては利用実態に応じた維持管理が可能となるよう、区分所有者の合意があれば、駐車場需要を上回る範囲で付置義務台数を基準台数未満に緩和しても差し支えないとしています。
※抜粋:機械式駐車場解体最強ガイドブック
以上より、「現状の問題」と「最近の動向」を踏まえて、西宮市には以下の2点を要望します。
1.駐車場附置義務条例の緩和。附置率を住居地域においても商業地域と同様に35%程度とする。
2.東京都の条例にならい「区分所有者の合意があれば、付置義務台数を基準台数未満に緩和しても差し支えない」という内容の通達を出す。
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