そのさよなら、代行します

(あらすじ)
【俺はさよならメッセンジャー篇】
一見、無口だが、脳内ではいつも、ハードボイルドな台詞が響いてる男、さよならメッセンジャー。「人生は突き詰めれば、こんにちは、あいしてる、さようなら。これだけだ。高倉健にみたいに不器用なやつだって、これくらいは言うだろう。だが、さようならだけはなぜか、うまく言えないやつが少なくないようだ……」
さよならメッセンジャーの仕事は、「さようなら」という依頼主が書いた文字を、「〇〇さんからです」と宛先の相手に届けること。ただ、それだけだ。宛先の相手が泣こうが喚こうが関係ない。
さよならメッセンジャーは、その日もいつものように、別れ話を自ら切り出せない男に代わり、その恋人に「さようなら」の言葉を届けることになった。男と連絡がとれなくなったことに気づいた恋人は怒り狂い、さよならメッセンジャーをボコボコにする。立ち上がれなくなった、さよならメッセンジャーは「因果な商売だ」と苦笑する。
【震災篇】
震災で行方不明になった夫を忘れられず、人生が止まったままの女。そんな女を心配し、幼い娘が夫(娘の父)のふりをして妻にメッセージを送る。さよならメッセンジャーが届けた「さようなら」という字は子どもの拙い字。妻は「犯人」に気づくが娘を責めず、新たに人生を進めることを決意する。
【さよなら、さよならメッセンジャー篇】
ある日、さよならメッセンジャーのもとに別のさよならメッセンジャーが現れる。さよならメッセンジャーは(震災篇で)依頼主を偽った責任をとり、その任務を解かれることになる。

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