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10月25日

窓の外から妙な音が聞こえたので目をやると、雹が降っていた。ほんものだ。しかもけっこうな量だし、積もってきているようにも見えた。ちょうど出先にいたので帰るのは諦めて、近場のカラオケに入ることにした。

一人でカラオケに行くときは物語シリーズのキャラソン(キャラソンという認識で合っているかどうかは不明だが)、戦場ヶ原ひたぎと貝木泥舟の『木枯らしセンティメント』は必ず歌うという決まりが私の中だけに存在する。私がちゃんと歌えるキャラソンは世界にこの一曲しかない。すこしだけ、貝木泥舟の真似をしながら歌う。恋物語、好き過ぎて何度も観てしまう。Netflixで観られなくなったのは残念だ。DMM TVがあるからいいけど。

木枯らしセンティメントを歌ったあとは、気分で歌いたい曲を選んでいく。履歴を探って雰囲気でよく知らないやつをワンコーラスだけ歌ってみたりもする。

ここ一年くらいは音域を広げることと、アクセントの強弱のバランスに気をつけることをテーマに練習しているのだけど、なんとなく「このアーティストの曲は声質的にも音域的にも合わないだろう」とこれまでの感覚で認識していた曲達が歌えるようになっていて自分でも驚いた。その流れで、バンド時代の曲も歌ってみる。こんなに歌いづらい曲だったっけ。よるふけてくまえのやつとか。当時、完全に癖だけで作っていたので数年経ってみると純粋にやりづらさを感じる。いろいろ歌ってみて、今後はこういう方が今の自分の声には合うかもしれない、とかいろいろ思った。変な日本語だけど、これから作る曲は歌をものすごく歌う曲にしよう。大きな声で歌っていきたくなった。他にやりたいこともないし。

気づいたら雨も雹も止んでいたので会計を支払って店を出た。歩道の隅に溜まる雹は雪みたいで冬みたい、とか思いながら帰った。寒かった。




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