思い出すことなど

「たぶん、由男に必要なのは、力と愛。」
 母は言った。
「愛?」
 たしかこの間、純子さんもそのようなことを言った。
「あんたは理屈っぽすぎるのよ。考えすぎなの。右往左往してタイミングをのがしてはすり減るだけ。どーん、とそこにいて、美しく圧倒的にぴかーっと光ってればいいの。愛っていうのは、甘い言葉でもなくって、理想でもなくて、そういう野生のありかたを言うの。」
ー吉本ばなな『アムリタ 上』


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