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「アコギ庵にあるGUILD D-40の話」

 「終活ギター アコギ庵」「アコギ弾き比べサロン アコギ庵」です。
 アコギ一筋54年。アコギの終活をやろうというオッサンが、《何かアコギ好きのためにできることはないか?》というところからスタートしました。アコギ好きのための”Support and Assist”を目標に、何かしらお役にたてることがあればいいなと思っています。
 そうそう簡単に弾くことができないと思われるギターも、何本か用意しています。初心者の方用、中級者用のギターもあります。とにかく来て弾いていただいて、そこから何かが始まることを期待しております。アコギ好きの皆様とお話しすることを楽しみに、お待ちしております。

「アコギ庵にあるGUILD D-40の話」
 少し前のことですがnoteの記事を読んでいただいた方からお問合せがあり、あらためて自分のGUILD D-40、細かいところまで見直してみました。

 問い合わせがあったのは1972年製の2本、Serial No.69296とSerial No.74592でした。

 GUILDの歴史の中で、1972年から1973年にかけて大きな変化がありました。1972年に設立者のアルフレッド・ドロンジが飛行機事後で亡くなったことが影響しているのかもしれません。D-40の仕様も大きく変わります。自分の個人的な感想ですが、D-40も同様に1972年以前とその後では音質がかなり変わったように思います。どちらが好みかということになりますが、私は1972年以前の方を支持します。本体の重さもだいぶ違うので(1972年以前の方が軽い)、材の厚みも違うのでしょう。1972年以前の方が木の音感があります。(個人の勝手な感想ですが。)逆に1973年以降の方はジャキジャキ感が強く、こちらの方が一般的に言われている"GUILDの音"に近いのかもしれません。

 1972年生のD-40の各部についていくつか写真を撮り、しばらく弾いてみて音も確認しました。それぞれにいただいた質問に回答した説明です。(全部載せると長くなるので、かなり端折っています。)まずはSerial No.69296から。

 価格はおいくらでしょうか。→税込み220,000円です。

 クラックなどのダメージはございますか。
→ピックガード下部からブリッジにかけてピックガードクラックがあります。写真を添付しておきますので、ご参照ください。

 この部分の裏側にはブリッジプレートが貼られていますので、内部からのクラックは確認できませんでした。演奏上の問題はないと思います。それ以外のクラックはありません。

サドルの高さは何ミリぐらいでしょうか。
→サドルの余裕は、あまりないです。サドルの中心部分で2ミリ強ぐらいです。ブリッジピンの前の部分にスリットは入っておりませんので、スリットを入れれば多少サドルを削ることは可能だと思います。

 アジャスタブルロッドにもまだ少し余裕があるようです。そちらでも弦高を下げることは可能です。

ブリッジ下のお腹の出具合は如何でしょうか。
→ブリッジ下部の膨らみはほとんどありません。この年代としてはかなり良い状態の部類に入るのではないでしょうか。

  あと一つ、フレットがだいぶ減ってきています。そう遠くない将来、研磨が必要になってくるでしょう。

フレットの状態(1~3フレット)

 トップの弾き傷が目立ちますが(ほとんどは塗装部分のみです。木部はあまり削られていません。)、楽器としてのコンデジションは悪くないです。一般的にGUILDのギターは重い!とよく言われますが、このギターは軽い部類に入ると思います。


 同じ質問がSerial No.74592にも
 価格はおいくらでしょうか。→税込み198,000円です。

クラックなどのダメージはございますか。
→指板エンドとサウンドホールの間にクラックがあります。リペア(裏側にパッチ処理)されています。それ以外は塗装にクラックはありますが、木部のクラックはありません。

サドルの高さは何ミリぐらいでしょうか。
→サドルの高さは真ん中あたりで2.5mmあるかないかというところです。

ブリッジ下のお腹の出具合は如何でしょうか。
→少し出ています。ネックはほぼストレートなので、弦高が少し高め(6弦12フレットで2.9mmぐらい)なのはブリッジ下部の膨らみのせいだと思われます。No.69296の方はネックがわずかに順ぞりですが、弦高はこちらよりも低いです。アジャスタブルロッドにあまり余裕はありませんが、多少は矯正可能だと思われます。サドルも0.5mmぐらいは下げることができると思います。

 ブリッジ下部の膨らみに関しては、製作されてから50年以上経過していることからこれ以上膨らみが大きくなることはないと考えていますが、気になるようでしたら購入されない方がよいと思います。

 フレットの減りはこちらの方が少ないです。しばらくはこのまま使えると思います。ペグもこちらの方はグローバーのロトマチックがついています。動作もスムーズで、精度も高いです。たぶんオリジナルではないと思われます。(止めてあるビスだけがかなり錆びています。)

 これに対しNo.69296のペグは同じグローバー製ですが、かなり古いタイプのオープンバックタイプです。おそらくこちらはオリジナルです。精度は落ちますが、動きはスムーズで問題なく使えています。

 買っていただけなくても良いので弾きに来てくださいとお伝えしたら、かなり遠方にお住まいの方とのことでした。(住所をお聞きしたら、来てくださいと言えなくなってしまいました。)元々通販はしない方針でしたので(自分で弾いてみて、音やプレイヤビリティを確認してほしいという思いでやっています。)、どうしてもとおっしゃられたらどうしよう?と少し悩んでいたところでした。(最終的に、購入は見送られました。)

 いただいた質問にはできるだけ詳細にお答えしたつもりですが、音やプレイヤビリティはお伝えすることができません。自分にも経験が多々ありますが、弾いてみたら予想と全然違う!と言うことは少なくありません。弦高が高めだと弾きにくいというイメージを持ってしまいますが、それだけで実際の弾きやすさ・弾きにくさはわかりません。弦のテンション(張りの強さ)や弦そのもののしなり具合によっても、弾き手の印象は変わってきます。
 ネックの幅や厚み、形状によってもプレイヤビリティは変わります。言葉と写真で(動画も同じです。)お伝えできるることは、そのギターの一部分でしかありません。自分で弾いて(可能であれば、自分のギターと比べて)確かめることができれば、ほぼそのギターの全体像がわかると思っています。

 今回記事にさせていただいた2本は、以前の記事でも紹介しています。弦高はこの記事を書いた時よりほんの少し(0.1~0.2mm)低くなっていました。新手めてじっくりと2本を弾きましたが、良いギター(コストパフォーマンスの高い)だと思いました。
 以前の記事はこちら

 拙い文章をお読みいただき、誠に有難うございます。皆様の感想、ご意見をお聞かせください。 またアコギに関する相談等がございましたら、どんなことでもOKです。遠慮なくお尋ねください。
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