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「価値観の差=価格の差?」「最近のアコギ市場(2023年12月)」

 「終活ギター アコギ庵」「アコギ弾き比べサロン アコギ庵」です。
 アコギ一筋54年。アコギの終活をやろうというオッサンが、《何かアコギ好きのためにできることはないか?》というところからスタートしました。アコギ好きのための”Support and Assist”を目標に、何かしらお役にたてることがあればいいなと思っています。
 そうそう簡単に弾くことができないと思われるギターも、何本か用意しています。初心者の方用、中級者用のギターもあります。とにかく来て弾いていただいて、そこから何かが始まることを期待しております。アコギ好きの皆様とお話しすることを楽しみに、お待ちしております。


「価値観の差=価格の差?」
 何度も記事にしている話ですが、今回はもうちょっと突っ込んで掘り下げてみようと思います。タイトルにある価値観の差は、ヴィンテージギターにおける〝オリジナル”をどう見るか?という意味で書いています。

 一般的にはヴィンテージギターの場合、オリジナルの状態がどれだけ残っているか?がその価値を決める一番重要な要素になります。この「オリジナルの状態」の中には消耗品も含まれる訳で、製作されて最初に(工場あるいは工房から出荷された時)張られた弦はどうなのか?という論争もあったという話を聞いたことがあります。私からすれば、「ええっ、弦も変えたらダメなの?!」という想いでした。消耗品という観点から見れば、弦だけではありません。サドル、ナット、フレット、ブリッジピン、ペグ、場合によっては指板も含まれると言っても良いでしょう。これらのパーツは使うことで摩耗したり変形したりして、楽器として正常な音を出せなくしてしまいます。

 アコギやエレキの世界では、時間が経てば経つほどオリジナルの状態がちゃんと残されているギターは価値があるということになっています。ですが、それは楽器として見た時、どんどんダメになっているということではないのでしょうか?アコースティックギターは、常に動いている(状態が変化している)ものです。その分、サウンドも変化していきます。弦を変えるのは何故なのでしょうか?弦が劣化して音が悪くなったからではないのでしょうか?それは、そのギターの価値を下げることになるのでしょうか?サドルやナット、フレットが摩耗してビビるようになったりピッチが合わなくなっても、交換してはいけないのでしょうか?ペグが劣化してチューニングが合わせにくかったり、すぐに狂ったりしても、そのまま使い続けることに意味があるのでしょうか?

 コレクターの方の価値観からすれば、使わないこと、そのまま置いておくことが最重要事項なのかもしれませんが・・・。それは間違いなく楽器としての価値ではなく、骨董品としての価値です。
 そのようなそのような価値観に、何の意味があるのでしょうか?キツイ言い方をすれば、楽器としてのギターを冒涜していると言ってもよいぐらいです。「ヴィンテージギターの世界でオリジナルを重要視すること=経費をかけずに最も高く売る方法」であると以前からたびたび言ってきましたが、その考えは今も同じです。自分一人が何を言ったところで楽器業界が変わる訳でもないし、価格が変わる訳でもありません。それでも「一人でも多く、自分と同じような考えを持つ方が増えれば嬉しい!」そう思って書いています。


「最近のアコギ市場(2023年12月)」
 いやー、高くなりました!

 そんなことを言い始めてほぼ1年が過ぎました。若干ペースは落ち着いてきたかな?とは感じていますが、完全に止まった訳ではないと思います。ヴィンテージに限らず、高級ハンドメイドギターからマーチン、ギブソンのスタンダードモデルまで。自分の価値観が市場の変化について行けない状況です。

 来年1月には、またまたマーチンの一部の機種が値上がりするようです。価格が上がっているのはギターだけではありませんし、コロナ禍で材料の調達も難しくなっているようです。運送業界では2024年問題が控えており、配送料も間違いなく上がっていくでしょう。どう転んでも、価格が下がることは考えられない状況です。

 それでも、日本の物価は世界的に見てものすごく安いようです。ですので、アメリカとの価格差がなくなるまでは価格の上昇が続くと予想しています。モノによっては、日本の価格の方が高いのでは?というのもありました。「それぞれの人気度の差」なのかどうかはわかりませんが、購入する際の参考にはなるのではないでしょうか?

2023年12月17日現在の価格です。サンタクルーズのギター、ちょっと前までアメリカに比べて日本では割安かなと思っていました。中古も新品同様かなり価格が上がってきています。
コリングスも100万円以下で新品を探すのは、難しいですね。30年ほど前、初期のコリングスOM-2Hをアメリカから買ったとき20万円台でした。30年の時の流れは大きいな~。

アメリカの1970年代のマーチンDー28をいくつか。(価格の高い順です)

 続いてギブソン、代表的な2機種を。まずはJー45から。

さすがに1940年代は、スゴイ価格になってます。
このあたりはアメリカの方が安い?(それでもけっこうなお値段ですけど)
日本のショップからも出ていましたが、こちらの方が割高な感じがします。

 続いてSJ-200(J-200)。

これはもう、とんでもない価格になっています。自分の中の価値観が変わりました。1950年代のマーチン Dー28と変わらない価格だと思っていました。完全にこちらの方が高いのでは?!

 最後に日本のギタービルダーの中古も。

中古でもこの価格!!いやーマジでびっくりです。日本のビルダーもここまで来たか!
ハカランダものということもあるのでしょうけど、簡単には手が出ない価格です。

 という訳で、今回は半分ボヤキと言ってもよい内容でした。(ほんとうはもっともっと違うギターのことも書きたかったのですが、ちょっと偏った内容になってしまいました。この記事「最近のアコギ市場」はシリーズ化して、今後もちょこちょこ書いていくつもりです。)

 同じギター(同じメーカーの同じモデル)でも、同じ音のするギターはありません。写真や説明文ではあまり変わらないように思えるのに、価格差はすごく大きかったりします。また、年代がかなり違うのにもかかわらず価格はほとんど変わらないものもあります。

それぞれの価格差はどこから来るのか?
その価格差の理由が、何なのか?
自分の価値観と合っているのか?どう違うのか?

様々な見方、考え方ができると思います。こんな時代(市場)になってしまったのは仕方のない事として、自分自身の見る目(聴く耳)を養いましょう。良いギターにめぐり合うことができたら、幸せな気分になれると思います。ちっぽけな幸せかもしれませんが、割と長持ちする幸せに間違いないです!

 拙い文章をお読みいただき、誠に有難うございます。皆様の感想、ご意見をお聞かせください。 またアコギに関する相談等がございましたら、どんなことでもOKです。遠慮なくお尋ねください。
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