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「マーチンを超えるマーチン!?」

「終活ギター アコギ庵」「アコギ弾き比べサロン アコギ庵」です。
 アコギ一筋54年。アコギの終活をやろうというオッサンが、《何かアコギ好きのためにできることはないか?》というところからスタートしました。アコギ好きのための”Support and Assist”を目標に、何かしらお役にたてることがあればいいなと思っています。
 そうそう簡単に弾くことができないと思われるギターも、何本か用意しています。初心者の方用、中級者用のギターもあります。とにかく来て弾いていただいて、そこから何かが始まることを期待しております。アコギ好きの皆様とお話しすることを楽しみに、お待ちしております。


「マーチンを超えるマーチン!?」
 もし本当に「マーチンを超えるマーチン」を造ることができたら・・・。
突然ですが・・・。こんな大それたことを企んでいます。夢のような話ですが、挑戦する価値はあるのではないかなと思っています。

 コリングスというメーカー(最初はメーカーと呼べるほどの規模ではなかったですが・・・。)が成功した時に感じていたことですが、「古いマーチンのイメージを踏襲したモデルを製作して売れたんじゃないかな。」と思っていました。最近ではPre-War Guitarsというメーカー(というには規模が小さいので、ガレージビルダーと呼んだ方がよいのかもしれません。)が使いこまれたヴィンテージギターのイメージをうまく再現して成功しています。もちろん外観だけをマネしても、音が良くなければ評価されないでしょう。高い工作精度や質の高い音響設計の裏付けがあって、初めて可能になることは間違いないと思います。


 ヴィンテージマーチン、特にプリウォーのものは、もはや伝説になってきたと言ってもおかしくない状況です。(価格も含めて、どんどん遠い存在になってしまっています。)特に昨年あたりから、そういった傾向が強くなってきました。と同時に、自分の中で膨らみ始めた思いが「マーチンを超えるマーチン」を自分の手で創り出してみることはできなだろうか?ということでした。
 その目標とするターゲットは、プリウォーのDー45です。(この先、実際に見ることすら難しくなってくるのでは?と思えるような状況です。)どうせなら目標は大きな方が良いと思い、あえてハードルの高い目標にしました。とはいうものの、すでに90年近くの時間の差がついてしまっていますので、その部分の差を埋めることは不可能です。正直なところ、経年による変化は造りようがありません。ですので、実現可能な目標としては、どれだけ近づくことが出来るか?ということになるかもしれません。

 では具体的にどうするのか?答えは、コンバージョンです。

 Dー45は過去に1976、1969、1975、1974、1989(サイド・バックはハカランダ)、1987 D-45LE(サイド・バックはハカランダ)を所有したことがあります。D-45のコンバージョンは3本所有(元はいずれもD-28で、それぞれ1947年、1957年、1960年でした。)、1本はまだ手元にあります。

 可能な限り古い材料とグレードの高い材料を用いて、一番信頼できるギタービルダーにその作業をお願いしようという計画をたてました。

 製作を依頼するビルダーは、エム・シオザキ弦楽器工房の塩﨑雅亮さん。マーチンのリペアやレプリカの製作では、おそらく日本のトップではないか(世界でもトップレベルでは?)と思っている方です。かなり以前から面識はありましたが、特に仕事で絡むようなことはありませんでした。数年前にご縁があり、D-28のコンバージョンを製作していただきました。

塩﨑さんに製作していただいたコンバージョンD-28

 この作品が自分の想像を超える出来で、プリウォーの特徴であるスキャロップドプレイシングの繊細な鳴りをしっかり音で感じさせてくれるギターになっていました。正直に申し上げて、驚きでした。ここまで完成度の高いコンバージョンができるとは思っていなかったからです。もちろんトップは新品(アディロンダック)なので、プリウォーのような乾いた抜けの良い音ではありませんが、全体が新品のような湿った音でもありません。乾ききっていない、温かみを感じるスキャロップドサウンドです。このギターについては、過去の記事で詳しく書かせてもらっています。興味のある方はこちらをお読みください。

 このことがきっかけで、いつかは自分の手でプリウォーのDー45に挑戦してやろうという思いが生まれてきました。そして昨年あたりから徐々にその思いが強くなり、今年の春ごろから動き始めました。

 ビジネスという観点で見れば、あまり美味しい仕事でないことは明白です。ヴィンテージギターの価格高騰で、元のギターが高くなりすぎました。(当然コンバージョンの元のギターは、サイド・バックがハカランダのものになります。)コンバートするギターを選ぶのが(見つけるのが)大変です。最近では1968〜1969年のDー28でさえ150万円前後の価格になっています。これを元にコンバージョンを製作したとして、どれぐらいの経費がかかるのか?!いったいいくらで販売するのか?!本当に悩ましいところです。

 ともあれ、目標はマーチンを超えるマーチン!ここはひとつ経費を無視して、やってみようという気持ちになっています。私自身あと一年半で70歳になります。これも終活の一つ。アコギ人生の集大成の一つとして、こんなことをやろうとするバカがいてもいいのかな?とも思います。

 すでに今春のサウンドメッセの頃から塩﨑さんとお会いしたり、お電話等で打ち合わせを初めていました。そして今月(2023年9月)18日にコンバージョン用にと用意していた1950年製のDー28を持って、塩﨑さんの工房まで行ってきました。

コンバージョン用のMARTIN D-28 1950
惚れ惚れするような木目を持ったハカランダです。

 トップ材に何を使うか?についてもいろいろと意見を交換し、最終的にジャーマンスプルースを使ってみようということになりました。過去に何本もコンバージョンのD-45を製作されていますが、トップ材はすべてアディロンダックだったそうです。つまり、トップ材にジャーマンを使ってのコンバージョンは、塩﨑さんにとっても初めての試みになるとのこと。これも楽しみの一つになり得るポイントです。

1946年製のD-28を弾く塩﨑さん(塩﨑さんの工房にて)

 トップ材の選定もこれからで、完成がいつ頃になるのかもわかりません。が、塩﨑さんとともに「マーチンを超えるマーチン」を目指して、じっくりと時間をかけつつ素晴らしい作品ができるように頑張っていく所存です。
 途中経過も可能な限り、noteに書いて行く予定です。楽しみにお待ちください。

 拙い文章をお読みいただき、誠に有難うございます。皆様の感想、ご意見をお聞かせください。 またアコギに関する相談等がございましたら、どんなことでもOKです。遠慮なくお尋ねください。
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