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アコギ回顧録 Vol.23 「初めてのヴィンテージ MARTIN D-35 1967」「アコースティックギターの音について」

 ギターを道具(弾くもの、使うもの)として捉え、プレイヤーの視点から見た良いギターとはどのようなものか?その答えを追い求めて50年余り。所有したギター本数も3桁に届くぐらい?!
 その答えと言えるかどうかわかりませんが、過去~現在を振り返って自分なりの考え方をまとめてみようと思いました。アコギ好きの方、興味のある方にとって、少しでもお役に立つことができれば幸いです。

「初めてのヴィンテージ MARTIN D-35 1967」
 お茶の水の楽器店街をいろいろ回って、あちこちでヴィンテージの(1969年以前)D-28、D-35を弾かせてもらいました。マーチン以外では60年代前半のギブソンのダブでものすごくいいのが1本ありましたが、とりあえずはマーチンと思っていたので買いませんでした。
 最終的に候補にあがったのはD-28 1949とD-35 1967でしたが、D-28の価格がDー35の2倍以上したので、D-35 1967を買うことにしました。あちこちの店で何本も弾いて選んだだけに、音はものすごく気に入っていました。ただ相当使い込まれていたらしく、指板などはボコボコでした。(エレキギターでは時々見かけましたが、アコギではめったに見られないぐらいの状態でした。)ピックガードもダブルでつけられており、おまけに大部分が剥がれてきていました。それでも音が良かったので、そのD―35を買いました。

 良い音のヴィンテージを手に入れたことが嬉しくて嬉しくて、帰りの新幹線の中で何度もケースを開けては覗き込んでいたものでした。(その時のことはいまでもよく覚えています。)
 これから後、約10年間はこのギターが自分のメインギターになりました。そのまま使うことは無理だったので、大がかりなリペアーをしました。指板はそっくり交換(当然ナット、サドルも交換)、ピックガードの交換(ダブルの両方を剥がし、片方だけ新しいピックガードに)、ブリッジ交換、トップのリフィニッシュ等々・・・。かなりの出費でしたが、おかげでメチャ良いギターになりました。長い間、これ以上のギターは無いと思い込んで使っていました。今はもう手元にありませんが、友人である大阪のシンガーソングライターが使い続けてくれています。

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 リペア後の写真です。うっすらとピックガードを剥がした跡が残っています。ケースもかなり使い込まれた状態でした。

 それまで持っていたギターが比較的良く鳴っていたので、ヴィンテージというものになかなか興味が移って行きませんでした。しかしこのマーチンD-35 1967との出会いが大きなきっかけとなり、ヴィンテージの世界へどっぷりと入りこんでしまうことになります。その世界を知れば知るほど、自分が“井の中の蛙”であったということを思い知らされます。そしてまた新たな目標“アコースティックギターの良い音とは?の答え探し”が始まります。


「アコースティックギターの音について」
 ここでちょっと話は変わりますが・・・。
ギターの音については人それぞれで基準が違うので、言葉で理解するのは非常に難しいと思っています。逆に言うと、わからなくても仕方がないと言ってもいいかもしれません。あくまでも独断と偏見でというのが前提ですので、自分が書いていることが必ずしも正しいとは言えません。正しいとか間違っているとか言う基準で判断する世界ではないのだと思います。

 同じギターを弾いてあれやこれやと意見を交わし、長い時間をかけて共通言語(共通認識と言ってもよいかもしれません、)を育てて行って初めて話が通じるようになるのだと考えています。何人かの人とそうして来た経験がありますが、ものすごく時間がかかります。早くて2~3年。ヘタをすれば10年~20年、あるいはそれ以上ということも考えられます。どんなに時間をかけても、その共通言語ができない相手もいます。アコースティックギターの音を共通認識することは、それほど難しいことなのでしょう。

ギターはウソをつけません。出てきた音がすべてです。

 “鳴る”ということの解釈もあいまいです。(個人個人の中にある基準値が違うので当然と言えば当然ですが、ほとんどの方が自分の都合の良いように解釈しています。)
 アコギ好きの方すべてがそうではないのかなと思いますが、誰でもが自分のギターは良いギターだと思っているはずです。そうでなければ、かなりの確率で買い替えているでしょう。オークションや個人売買でよく“激鳴り”という言葉を見かけますが、不自然な気がしてなりません。本当に“激鳴り”なら、持ち主がそう信じているなら、手放すはずがないからです。

 もう一つ、これは自分の持論ですが“アコースティックギターの音は、自分で弾かないとわからない!”ということです。Youtube等の動画でも“アコギの音”についての投稿をよく見かけますが、その音を聞いてその音がどうか?という判断をする自信が全くありません。録音物も同じです。アコギの音は耳だけで聴いているのではなく、五感で聴いて感じるものだと思っています。耳だけで聴いて判断する自信は、私にはありません。

D-35 1967を友人に譲ったものの、やっぱりD-35が欲しくなって10数年後に同じD-35 1967年製を購入。このギターは今も持っています。

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 拙い文章をお読みいただき、誠に有難うございます。皆様の感想、ご意見をお聞かせください。
 またアコギに関する相談等がございましたら、どんなことでもOKです。遠慮なく聞いてみてください。
宛先 e-mail:mail@acogian.com または twitter(@acogibucho)にお願いします。

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