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「Martin D-45 インレイのお話」「倍音の話」

 「終活ギター アコギ庵」「アコギ弾き比べサロン アコギ庵」です。
 アコギ一筋54年。アコギの終活をやろうというオッサンが、《何かアコギ好きのためにできることはないか?》というところからスタートしました。アコギ好きのための”Support and Assist”を目標に、何かしらお役にたてることがあればいいなと思っています。
 そうそう簡単に弾くことができないと思われるギターも、何本か用意しています。初心者の方用、中級者用のギターもあります。とにかく来て弾いていただいて、そこから何かが始まることを期待しております。アコギ好きの皆様とお話しすることを楽しみに、お待ちしております。


「Martin D-45 インレイのお話」
 2023年9月18日にエム・シオザキ弦楽器工房にお邪魔して、1950年製のMartin D-28をD-45 にコンバートする依頼をしてきました。
 1950年製のMartin D-28を潰して、わざわざ他のギターにする。今となってはほとんど正気の沙汰とは思えない(と言われても仕方がない)行いです。いろいろ理由はあるのですが、おそらく塩﨑さんにとっても最後のコンバージョンになるのではないか?そう思ったのもキッカケの一つでした。たくさんある理由の中で最も大きかったのは、インレイ用のアバロンがあと少ししかない!ということを知ったからです。

 近年のアコースティックギターのインレイに使用されるアバロンは、ほとんどがラミネートです。手っ取り早く言えば、人工的に造られたものだということです。一つ一つのパーツの大きさ(長さ)も、ソリッドのアバロンを使っていた頃とは比べ物になりません。勝手な想像ですが、数で言えば10倍くらいの差はあるんじゃないかな?当然手間も10倍ということになります。

ラミネートのアバロン(Martin D-45の製作風景、これからバックのインレイをいれるところ)
D-41 1970のインレイです。(ボトムの角あたり)
(Martin D-45のソリッドアバロンの写真がなかったので代用させていただきました。)
Rがキツイ部分には、一片が1cmに満たないものもあります。
(わかりにくい写真で申し訳ありません。)

 ラミネート=資源の枯渇とコストダウン → 効率化の結果だということでしょう。それは時代の流れで、仕方がないことなのかもしれません。しかしそんな時代の流れに逆らうように、塩﨑さんは昔ながらのソリッドアバロンを使用されています。「ラミネートを使うのであればまだまだ製作は可能ですが、ソリッドアバロンを使ったD-45はもうすぐ製作できなくなります。」とおっしゃっていました。このことが、コンバージョンの製作に踏み切らせた大きな理由です。

 他の理由としては、サイド・バックに使用されているハカランダの木目が綺麗な柾目だということがあります。D-45に使われていても、何ら不思議ではないと言っても過言ではありません。(この1950年製のD-28に関しては、以前の記事で書かせてもらっています。興味のある方は、そちらもお読みいただけたら嬉しいです。)

 今回のテーマはD-45のインレイですので、その他の部分についてはまた別の記事で書くことにします。塩﨑さんとのやりとりも含めて、出来るだけ楽しんで頂ける内容にしたいです。そうなるよう、頑張ります!

参考です。(石橋楽器さんのスタッフブログより)


「倍音の話」
 D-45のネタに関連して、倍音のこともいつかは書いてやろうと思っていました。ギターに限らず(楽器に限らず)、世の中にある全ての音に倍音は含まれているようです。問題はその出方で、場合によっては濁った響きになってしまうこともあるようです。

参考:YouTubeで見つけた動画です。

もう一つ参考になりそうな記事を見つけました。(探せば他にも無数にあると思います。)


 D-45のサウンドについて語られる時、必ずと言ってよいほど「豊かな倍音」という表現が使われます。確かに倍音が多いということは、間違いないと言ってもよいと思います。

 しかしながら、それは単に倍音が多いということだけではなく、基音と倍音がバランスよく混ざり合って初めて可能になるサウンドです。基音と倍音がバランスよく混ざり合うことで、サウンドに深みが出たり、より広がりがあるように感じたりします。あらためてさすがはMartin、よくこんなサウンドを創り出したなと感心してしまいます。

 ただし、個体差はかなりあります。過去に1本だけですが、サイド・バックがハカランダのD-45で「これ、ぜんぜんダメ!!」というのがありました。トップもシトカではなく、ヨーロピアンスプルースだったと記憶しています。(1980年代のD-45でした。)言葉でうまく伝わるかどうか?わかりませんが、俗にいう「弦鳴り」の強い個体でした。ボディ全体がちゃんと鳴っている感じがしませんでした。Martinでもこんなのがあるんか!?逆の意味でびっくりしたことを覚えています。

"ギターは、弾いて出てきた音が全て"です。

 Martinだから、D-45だから、必ずしも良いとは限りません。先入観や固定観念は持たないようにしましょう。他のメーカー、他のモデルでも同じことです。

 今回はMartin D-45のお話がメインでした。というのは、冒頭に書いたコンバージョンの完成が近づいてきたという理由からです。遅くとも、7月中には出来上がるだろうという話でした。楽しみです!出来上がってきたら、ここでも報告する予定です。

 拙い文章をお読みいただき、誠に有難うございます。皆様の感想、ご意見をお聞かせください。 またアコギに関する相談等がございましたら、どんなことでもOKです。遠慮なくお尋ねください。
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