【受検体験記】漢検準1級 R6-1

2024年6月16日に実施された、日本漢字能力検定準1級を受検しました。
受検体験記を残しておきます。
当日の感想はこちら。


にしなんとかと申します。普段は、ペンシルパズルを決まった制限時間の中でできるだけ多く解き得点を競う「競技パズル」をやっています。
詳しくはこちら。

「作者の意図を想像しつつ、紙の上で短時間で解き高得点を狙う」というのが好きで、漢検もよく似ています(?)。学生時代に2級まで取りましたが、社会人になってからしばらく経ち、隙間の時間も活用したいと思い立って、2024年の始めから準1級の勉強を始めました。2024年2月にも受検日はありましたが、予定が合わず。

教材

①アプリ→②問題集→③ネット上の教材 の順で進めました。

①アプリ

このサイトのiPhoneアプリ版を入れました。課金しました(広告OFF)(周回が捗る)。

これは学習の初手としてかなり優秀だと思います。

  • 長所1 意味が詳しい

特に四字熟語問題や故事・諺に解説の丁寧さが現れています。「文字通りの意味」と「どんな由来からこの意味を持つに至ったか」が両方書いてあるのはすごく良いですね。問題集のような紙幅の制約が無いのは大きい。

  • 長所2 書きは手書きパッド/読みはキーボード入力で回答

前者は勿論嬉しいです。画面が小さいので手元のiPadに書きながら進めたときもありました。後者も重要だと思います。多くのアプリでは、問題の下にある10個のひらがなのボタンを押して答えます。次第に問題ではなく下の10文字だけ見て解く能力が身についてしまう(悪)。キーボード入力なら記憶が曖昧なときにしっかり咎めてくれてありがたいです。機能実装の難易度という面もあるのでしょうけれど…。

  • 長所3 問題量が多すぎない

このアプリである程度知識を身に着けて(個人的には、いくつかの漢字を"味方につけて"いるような感覚です)おいたので、次の問題集では見覚えのある味方に助けられながら他の知識も積み上げていけました。問題量が少ないものから順に取り組むと良いです。

まず1周(最初は大体全部誤答する)→誤答をもう1~2周→どうもこの漢字のせいで何問も誤答しているようだぞと気付く→それを何かにまとめる

という流れで進めました。(上のサイトは自炊メモなど無関係なものも載っていますが気にしないでください)
覚え方のコツとしては、例えば「工廠」は最初どうしても弊や蔽を連想してしまって困りましたが、「尚」が入っているから「こうしょう」だ、と覚えました。「舛誤」などは覚えるのに苦労しました。「せんご」と読みます。とっかかりが無い…。結局各文字(読み)について熟語ごと覚えるのがよさそうですが、ではどんな熟語が頻出なのか、といった話はやはり問題集が詳しいと思います。

②問題集

この動画を見ました。

そして旺文社のこれを買いました。

とっつきやすいです。高得点を狙いたい気持ちもあったので、それにしては難度が物足りない問題集だったかもしれないですが、挫折しないで済んだし、結果オーライということで。

他の人の合格体験記を読んでいるとナツメ社のこれが頻出です。

通称「漢マス」。いわゆる「カバー率」の改訂版。付録も便利で、短期間での合格を目指すのにも使いやすいらしいです。みんな絶賛している。自分は1冊と決めていたので、買うつもりもないのにこういうレビューを読んでいると(読むな)だんだん悔しくなってきて俺は旺文社で合格したるぞという気持ちになっていました。

問題集に付属している模試

最低でも1周終わってから解きましょう。自分の「まあ全部覚えたな」という感覚が現実とどれくらいズレているかを掴むためです。問題集の模試は問題集にある問題だけで構成されているはずなので、満点以外の目標はありません。自分は5つ全て解いて186,189,190,194,194点でしたが…。どうしても音読み・表外読みが完璧にならず、直前期にここに集中し、本番ではそこそこ形になって良かったです。

③ネット上の資料(発展問題)

高得点を、取りた~い!折角なら正答率の低い問題も正解したいですよね。

四字熟語656

ExcelファイルをDLしてちょっと編集し、iPadに入れてひたすら「ひらがなだけを見て、4文字書く」を繰り返しました。
1周目では、音から推測してそれっぽい漢字を書くのは無駄です。思い浮かばないものは潔く飛ばして漢字表記と意味と由来を読み、一回書いて、次に行きます。今までの学習で味方につけた既知の四字熟語は着実に正解を狙います。
2周3周と繰り返すとスピードが目に見えて上がるので楽しいです(そうなると信じて地道な1周目を耐えるしかない)。また、100%まで仕上げなくても、正答率4割くらいを超えると模試や過去問(のうち、このリストにある四字熟語)の手ごたえが変わってきます。語群を一切見なくても
(  )万里
ってあったら波濤万里か鵬程万里の二択だな~ってすぐ分かります。まあ、準1級配当以外も含めるともっとあるのですが…。

5~6周くらいしたと思いますが正答率7割くらいです。

準1級大見出し語300・常用大見出し語500

これもやり方は「ひらがなだけを見て、漢字を書く」で同じです。同音異義語もある(せいきん(生禽…生け捕り/青衿…学生)など)ので、意味もチラ見しますが、そこに正解の字が載っている場合があるので、適宜編集しました。周回してもなかなか脳に入って行かず難しい。味方だと思っていた漢字の知らない一面が分かって楽しいです。

「手を広げすぎるな」って本当?

本当です。常用500をやっている最中は準1級配当漢字を書く機会が皆無です。四字熟語656に現れない準1級配当漢字もたくさんあり、訓読みも表外読みも忘れていきます。特に自分は音読みを含めて読みが甘いまま受検に臨んだな…と思います。ちょっと熱中し過ぎました。

その上で、楽しむのが最大の目的だと思います。長期間勉強するには持久力が、短期間で合格するには勢いが必要なので、どちらにせよどういう楽しみを自分に与えるかを考えることになります。上記資料は自分の知識欲に響いたので、熱中できたことに後悔はありません。逆に、響かないものはやらなくても得点に大きく影響はないと思ってよいと思います。

インディーズの模試

有志の方が作った模試がネット上・ツイッター上に数多くあります。およそ試験1ヶ月前から解き始めました。こういうものを解くのが一番楽しい。

このしずく模試は特に有名なようで、解いた感想をブログに残している人すら複数いるため、復習までやりやすいです。
自分が解いた模試は以下の通りです(感想を細かく直書きしています。ネタバレ注意)。こういう詳しい感想はもっと転がっていてほしい。ので載せます。

14つ解きましたが、好きで解いているだけで、必要ではなさそう。
こういった模試も、問題集も、最大限厳しく採点した方が良いです。目的は本番で点を取ることであり、模試の点数を甘い採点で増やしても本番には一切影響しません。別解に期待せず、最も望ましい正解を自分に覚えさせるために今バツをつけましょう(これも性格によってはやる気が失われるので、適度に…)。勘が当たったとか、対義語類義語で同じ単語を10個書いて1個当てたとかは加点しても良いと思います。二択まで絞って外したらバツです。そうすれば本番でその二択が当たります。
模試のおかげで解けた本番の難問があるので、やってよかったです。インディーズの模試に取り組むにあたっては、前述の656や500や300といった資料をやる方が解きやすくなります。つまり模試製作者もこの資料を参考にしていて、解く側も同じ資料で勉強している、というのはマッチポンプに陥る可能性があるのでは、と思わなくもないです。本当に試験で出るのだろうか…。模試製作者はこの問題意識と向き合った上で世に模試を公開しているわけで、ありがたい限りです。

その他

実際の過去問は一切やりませんでした。当日に解いた問題が、漢検製の問題として初めて解く問題でした。
前日までに1回分くらい解いても良かったですが、出題形式や問題傾向、昨今の難化傾向(らしい)については、自分が多少解いたくらいでは分からないですし、問題集の編集部やインディーズの模試の作者たちが代わりに研究し尽くしているはずです。その人たちの作った問題や資料を信じる方が良いと考えました。

「綺麗で完璧なノート作りを目指すと勉強が全然進まない」ということはよく言われる話で、自分も綺麗なノートは絶対作りたくない(学習に飽きるリスクが高まるため・しばらく勉強した後の自分を想像すると、能力が上がっていてそのノートが不要になっていると思われるため)ですが、しかし作るのが楽しければそれを目的にしても良いじゃないか…と思います。飽きるリスクを踏まえた上で、完璧なノートを作りたいという欲をどう持って行くか考えるのがおすすめです。

QuizletやAnkiで音読み・訓読みの単語帳を利用したことがあり、割と効果的でしたが、質の高い単語帳はやはり自分で作るしかないようですし、でも大変だろうなあと思います。

漢字ペディア お世話になりました。公式がこういうサイトを作っているのはすごい。

検索欄にひらがなを入力した場合は自動的に読みで検索してほしい!!

ふと思い立ち、問題集の付録の漢字表にある漢字をすべて書く、一字一字音読みと訓読みを見ていく、というのをやったことがあります。終盤の最後の確認としては割と良かった気がします。叡、嚢、篦、卿、燕といった字の筆画を再確認するなど。最初にやるとどの字が頻出か知らないので心が折れそう。

あとがき

この記事が読者のみなさまのお役に立てば幸いです。お読みいただきありがとうございました。

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