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重大発表 ~As Natural ~

R5年度春 多機能型児童発達支援センターをクリニック横に併設します!!

新年あけましておめでとうございます。今年の冬は寒い日が多いですが、皆様体調はいかがでしょうか?
R3.5に「にしなこどもクリニック」を開院させていただき半年以上が経過しました。
地域の皆様、関係各位の皆様の助けもあり、無事にクリニック運営をさせていただけています。改めて感謝するとともに、これからも一生懸命頑張っていくぞ!と気合をいれなおしています!

さて今回は、重大発表をさせていただきたいと思います。

R5年度春に「にしなこどもクリニック」の真横に「多機能型児童発達支援センター」を併設いたします。多機能型児童発達支援センターと言われても聞きなれない言葉で、いったい何を行うところなのかピンとこないかと思いますが、

私たちが運営する多機能型児童発達支援センターでは

① 相談支援事業
② 医療型児童発達支援
③ 放課後等デイサービス


を複合した事業を行います。

① 相談支援事業では
身体的な病気や障害、精神発達障害などをお持ちのお子様にどのような支援ができるのか?どのような支援事業所を利用するのがよいのか?などの相談窓口になり、また支援計画を作成し、有効な支援が行えるようにします。

② 医療型児童発達支援事業では
未就学の医療的ケア児(身体的な病気や障害をもったお子様)を対象に療育・発達支援・障害児リハビリテーションを行います。
実は静岡市内だけでもおよそ50名程度、対象のお子様がいます。この子たちは、気管切開・在宅酸素療法・在宅人工呼吸管理・在宅経管栄養・在宅中心静脈栄養・在宅腹膜透析療法など種々の在宅医療をうけています。未就学のこのようなお子さんたちは通常の幼稚園や保育園に通うことができません。一部の子は通所施設へ通えることはあるのですが、重症度によりふるいにかけられてしまっており、重度の病気や障害をもったお子さんはどこにも通えておらずご自宅で親御さんと過ごす日々を送っているのが現状です。しかし、私たちの施設では、「いかなる重症度も問わず」、すべての医療的ケア児が通所できるように致します。

③ 放課後等デイサービスでは
就学後の医療的ケアを要するお子様の療育・発達支援・リハビリテーションを行います。
つまり医療型児童発達支援と同等のことを行っていきます。

手前みそにはなりますが、日本全国をみても今回私たちが構想をたてたような多機能型児童発達支援センターは類を見ません。チャレンジングケースにはなりますが、完成すればかなりよいものができると自負しております!

話が前後しますが、どうして私がこのような多機能型児童発達支援センターを開設しようと考えたのか? 思いを述べます。

私は、小児科領域の1次から3 次医療、急性期から慢性期医療まで幅広く臨床経験を積んで参りました。特に長期間在籍していた静岡県立こども病院では、重篤患者の救命集中治療に携り、多くの助かる命をみてきた一方で、命は助かっても後遺障害を残される患者さん達がいることも現実としてみてきました。「障害なき生存」が理想ではあるのですが、まだ現代医療を持ってしても、諸外国含め実現できていないのが現状です。小児集中治療分野では日本の10-20 年先を進んでいるオーストラリアからの研究データを示します。

図2

医学が進歩し、死亡率が下がった反面、後遺障害率は上がってしまっていることを示しています。日本も同様の経過をたどり、10 年前に比べ、医療的ケア児は2倍ほど増加したという全国調査結果がでています。このような臨床経験を積むうちに、後遺障害や重症疾患を持ったこどもたちとその家族は、病院から離れた日常生活をどのように送っているのか?に目が向くようになりました。このようなこどもたちの大部分は、病状悪化時の対応ができない、そもそも医療行為を施せない、対応できる人員を確保できないなど種々の理由で、幼稚園・保育園などに通園ができておりません。もちろん一部は訪問看護やデイサービスなどの通所施設で対応されている部分はありますが、いずれも限定的で、重症度によりふるい分けを受けてしまっているのが現状です。例えば、医療的ケア児の対応の中には、気切トラブルや人工呼吸器トラブル対応など、医師の中でも一定のトレーニングを受け、スキルを身につけたものしか対応しきれないものがあるからです。本来、病気や障害に関係なく受けるべき保育や療育を受けられていない現状があります。   また、保護者の観点からの問題点としては、保護者の中には、離職されて在宅介護に専従せざるを得なくなった方々も少なくありません。生産世代の親御さんたちが離職してしまうのは社会的側面としても大きな問題になります。保護者は、24 時間365 日、自宅でこどもを看ています。睡眠時間すらまともにとれない日も多く、育児とはとうてい言い難い看護を行っています。介護疲労・精神疲労から始まり、家庭内不和そして離別された家庭や、我が子とともに自ら命を絶たれた保護者の方もいらっしゃいます。
最後に、急性期病院で日々行っている診療の面から問題点として、後遺障害を残した患児(特に乳幼児)が、病院退院後の受け入れ施設が存在しないという観点から治療の制限を受けてしまっていることも現実にはあります。例えば、本来必要である気管切開や人工呼吸サポートを無理やり行わず、つまり医療的ケア度を無理やり下げて受け入れ施設を見つける、究極には医療介入せずに看取るなどを選択せざるを得ない症例が現実にいるということです。非常に重大な問題です。
このような患者・家族を目の当たりに日々の診療にあたり、この現状をなんとか打開したいと強く思い、重症度や保護者の付き添いの有無をはじめとした条件付きの通所施設ではなく、全ての重症心身障害児・医療的ケア児を条件なく受け入れる多機能型児童発達支援センターの開設をしようと考えました。

私には、大きな基幹病院を離れ、自分で開業しクリニックやセンターを作ろうと思った理由がいくつかあります。

その1.                   プライマリケアや地域医療を充実させ重症患者の発生をより少なくしたい


その2.                   病気や障害をもったこどもたちやそのご家族に、より自然に生活できる環境を作る手助けをしたい


その3・4・5.               さらには・・・これはもう少し先に話が具現化してきたころにまたお話します。

と、ひとりの医者が行うにはあまりにも大きな目標をかかげましたが、一段ずつ階段をのぼり、ようやくセンターの開設までの予定がたちました。構想をたててから計画・実行するまでに相当な月日を要しましたがなんとかなりました

「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」

とはよくいったものです。まだまだ予定がたったのみで、越えなければいけないハードルは多々ありますが、しっかりと頑張っていきたいと思います。

ろご ふる

最後に、医療法人に「As Natural」と命名した思いについて

「As Natural」は、和訳すると、ありのまま、自然に、あたりまえの、普通になどの意味になります。

病気や障害を持つこども達に

「ありのままに」、「あたりまえ」の保育・療育を受けさせてあげたい


保護者の方々へは

普通に毎日我が子を園に通わせる、自分たちも仕事ができる、「あたりまえで自然な」日常を送っていただきたい


我々医療者を含めた社会は

「自然に、あたりまえ」にこども・保護者へ医療・療育・支援の環境を提供すべきである

という思いを込めて命名しました。

本日の記事は以上になります。

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