「ピアノを弾いてみたくなる」と思ってもらえることが嬉しいんだわって気付いたとか
昨日、神奈川県川崎市にある「ラ チッタデッラ」という場所でフリーライブを行いました。
そこでいろんな側面から感じた事柄があるので、少しだけそのお話をさせてください。
まずライブ会場としてのこの「ラ チッタデッラ」という場所が最高でした。
("ラ チッタデッラ" 何度か発音したくなる名前ですね)
コンセプトとしてはイタリアのヒルタウンをイメージしてデザイン設計された複合商業施設らしく、確かにいたるところにヨーロピアンな雰囲気が醸し出されていました。
そんな中、昨日演奏させてもらった場所はこんな具合。
円形のど真ん中にステージが組まれて、その周り200度くらいがぐるっと客席で囲まれて居て、まさにイタリアローマのコロッセオみたいな雰囲気。
(お客さん入るとこんな感じ)
一体何が最高だったかというとひとつめはシンプルに音環境。
ライブハウスと違って野外の商業施設というのは基本的に演奏する際の音環境が難しくなります。
それは各所屋外施設のディスでもなんでもなく「音を出す前提で設計されている」ライブハウスと屋外を音環境で比べること自体がそもそも愚問という話。
ライブハウスに比べてどうしてもやりにくくなるというのが基本。
その理由として大きいのは吸音面だと思います。
屋内でしかも吸音もしっかり設計されているライブハウスで大きい音を出した場合はいい感じにこちらに音が跳ね返ってくる感覚があるんですが、それに比べて屋外では壁がないので音がそのまんま四方八方に空気と共に果てしなく飛び去っていきますので、それはそれで屋外ならではの気持ち良さでもあるんですが、なんというかいい具合に混ざってる感覚が分からないんですね演奏してて。
その点昨日の会場は、まず四方が階段と高い建物に囲まれている。
(トップ画像も含めた各写真を参照にしてみてください)
なのでそれがいい感じに音の壁の役割をしてくれた感覚があって、従来の屋外ほど音が空間に散っていく感覚がなかったんです。
屋外ならではの突き抜けていく気持ち良さは保ったまま、四方の建物が吸音の変わりをしてくれていい感じに内側で混ざる感覚もあるという、いいとこどりのような音環境でありました。
(当然PAさんの技術のおかげも多大にあります)
そして四方を高い建物に囲まれてるからこそ見上げた景色が吹き抜けの家に空の窓があるような雰囲気で、それがまた自分たちが出してる音に最高の演出を添えてくれるというか。
円柱の一番下のど真ん中から空に向かって音を飛ばし続けている気分でして。いつもは鍵盤にしがみついてるか同じ板の上に立ってる人にしか基本目線が行かない僕ですが、思えば昨日は演奏しながら空を見上げてる時間がすこぶる多かったように思います。
というわけでこの「ラ チッタデッラ」という場所が演奏する場所として最高だったという話。
あと2つくらい話したかったんですが、1つ目が思いのほか長くなってきたのであと1つにします(もう1つはまたどこかで)。
ここで何度も書いていますが、1月18日に「BEST OF LAZWARD PIANO -青い箱-」という32曲入りのアルバムをリリースしました。
昨日はそのリリース記念イベントだったわですが、元来これは「植田真梨恵」というソロアーティストのリリース作品なわけです。
ただ、「2人で積み重ねてきたライブの10年分の集大成っす!」っていうコンセプトがあるので、僕もジャケットに登場させていただいていたり名前も連名になってたりするわけでして。
そういう理由もあって昨日のライブ後の特典会(サイン会)も2人でやったんですね(大阪でもこの前やりました)。
サイン会ですから当然サインしている間とか手渡しする時とかにほんの二言、三言ほどファンの方と会話する時間があるわけです。
「ライブ最高でした!」とか「めちゃくちゃかっこよかったです!」とか「西村さんのピアノ最高!」とか挙げ出したらキリないですが、本当にとても嬉しく思いますし励みになりますし心の底から「有難いなぁ」と思うわけです(本当にありがとうございます)。
そんな中で、印象的だった2つの言葉を取り上げたいと思っていまして…
まず一つ目が「今日、西村さんの演奏を観てピアノという楽器の見方が変わりました」と言われたこと。
そして二つ目が「昔、自分もピアノを習っていたんですけど今日のライブを観て、ピアノを辞めてしまったことをめちゃくちゃ後悔しました」と言われたこと。
記憶の範疇で書き起こしているので一字一句正確ではないかもしれませんが、概ねそういった内容のことを言われた時に嬉しいというか「ハッ!」っとなって、反射的に思わず後ろで仕切りしてたマネージャーさんに「ちょっと今の言葉覚えておいてください」とお願いしたくらい。
(そこからまた何十人の方とサイン会する間にもし忘れちゃったら嫌だったので)
当然、かけていただく言葉どれもこれも嬉しいしめちゃくちゃ有難いんですが、その2つだけはちょっと言葉をいただいた時の感覚が違って。
で、この感覚の違いは何かなーとイベント諸々が終わったあとに考えてみたんですが、結論「ピアノ」というものに矢印が向いているという部分なのかもと思いました。
「ライブ最高でした」とか「めちゃくちゃかっこよかった」っていう言葉は矢印は僕に向いている側面が大きいと思うんですが、そのあとに書いた2つは「ピアノという楽器」に矢印が向いている側面が大きい。
そこがとても嬉しかったのかもしれません。
(だからって僕に矢印が向いていることが別に嬉しくないとかそんな話じゃないから誤解なきよう頼みますくれぐれも)
思い返せば「子供がピアノを習い始めました」とか「ピアノを触るようになりました」みたいな言葉をもらう時もそうで…
僕のピアノどうだーとか僕かっこいいでしょーみたいな欲目って多分僕の中でほとんど無くて(ゼロと言ったらさすがに嘘にはなりますけどもね)、それよりも「ピアノって楽しいよね」「ピアノって楽器は素晴らしいよね」っていう価値観を、僕の演奏を通じて共有できることがめちゃくちゃ嬉しいんだわきっと僕はってことに改めて気付いたというお話です。
当然「西村さんのピアノ好き」と言われることの喜びや幸せってのはとてつもないものですから、別角度の喜びと表現するほうが正しいのかもしれまんね。
「自分もピアノ弾きたくなってきた」とか「またピアノ再開してみようかな」とかそういう感情を老若男女問わず持ってもらえることにけっこう幸せを感じている今日この頃。
ただただ「ピアノって楽しそう」みたいなことが楽器素人の方にも伝わる「わかりやすさ」みたいなものの表現はこれからもこだわっていこうかなと思った昨日でした。
今日のところはそんな感じで。
ではまた。
[P.S.]
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