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ガルガンチュア音楽祭 2024

5日に閉幕を迎えた石川県金沢市を中心に開催されたガルガンチュア音楽祭。

僕は5月3日と4日の2日間に渡って計4ステージに出演させていただいたわけですが、諸々やり終えた今改めて2日間の中身の事やそこから付随して湧いてくるアレコレを書き綴ってみようと思います。

2日間の総ざらい的な話です。
今年の僕のゴールデンウィークの日記だと思って読んでいただければ幸いです。

そんなわけでまずは5月3日。

この日の僕の出演は…
15:00~15:20  JR金沢駅もてなしドーム地下広場
18:00~18:20  石川県立音楽堂 やすらぎ広場

の二つ。

15時からの"もてなしドーム"回に関しては、ステージとか公演というよりも"ゲリラ"的な雰囲気で、一応演目として記載されてはいるものの、ふらっとストピを弾きにきたみたいな空気(with能登ヒバピアノ)。


以降SNSからいろんな方の写真借ります


当日、その場に行くまで僕も詳細は分かっておらず、普通にステージだと思っていたので「…おお!なるほど….!」って感じにはなったんですが、最初から僕目当てで集まってくれてる方がそれなりに居てくださったので、しっかり「ライブ」みたいな雰囲気は開始前から出来上がっていたので良かったです。

上記の写真を見ていただいたら分かる通り、基本ずっと背を向けていますので演奏中に人がどれくらい集まっているのかっていうのは全然分からなかったんですが、最終的にはかなり人だかりができてくれてて大盛況で終われました。感謝。

もちろん、ピアノの音で人が集まってくれた部分も大いにあったとは思うんですが、それと別で人が集まってくれた強い要因がこちら。


西村 with ガルちゃん

ガルガンチュア音楽祭のマスコット兼宣伝部長のガルちゃん。

開催期間中、ずっといろんなところをそれこそゲリラ的にウロウロしていたみたいなんですが(大人気でしたよ)、この15時の回に合わせたような感じで僕のところに来てくれました。

いうことで即座に思いっきり巻き込みました。

「今から数十分ピアノ弾くからその間ずっとここで指揮かダンスかしておいてくれ」とハッキリと無茶振りをしました。
(もしかしたら次の段取りとかあったのかもだけど)

集まってくれてる方々がなんだか僕とガルちゃんの2ショットに湧いてくれてたので、思いつきでの咄嗟の無茶振りだったんですが、今にして思えばガルちゃんがずっと横で僕のピアノに合わせて楽しみ続けてくれたことが、あの独特なゲリラ空間において、かなり華やかでファミリー的な部分を担ってくれていたと思うので、改めて30分くらいずっと付き合わせちゃったガルちゃんにはこの場を借りて感謝感謝でございます。

あと、僕の無茶振りを快く受けてくださった、ガルちゃん付きのおねーさんも本当にありがとうございます。

ずっとこの距離感で一緒に遊んでくれたガルちゃん


という感じで2日間計4ステージの滑り出しはとても好調な時間となり、多少ホッとしたわけですが余韻に浸る間もなく次のステージまでの合間で、翌日の連弾の合わせの時間が入っていたので、そそくさと練習室へ。

そこで翌日(4日)のお昼のステージで連弾でご一緒する石島さんと初めて対面させていただきました。

石島さんとの話は4日の振り返りの際にじっくり書くとして、なんせステージとステージの合間に連弾のリハーサルの時間を頂いていて(グランドピアノのスタジオで)、とにかくずっと弾きっぱなしのまま夕方の公演へ。

3日の2公演目。
石川県立音楽堂やすらぎ広場。


先日の記事でも書いた130歳ピアノ


18時からの回ってことでこの日のこの場所のトリでした。

こういう同時多発的にあちこちでステージが繰り広げられているフェスの「トリ」っていうのは実はけっこう大変で、問答無用で自分目当ての人しか来ないという状況が生まれます。

自分のあとに違う方のステージがある場合は、自分目当ての方と次の方目当てでちょっと早めに来られている方が混在することで、トリよりも人の集まりやすさにかなりアドバンテージがあるのは事実だったりします。

でのトリか〜っていうのと、ひとつ前のステージから矢継ぎ早にというよりしっかりインターバルを取っているので、離席する人も大変多い。

ひとつ前のアーティストの方が演られてる時は、用意されている椅子がしっかり埋まってたわけですが、そのステージが終わったら一旦9割が空席になります。

そのサマはさすがにちょっと怖かったですよ。笑

ましてや夕方あたりっていろんなところでメイン級のステージが繰り広げられている時間帯だし、その中でトリだしもっと言うと「急遽変更になったステージで事前パンフレットとかには記載されてない」っていう不安要素もあったのでした(今思い出した)。

多分一度パンフレットを擦ったり看板を作ったりしたあとでの変更ですから、それは退っ引きならない事情があったんだろうと察しているので、別にそこをとやかく言うっていう意図ではなく、単純に一旦9割空席まで減った景色とその事実が相まって、ただただ恐怖がやってきたっていう。

まあでもそれならそれで、そんな中でも来てくれてる人たちととびっきり楽しい時間(というかかなり緩い時間)を過ごせるタイプではあるので、まあいっかとか思ってたんですが…

嬉しかったですね。
始まる頃にはしっかり満席でした。

しつこいですがトリですから西村広文を目当てに来てくださった方々がほとんどなわけで(休憩がてらとか誰か分からないけどって方も居らっしゃるかとは思う)、そんなこじんまりした数じゃなくてなかなかの椅子の数が置かれてる会場でしたから、正直めちゃくちゃ安心しました。

なのでそうなったら分かりやすくピアノも躍動するもので、頑固なじいさんではありましたが(詳しくは4日付の記事なんかを)、実に楽しい時間を過ごさせてもらいました。

広場ということで通路沿いにステージが組まれていたんですが、僕の目線の先にその音楽堂内の通路があって、ふらっと歩いてきた人たちが軒並み足を止めてくださる光景も常に見えてたりして、それもまた嬉しかったですねぇ。

そういえばトリであるが故の不安要素の話を重ねて来ましたが、逆にトリのアドバンテージとして「多少時間緩くても大丈夫」ってのがあります。
(いやダメなんですけど)

20分って決められてたんですけど、結果的に30分強くらいやらせてもらった記憶です。

トリ懸念もなんのその。
すごくいい時間でした。本当に。

そんな5月3日。
僕的な初日だったのでした。


さて…
これはなかなか長くなる事は重々承知ですが、変に2日間に分けたりせずこのまま4日の話も書きます。

というわけで2日目の出演ステージ。

11:40~12:20 県立音楽堂交流ホール (本公演)
15:00~15:30 JR金沢駅もてなしドーム地下広場

の2つ。

まず注釈なんですが、大きく分けて今回の音楽祭は"本公演"というのと"エリア公演"というのがあって、あちこちで路上的に(広場とか)行われているのがエリア公演で、本公演というのはそのステージを見るためにチケットを購入しないといけないというもの(いわゆる普通のライブの形です)。

この日の11時40分からの回はその本公演。
県立音楽堂の広い広いホールに、そのステージを目当てにチケットを購入してくださった方が来てくれるわけで、昨日の2公演とは明らかに雰囲気が違います。


これはリハ前の雰囲気ですけど本番は照明とかも綺麗だった


このステージのタイトルは『みんなの「これ聴きたい!」リクエスト公演』ということで、事前に県民の方にアンケートを募って選ばれた曲たちを僕らが弾かせてもらうわけですが、出演するピアニストは僕ともうひと方。

先ほども書かせていただいた石島彩羽さん(七尾市在住)。
そしてMCにはこの音楽祭の実行委員長である池辺晋一郎先生。

僕が今回オファーをいただいたのはそもそもこのステージに出演するためで、その他のエリア公演は付随して決まったものですから僕の今回のメインイベントです。

何度か書いてきた記憶がありますが、実行委員長の池辺先生が北國新聞の記事で避難中の僕のことを見てくださって「この人を呼ぼう!」という大号令をかけてくださったことで出演が実現したんであります(本当に感謝です)。

そう思ったら、避難中の一番最初の音楽室での演奏の時に、北國新聞の記者さんが"たまたま"居合わせてくれてたのが全てのきっかけで、これはもう「運」としか言いようがありません。

そんなわけで県民の皆さんからのリクエスト上位の曲たちをソロピアノで、時に連弾でお届けしたわけですが、その連弾のお相手の石島さん。

七尾市在住の高校生の方で、やはり元日は壊滅的な被害に遭われたそう。

池辺先生は七尾という土地とも実にゆかりがある方で(詳しくは調べてください)、今回七尾市で被災したピアニスト2人を直々に揃えてくださったところにとてつもない愛と気概を感じる次第です。

石島さんは今回の出演のためのオーディションで選ばれた方なんですが、そのオーディションの開催日時が1月の7日、8日だったみたい。
(公式的に情報が出てます)

多分、オーディションを断念された方はたくさんいらっしゃると思います(特に能登地方の方に関しては)。

石島さん(ご家族)も実際に甚大な被害に遭われたわけですが、彼女はそれでも今回の音楽祭になんとしてでも出たいってことで、とてつもない気概を持ってオーディションを受けに行ったそうです。

おそらくその時期はいろいろ非日常だったから普段通りの練習も満足にできなかったでしょう。でもそれで結果的に出演を勝ち取ったのです。

控え室的なところでご家族からそういう話を伺っていて、まさに不屈とはこの事でシンプルに「すげぇな」って思いました。

やっぱり全く同じ恐怖を味わっているっていう部分と、そこからの避難生活だなんだっていうバタバタも全部共感できるわけで、その日々を経て今日こうしてガルガンチュア音楽祭のステージで連弾するっていう部分までセットで「仲間」感がすごくて、池辺先生は実に粋な時間を創ってくれたなと感服いたします。本当に素敵な方です(なんか絶妙にファニーだし)。


そんなわけで、他の3公演とは全然違う感情を抱かせてもらった「県立音楽堂交流ホール」の時間を経て、個人的最後のステージ。

15時からのJR金沢駅もてなしドーム地下広場です。

ここは初日にも同じ場所でやったわけですが、その時は隅っこのほうの能登ヒバピアノでのゲリラ的ライブだったわけですが、今回はがっつりステージ。


ほんで…これまたこのエリアのトリ。
(なんでや!)

しかもこの公演もイレギュラーで決まったものだから事前告知されてないやつ(こうやって書いているとなかなかの逆境をいただいてますね)。

なんですが、ここに関しては駅構内みたいな感じだから通りすがる人がそもそもたくさん居てくださるし、あと飲食とか雑貨屋さんみたいな出店も並んでたりするので、食事や休憩がてらそこに滞在してくださってる方もちらほらいらっしゃるので、ピアノの音で最終的にどれだけここに人が集まるかっていう、実に分かりやすい勝負ができると思いました。

相変わらずピアノを弾く前にステージど真ん中で仁王立ちして演説(講演)的なテンションのMCから始めたわけですが(これは3つのエリア公演で貫きました)、なんかその時点で既に"聴く体勢"で座ってくださってる方がたくさん居ました。

初日のやすらぎ広場の時も思ったのですが、内訳が全然分からない。

もちろん僕目当てで来てくださってる(いつもライブに来てくれたりSNSで絡んでくれるような)方々は目に留まりますし周知してますが、それ以外の方がやっぱり圧倒的に多いわけで、北國新聞で僕を知って"目当て"として来てくださってる方が大多数なのか(みんな北國新聞読んでるんで)、誰とか関係なくなんとなく見にきてくれたのか。

ただ、動画を撮ってくれてる人がけっこう居たから、もしかしたら知ってくれてたのか(それともピアノ鳴り出して慌てて構えてくれたのか)、なんかそんな事を実は思いながらの4公演目だったりしました。

で、もう自画自賛めいた話はお腹いっぱいかと思いますが、事実だから書きます。許してください。

弾き始めたらこれまたぞくぞくと人が増えてくれる増えてくれる。

駅構内だから通りすがる方もたくさんいらっしゃるんですが、足を止めて動画を回してくれたりする(目線の先がこれまた通路だったから)。

いや嬉しかった。

実はこんな感じでピアノ一本で不特定多数の前でストリート的に演奏するのってほぼほぼ初めてなんですよね。

しかも金沢っていう普段の活動と全然違う場所ですから、そもそも最初から人が集まってくれる想定はしてないし(だからこそ"行きます"って声がすごく嬉しかったですよ)、ピアノ鳴らしてからどれだけ人が集まるかだなっていう勝負心では居たので。

だからって「人を集めるためのピアノ」を弾くつもりもなくて、あくまで今回は復興という側面もあったうえで被災きっかけで呼んでいただいてるし、場所も石川県だし、だからこそ「あの頃、避難所の音楽室で避難者みんなでこういう時間を過ごしてたんです。音楽って、ピアノっていいでしょ?」っていうあの日々の空間をそのまま体現する(曲目も雰囲気も)というのはポリシーとして持っておりました。

なので毎回最初に必ずその話をしました。

避難所生活を共にしていて音楽室のライブも実際に見ている人が来てくれていました。
「懐かしかったですね」という言葉が自然に出てきました。


僕はあの1月4日に本当に本当に音楽の原点に立ち返りました。

母校の小学校の音楽室でピアノを弾いて、その場に居る人たちが喜んでくれる。「あれ弾いて」「これ聴きたい」という声が飛んできてはそれに答える。

ガキんちょの頃「なあなあ西村ピアノ弾けるんやろ?あれ弾いてま」とクラスの奴らに言われて、弾いてみせて「おー!」と言われてちょっと楽しくなってたあの頃と同じような時間が2024になって急に訪れたわけで。
(しかも何の因果か"西村広文"として本格的に活動開始した矢先にね)

そういう時間の積み重ねで僕はピアノが続いたのは明白で、だからこそ今がある。

なので今回、これだけたくさんの人に観てもらえる機会だったからこそ、元日に自分が立ち返った「音楽って本来そうよね」っていう原点の姿をそっくりそのまま一人でも多くの人に見てほしかったんです。

それは新聞記事を見て来てくださった方にも伝わってほしかったし、そもそも以前からずっと僕を応援してくださってる方に対してもそう。

今回、僕が出るっていうんで観にきてくれた方がたくさん居ます。
遠方から来てくれた人も多々居ます。

所謂"ファン"という人たちです。

元日の知らせを聞いて心臓が止まりそうだったかと思います。
ただただ気が気じゃなかったと思います。

メディア越しではいろいろ知れたかもしれないけど、そんな人たちに対しても「こういう時間を過ごしてましてん」っていう姿を、数ヶ月越しにはなりましたが元気にお見せできたのは、良かったな。

見聴きしてくれた全ての人に感謝します。
五感を少しでも傾けてくれただけでも心から有難いです。

少々長くなりましたが、これをもって僕のゴールデンウィークの日記とさせていただきます。

ではまたどこかで。




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