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『被災地のピアニスト』の音楽室ライブについて改めて思うこと

もういちいち書かなくてもって感じかもしれませんが、今日も元気に避難所からお届けしようと思います。

というわけで改めて避難所5日目を迎えました西村です。
(もう5日かぁ)

連日𝕏でも連載のように七尾避難所だよりをお届けしているので(連日多大なるリアクション誠にありがとうございます!)、ここを読んでいただいてる方にはなんとなく僕の日々は把握していただけてるのかなと思います。

そしてここにきて超速報なんですが、避難初日から連日24時間常に避難所内の全ての電気は付けっぱなしだったんですが(いざという時やっぱり暗いとアレですから)、今日から22時消灯になりました。

まだ一日に数回は体で感じる揺れはあるものの、そろそろ夜は電気を消しても問題ないという判断なのでしょう。

あとはそろそろさすがに体力諸々疲弊してきてるであろう避難所民(特にご高齢の方や子供)に本当の意味でしっかり睡眠を取ってもらえるようにという配慮もあるのかもしれません。

ただ、この5日間ずっと明るかったのでいざ暗くなるとそれはそれで少し不安感が煽られたりしちゃうんですが….と打ってる最終に今おもいっきり揺れました(この実況めちゃくちゃリアルですね)。

「もうそろそろ夜は消灯しても大丈夫かな?」という判断の元、消灯したと思ったその10分後に震度4です。
(大きめの余震っていつも本当に面倒なタイミングで来るんですよ)

まだまだ全体が恐怖感と隣り合わせの避難所なのは変わりありません。

そして外はうるさいくらいの大雨と強風。

確実に緩んでいる地盤は大丈夫なのか。
亀裂の入っているあちこちの道路はそのままの状態を朝も保ってくれているのか。

あそこの傾いている家は傾いたまま在ってくれるのか。
こんな感じで気にし出したらキリがないくらい出てきます。

今は「これを書き出した矢先に消灯になったさらに矢先に揺れた」というなんともなタイミングだったから、こうやって周りが読んだらちょっと不安を煽ってしまうようなことを珍しく並べていますが、こんなのは初日からずっとあるデフォルトの環境で、そんなもの一個一個気にしてたらキリないっすってことで「命あるだけでマジで幸せ」という一言で余計な感情を全て片付けています。

そして各部屋が消灯している中、カタカタ音が迷惑かと思いトイレ付近の廊下の片隅でパソコンを開いている僕のフォルムは、側から見たら『エヴァの碇ゲンドウ』そのものだろうなという謎の俯瞰目線も合わせて本題に入ろうと思います(前置き長くなっちゃいましたすいませんもうちょっと頑張って読んで)。

というわけで昨日、各種SNSでこんなポストをしました。


まずこのポスト、我ながらむちゃくちゃカッコいいこと書いてる気がするので、把握されてない方は全員読みに行ってください。

そして今朝の地元紙朝刊(北國新聞)にも取り上げていただきました。
(これは"たまたま"記者の方が同タイミングで取材に来られていたため)



どこのメディアをつけても震災関連は暗くて重くて辛い辛い発信ばかりです(もちろんその啓蒙はとってもとっても大切なんですけども)。

そんな中、こんな記事があってもいいじゃない?って感じで明るいニュースをしっかりと発信してくださった北國新聞さんには改めて感謝いたします。

暗いニュースばかりがひしめく中で、被災地からせめてもの明るいニュースをほんの少し地元に届けることができたという自負もあります。

で、昨日どなたかがインスタのストーリーズで「被災地のピアニスト」という文字を添えてシェアしてくださっていました。

「海の上のピアニスト」や「戦場のピアニスト」の両方の作品を観てきた僕としてはこの「被災地のピアニスト」という肩書きがカッコよすぎて、完全にいただこうと思いました。

どうも、被災地のピアニストです。

被災地(に赴いた)ピアニストではなくて被災地のピアニストというのがポイントです。


でね。
その肩書きを(勝手に)いただいた時に思ったんです。

今までも震災でお亡くなりになった方の中に「ピアノ弾き」ってたくさんたくさん居たんだろうなと。

東日本大震災もそう。
阪神大震災もそう。

もちろん今回の震災もそう。
(なんか名前付いてたね?現地民からしたらマジで命名とかどうでもいいよ)

地震に限らず水害や台風もそう。他の天災もそう。

「被災」というものをされた中でピアノが大好きで弾きまくってた半ばで亡くなられた方ってたくさんいらっしゃるんだと思います。

僕が「被災地のピアニスト」なんて昨日呼んでいただけたのは、被災した上で命カラガラ逃げ出して今ここに存在しているからこそなんです。

あの数秒の判断の世界で生き延びたからこそなんです。
だから昨日も避難所でピアノが弾けたんです。
命があって腕があって指があるんです。

これは綺麗事でもなんでもなくリアルに、本当にリアルにそこに直面したからこそ、そして事あるごとにあの瞬間がフラッシュバックするからこそ何度だって何年だって言い続けてやるっていう言葉です。

昨日の音楽室コンサートから一夜明けて今日ずっと(相変わらずばあちゃんの世話しながら)思っていたことです。

昨日の僕のライブを観てくださった方々と避難所で顔を合わせるたびに「最高でした」とか「ありがとうございました」とか「次はあれ聴きたいです!」とか、たくさんお声がけいただきました。

昨日は客席で涙を流されてる方が今日は満面の笑みでそう言ってくださいました。

ちなみに昨日はグランドピアノフルオープンの生音で、客席はオールシッティング、全席自由、撮影オッケー、椅子は小学生の椅子(最高でしょ!)。

昨日までの4日間の全ての時間を踏まえて思います。

今まで数えきれない数のライブをしてきました。
その中で数えきれない涙を目にしてきました。
そして数えきれない笑顔を浴びてきました。
たくさんの「ありがとうございました」をもらってきました。

今までがどうこうという話ではありません。
相対的な話ではまったくありません。
(さすがに分かってもらえると思いますけど)


こんな気持ちになれるライブ。
一体どれだけのピアノ弾きが経験できるんでしょう。

僕は本当に被災者なのでしょうか。
…それは間違いなく被災者です。

僕は本当に避難所民なのでしょうか。
…それも間違いなくそうです。ずっと避難所暮らししてます。

じゃあ僕は辛いんでしょうか?
大変なんでしょうか?
あれがしんどいこれが苦しいと嘆く側なんでしょうか?

そんなのは昨日の笑顔と涙とありがとうへの完全なる冒涜です。

昨日もポストで書きましたけど…

毎日辛くて辛くてたまらなくてギリギリの中、うっとおしいくらい襲ってくる余震にいちいち心をかき乱され続けて、完全に疲弊した環境にいる人たちが、間違いなく昨日の僕の演奏中だけは余震のことも衣食住が不自由であることも忘れて、ピアノの音に没頭していたんです。

そして最高の笑顔と涙とありがとうをくれたんです。

そんなもの頂いていて、誰が何が大変だ?何がそんなにしんどい?

僕も同じく避難所民。
(だからどうした?)

風呂5日入ってない。
(だからどうした?)

パンツ5日連続履いてる。
(だからどうした?)

今日、カレーの写真と共に「排泄物」って言葉書いちゃった。
(それはごめんなさい)

そんな感じで毎時毎分、気味が悪いくらいの速度で僕はエンタメ屋として避難所でマッチョになっています。

すいません書きながらなんだか熱くなっちゃってちょっと時間が際どくなってきました。強引に結ぼうと思います。

まあそんな感じで連日連夜、すべての状況をエンタメ光合成しております。

5日風呂入ってなくてパンツ5日履き変えてない状態で音楽室で新年初ライブしたミュージシャンが世の中に他に居るなら出てきてみろ!笑
(居たらごめんなさい)

なんかちょっと暑苦しいですね。すいません。

これでも聴いて落ち着いてください。


で、このピアノいいじゃねえかと思ったら絶賛チケット発売中なので買ってください。


以上、今日も元気いっぱいに被災地からでした。



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