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極度の“金沢コンプレックス”の解は高校野球にありました

「……いや知らんがな」

っていう話になること請け合いですが、けっこうおもしろいと思うので頑張って読んでください。むしろこういう時こそ文才とかいうやつが試されるんですか? どんとこい。


僕の事をよく知る方は割とご存知な話かもしれませんが、僕は「金沢出身」とか「金沢が地元」とか言われる度に、「え...そんな?」っていう熱量で全否定し続けてきた人間です。

また「この前仕事で西村さんの地元行きました」とか「旅行でむぅの故郷行ってきたよ〜」みたいな雑談ベースのフリがあっても「いや、どうせ金沢でしょ?地元じゃないから」とものすごく冷淡に返したりもしてきました。

お相手はなんの気なしに良かれと思ってお話ししてくれたにも関わらず、「なんかごめん」ってなるけっこうマジのトーンで。
※実にめんどくさかったと思いますすいません

最初に前提条件として断っておくと、そもそも金沢という町は大好きですし金沢の人たちも好きです。
(最近は金沢の愉快な仲間も随分と増えました)

で、日本という広い解釈でいくと例えば大阪や東京で金沢出身の人と巡り合うと普通に「おー!僕も石川です!仲間!」って感じでテンションは上がります。

なので変に誤解はされたくないのでまずそこは大前提として抑えていただきつつ…しかし僕のパーソナルを金沢とごっちゃにされるのは実に許し難いのは事実のようです。感情として。

似たような話で言うと、例えば神奈川のどこかの出身の方が横浜と言われるとか、福岡のどこかの出身の方が博多と言われるとか…

あとはちょっとテイストは違いますが、例えば“やまさき”さんが“やまざき”と呼ばれるとか?

何かしらそういう間違い(?)に対して当事者がやんわり否定するってことはあると思うんですが、あくまでそれはやんわりで人によっては普通にスルーする部分もあるかもしれません。

自覚してますが一般的な熱量の何倍も「いや全然違うから!」と熱くなってしまうのは事実。

で、自分を俯瞰的に見て「気持ちは分かるけども、それにしてもなんでそこまでムキになり続けるんだい?」っていう自問をした時に、その答えがようやく自認できたのはつい数週間前の事であります。
何の因果か金沢の町で金沢の人たちと話してて(@トラモント)。


突然ですが夏の高校野球のシーズンが始まっております。

甲子園開幕はまだもうちょっと先ですが全国各地で既に予選は始まっていて、我が石川県も順当な感じでトーナメントが進んでいるようです。
(この“順当”というところがミソです)

僕は子供の頃から夏の高校野球が本当に大好きで。

いやそもそも夏の高校野球っていうカルチャーは風物詩的にだいたい皆さん好きだと思うんですが、本当にものすごく熱心に好きだったんです。
小学校入ったばかりくらいからずっと好きでした。

県予選は石川ローカルでテレビで全試合放送してくれていたので、自分でトーナメント表に線を引きながら(新聞の折り込みに入ってた)、めちゃくちゃ熱心に観てた少年でした。

そんな中、あるタイミングで「実は能登から一度も甲子園に出場した高校が出たことない」って事実を知ります。親の教育です(父だったかな)。

で、歴史を紐解けば決まって石川県代表で出場するのは星稜高校(松井秀喜の母校です)もしくは金沢高校。
本当にこの2校が毎年交互で出るってレベルでずっとこの2校。
※ちなみに星稜高校も金沢市

で、県予選ベスト4とかに残るのもだいたい「金沢○○高校」みたいな感じで、とにもかくにも能登地方の高校は毎年早々と姿を消して金沢の高校にトーナメントは侵食されるのです。

まあそれはそうなんです。
そもそも人口から環境から全然違いますし、やっぱり中学で有望だった選手は金沢の高校に進学するんでしょうから(これは野球に限らず)。

あ、ちなみに昨今はそれなりに出場校も多様化して、何だったら能登からも甲子園に出る高校が現れたりなんかしてるので、あくまで僕の少年時代の話。

そんなわけでいつからか毎年夏の県予選が開幕すると「今年こそ能登から!」みたいな気持ちがどうしても湧くわけですね。ファンとして。
(それは親も同じ熱量だった気がする)

なのですがやっぱり来る年来る年、次から次と金沢の高校に簡単にボコられて、毎年毎年早々と能登勢は無惨に散っていくわけであります。

ベスト8くらいまで残ったらばもう大健闘で(まあだいたい能登勢同士のブロックから上がってきたりしてるんですが)、基本は3回戦くらいで皆さんお疲れ様なのです(ちなみに参加校は毎年50校くらい)。

そんな苦渋(勝手にね)の小学生の夏を毎年過ごしたのですが、忘れもしません中学1年の夏。なんと『七尾高校』がベスト4に進出したんであります。

能登どころか我が七尾の高校が。これはすごい。
ベスト4。あと2つ。悲願の能登から甲子園出場。しかも七尾。
金沢の高校をバッタバッタとなぎ倒して準決勝まで進んだんです。
ハッキリ覚えてます。これはイケるんじゃないか。七高いける!

食い入るように準決勝の試合をテレビの前で待ち構えました。
(この辺りの変な記憶力は一級品です)

相手は金沢高校です。
結果、10何点とか取られてボッコボコにやられました。
西村少年は膝から崩れ落ちました。
多少荒れた気もします(子どもの頃の話です許して)。

非常に落胆しましたし、果たして次にこんなチャンスが巡ってくるのはいつなんだろうかと遠い目をしてた記憶もあります(ちょっと演出がかってます)。

しかしそんな絶望とは裏腹にすぐ翌年に時が来ます。

明けた中2の夏。
七尾工業っていう高校が県予選の決勝まで行ったのです。

決勝!
あとひとつ!
悲願の!

なんと僕はその試合を金沢にある県立球場まで観戦に行きました。
片道1時間半ほどかけて。親父と。
※書きながらどんどん思い出してきた

その時点で父子共にいかに能登から(しかも七尾の高校)甲子園出場というのが悲願か…というのが伝わるかと思います。

決勝の相手は…金沢高校でした。

負けました。
目の前で金沢という厚い厚い壁に七尾の高校がおもいっきり弾き返された様を見ました。

多分ここです。

「金沢のほう」とか「地元が金沢で」とか言われると「いや違うから!七尾やから!一緒にしないで!」って瞬間的に熱くなる原体験は多分ここです。否、間違いなくここです。

あの2年連続の悔しさをずっとこじらせているのです。

冒頭申しましたが、自分で書いてても心の底から「知らんがな」って話で、相手からしたらとばっちりもいいところです。

が、めちゃくちゃ自分に都合よくいい感じに解釈すると、そういう子供の頃の原体験を未だにちゃんと感情として持ち続けているっていう(善くも悪しくもの)子供っぽさは、エンタメをやる人間にとっては大切な感情なのかもしれませんね。

かなり無理があるまとめなのは自覚しています。

まあそんな事いいながら甲子園になったら全力で星稜や金沢を応援してたりもしました(それが人間ってもので)。

先日、トラモントで飲んでる時にモントくん達との会話の中で自認したお話。ちょっと書いてみようと思って書いてみました。
変な話にお時間取らせてしまってすいません。

書きながらいろいろ思い出したのでちょっとした余談ですが…

七尾工-金沢の県予選決勝を球場まで観に行った時に、試合が終了して選手の皆さんが整列とかしてる時に、悔しさのあまりおもいっきり不貞腐れてる僕に対して「しっかり最後まで頑張った選手たちに拍手くらいしてやらんかい」と父に怒られた記憶があります。

いい教育だと思います。

そんなわけで今年も高校球児たちの熱戦に期待したいと思います。



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