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ステージにおけるPAさんという存在

普段僕が主戦場にしているライブハウスやコンサートホール、ミュージカルやお芝居等の小屋などのステージ(舞台)を作るうえで『裏方さん』という存在は欠かせません。

それこそミュージカル「えんとつ町のプペル」大阪公演で、今超絶話題沸騰中の"プロデューサー"という存在や、企画・運営チームの皆さまや舞台監督、美術、照明、ミュージカルで言えば演出チームや振付チーム等々、、、挙げればキリが無さすぎますが『裏方さん』と呼ばれるポジションの方々はたくさん居ます。

むちゃくちゃ雑に区分けすると、ひとつの公演に対して板の上(ステージ)に立ってお客さんの目に入る演者かそれ以外かという感じでしょう。

その中で僕のようなミュージシャンの立場として断トツで直接的に関わってくる裏方さんが『音響さん』です(通称PAさん)。

PAさんという存在にまったく知見がない方向けに役割を超絶端的に説明しますと…

僕らバンドの楽器ひとつひとつの音やボーカルのマイクに乗る声、ミュージカルで言えば役者さんのセリフ等の"音質"をみなさんが心地よく聴けるように「いい感じ」にする。

そしてその音質を整えたひとつひとつの音が基本的には同時多発的にステージのスピーカーから鳴るわけですから、それらの音量バランスをこれまたみなさんが心地よく聴けるように「いい感じ」にする。

そんなところです。

ひと言で「いい感じ」と書いてますが、その「いい感じ」を突き詰めるためにとんでもない量の作業と、深い深い知識と技術と経験、そして耳の良さが必要なお仕事です。(あとは重たいものを運び続ける体力)

客席の皆さまに「いい感じ」に聴いてもらうためだけでなく、僕ら演者がストレスなく演奏するためのモニターを作ることも担っています。
(いわゆる中音というやつです)

客席に出ている音量バランスとは別で、ミュージシャンは一人一人が自分好みのバランスで聴きながら演奏しています。
(よく一人一人の足元んスピーカー置いてたり、イヤホン付けてたりしますよね)

なので僕たちミュージシャンはこれでもかというくらい注文をつけます。

「自分の音があんまり聴こえないからもっと上げてくれ」

「ドラムがちょっとうるさいから下げてくれ」

「歌も少し上げてくれ」

「歌上げてくれってお願いしたんですけど上がりました?」

「ごめんなさい上げてくれって言ったけどやっぱり下げて」

….などなど

基本『言われっぱなし』のお仕事であります。
(本当にお疲れ様です)

僕が今連日勤しんでいるミュージカル「えんとつ町のプペル」大阪公演にも当然PAさんが居ます。

木下さんという方(写真参照)。

僕らバンドの楽器の音も当然ながら、キャスト陣全員の声も調整しつつ、お芝居中の効果音(爆破音とか環境音とか)も出す役割がございます。
※さすがに一人では無理ということでアシスタントの方々を連れてこられてます

例に漏れず当然今回の稽古場でもあれこれ注文を受けております。

これが大きいとか小さいとかこの効果音がちょっと遅いとか早いとか。
(わがままとかじゃなくて仕事の役割としてはごくごく普通の会話ですのであしからず!)

役者陣や僕たちバンドと同じように連日、稽古場に入ってあれこれ頑張ってくださっています。

しかしながらどうしてもお客さん目線で見た時に板の上に立ってる人間がクローズアップされるのは当然のことで(てかそれでいいんですけど)、なかなかPAさんが脚光を浴びることはないかと思います。

ライブや舞台のクレジットにせよDVD等の作品にせよ、音響○○○○とささやかに記載されてるのみなので。

しかしながら客席の皆さんがその場で浴びる音は、役者の皆さんが発してる声や僕たちミュージシャンの演奏をPAさんがその技術とシステムでしっかり皆さんに「いい感じに」伝達してくださってるからこそ浴びれる音であります。

PAという言葉は『パブリックアドレス(=公衆伝達)』の略。

読んで字の如くなのです。

別に行動を押し売る気持ちはさらさらないんですが、もし「いい音だったなあ…」という感覚があった時に帰り際にPAさんを見かけたら…

「音、最高でした!」とひと言さしあげてください。
(後ろのほうに居ると思いますから)

僕ら演者が「最高でした」と言われるのも嬉しいんですが、僕はその瞬間瞬間、共にステージを彩ってくれてるPAさんや照明さんのポジションの方がお客さんにそう言われてるとものすごく幸せな気持ちになります。

ただ、僕の経験則ですけどPAさんって照れ屋な方が多い気がするので、もしかしたら「音最高でした!」とか声かけても塩対応かもしれません。

でもどうかお気になさらないでください。

ただただ照れてるだけで内心はめちゃくちゃ喜んでると思うし、報われる瞬間だと思います(木下さんなんか絶対に照れながら喜ぶと思う)。

僕の中で同じポジションに「照明さん」もいらっしゃるんですが、今回は音で直接的に関わるPAさんにスポットを当ててみました。

あとは個人的に「最高でした!」ってお客さんに言われて木下さんがどんなリアクションするのかちょっと見てみたいだけです。

おそらく皆さん普段からいろんなところに公演を見に行かれると思うんですが、「音良かったなあ〜」と思った時にふと今日の記事を思い出して、その公演のPAさんに「最高でした」とひと声かけるような風潮が生まれたら、僕みたいな『裏方フェチ』からしたらとても幸せだなあという言葉を結びとさせていただきます。
(押し売りじゃないんでくれぐれも)

木下さん(ならびにチーム木下の皆さん)、一緒に頑張りましょう。

ではまた。


[P.S.]

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