稽古場での最後の通しを西野さんの前でやってみて...
今月の頭(1日)からミュージカル『えんとつ町のプペル』大阪公演の本稽古が始まったわけですが、早いもので全員での稽古場での稽古は昨日が最終日でした(あとは小屋入りしてから)。
でもって昨日は2回通しだったわけですが、2回目の(すなわち稽古場での最後の)通しにキングコングの西野亮廣さんが突然現れました。
※この日来られるということを知らなかったです
ご存知、『えんとつ町のプペル』という作品の原作者。
全ての生みの親です。
『えんとつ町のプペル』ならびに『えんとつ町』の世界観を全て知っている人です。(当然ですが)
いつも稽古場では正面から見える角度のゾーン(客席目線)に椅子が並べられていて、演出家・演出助手・監修・振付師・音楽監督といった方々があれこれメモをとったり身振り手振りで都度都度チェックを入れながら稽古を見られてるわけですが…
昨日の2回目はそのど真ん中にぽつんと椅子が置かれました。
西野さんの席です。
バンドの定位置(横)から見てて、まるで一人のお客さんに向けて公演を行ってるような雰囲気でした。
そしてそこに座ってるのが『生みの親』の西野さんです。
そんなすごい空気の中、2回目の通しが始まります。
さて、これから書くことは全て僕の独断と偏見です。
全てのキャストさんと答え合わせをしたりしたわけではないので、本当にただの僕の雑感としてお受け取りください。
緊張とか気負いというよりも
昨日は2回通したわけですから、当然1回目の通しと2回目の通しの対比が生まれます。
1回目に比べて2回目はどうだったとかああだったとか。
結論から言いますと1回目の何倍も何十倍も2回目の通しのほうが全員の熱量、エネルギーのパワーが半端なかったです。
(むしろ西野さん来てるんだしさすがにそうじゃないとダメでしょうけど)
やはり真正面に西野さんがいるわけですから、当然いろんな感情が芽生えると思います。
緊張とか不安とか、はたまたプレッシャー。
多分それぞれいろいろあったとは思うんですが僕が横からキャストの皆さんを見てて感じたのは…
「西野さん見ててくれ」みたいな気概めいた空気感でした。
ちょっと乱暴な言い方をすると「見せつける」と言っちゃってもいいかもしれません。
(何度だって言いますが全て僕の妄想の域を出ない偏見ですよ)
というのも、いたるところで話題になってるようにミュージカル『えんとつ町のプペル』大阪公演はとにかくここ10日くらいはクリエイティブ現場よりも運営面の話題に事欠かずで、むしろそっちのニュースばかりが先行してどんどんクリエイティブの影が薄くなっていった印象です。
「ほんとにやれるの?」
「めっちゃピンチじゃん」
「なんでそんなことになってるの?」
「さあここからどうやって逆転するんだろう」
みたいなスキャンダラスな外野の声ばかりが膨張して、大阪公演が成功するかどうかの矢印はどんどんそちらに傾いていき、稽古場で日々積み重ねているクリエイティブは決して話題のど真ん中ではありませんでした。
ただ実際にそういうピンチが襲ってきたからこそチケットの売れ行きが改めて伸びた側面もあるし、西野さんやセトちゃん(東京公演のプロデューサー)がガッツリ協力体制モードに入ってくださったのもそのピンチのおかげといえばおかげなので、塞翁が馬とは本当にこういうことだわなと思う日々です。
とはいえみんな人ですから、そういうゴタゴタに気持ちを乱されたり持っていかれそうになったりした人も多々居たと思います。
しかしクリエイティブ現場は気持ちを乱されそうになりながらも「とにかく自分たちは公演の中身を最高のものにするんだ」という気持ちひとつで稽古に稽古を重ねてきました。
その自負は全員にあります。
これは偏見とか妄想とかじゃなく絶対的に断言できます。
そこで西野さんが昨日の最後の通しに現れた。
西野さんも大阪公演のコアメンバーから共有される稽古動画を日頃から見てくれてて、SNSにアップしてアナウンスもしてくれてたりしたので、当然現場の熱量はご存知なんですが…
でもやっぱり「画面越し」と「生」では全然違うのも当然なわけで。
(コロナ禍で配信が増えたことでお客さん目線でもかなり実感してると思います)
いろんなゴタゴタがずっと話題になって、なんだったら西野さんが「そういうのを隠すのはよくない」っていうことで窮状を率先してアナウンスしてくれて、だからこそ応援しようっていうエールがプペルフォロワーさん達に届いてチケットがまた伸びて。
予算がどうしても払えそうにない部分を個人(ならびに会社)で補てんしてくれたり本当に八面六臂の神様っぷりで、本当に大感謝大感謝なわけですが。
ただ…
いろいろゴタゴタしてる中、西野さんがピンチを救うためにいろいろ動いてくださってる間、自分たちも自分たちでしっかりクリエイティブに専念して稽古に稽古を重ねてずっとやってきたんだ。
どうか見ててくれ。
みたいなスポ根感に満ち溢れたパワーを全員から感じたのが2回目の通しです。(当然僕の演奏も)
あれはクオリティだとか技術だとかそんなものは全然関係なくて…
ここまでいろんなことを我慢しながら全員で稽古を重ねてきて、稽古場での最後の最後の通しを『産みの親』である西野さんに見てもらえる。
「自分たちはやれることを全てやってきたんだ」という意地のかたまりのような1時間半だったと思います。
それは一人で真正面から観覧してた西野さんにダイレクトにぶち刺さったと思います。
そりゃあ西野さんは日本で誰よりもエンタメに時間を割いてる方ですから、クリエイティブ脳では「ここはこういうのもあるんじゃないか」とか「自分が演出するなら…」とかいろいろあったとは思うんですが、そんなことよりもなによりもまずは「自分たちはずっとやってきたんだ」っていう意地とプライドみたいなものを全員でぶつけまくって、一旦それに打たれてくれた…ような気がしています。
横から見てたからなおさらそう映ったのかもしれません。
(僕も一生懸命演奏しましたよ!)
稽古場での全体稽古としては最高の形で終えることができたと僕は思っています。
最終日前日がセトちゃん、そして最終日に西野さん。
なにこのRPGのボス戦感。
間違いなく大阪プペルチームはこの一ヶ月で半端なく強くなったと思います。
しかし…
僕らはセトちゃんや西野さんのためにクリエイティブを積み重ねているわけじゃありません。
日本のそして世界のミュージカルファン、ミュージカルを知らない人、子供たち等々、大阪公演を通じてエンタメを届ける先は間違いなくそういった方々に向けてなので、まだまだ貪欲にまいります。
ここから小屋入りしてどこまでラストスパートをかけれるのか。
当事者としてもとってもワクワクしています。
西野さんが昨日ぽろっと「甲子園感がすごい」って言ってました。
本当にそんな感じです。
泣いても笑ってもあと5日後には幕が開きます。
引き続き頑張りたいと思います。
ではまた。
[P.S.]
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