逆転の発想で「○○だから良かった」と思えたことをまとめておきます
「知っている人の現地からのリアルな発信だから、SNSで錯綜する情報よりよっぽど信憑性がある」
「そうやっていろいろ発信してくれることで、今まで気にかけてなかったようなことに気付ける」
「こちらから見てたら考えもしなかった視点をもらえる」
…
みたいな事をとにかくいろんな方に日々レスポンスいただき続けてきました。
もちろん自分もこの立場になったからこそ気付けた部分が多々ありますし、そもそもネガティブなところに目をやってても本当にしょうがないからとにもかくにも逆転の発想を反射神経的に巡らせ続けるこの1ヶ月弱でした。
(まだまだその観点は続きますけど)
ですので今日は改めて総ざらいしようと思い立ったのでいろいろまとめてみたいと思います。今まで日々小出し小出しにしてきたいろんなポジティブ要素のまとめ回として読んでいただければと思います。
日本に住んでいる以上、常に「明日は我が身」が付き纏ってきますし、そもそも震災どうこうに限らず日頃からの物の考え方にも転用できる側面もあるかもしれません。
誰かしらの何かしらに少しでもお役に立てればということで。
(多分転用できないことも多々あると思いますが何卒)
まず「震災が正月で良かった」という部分。
その話を書く前に大前提として…
本当に居た堪れない事実ですが今回お亡くなりになられた方々、そして今なお安否不明の方々の中には「正月だったせいで」という方も多々おられます(そういうのは地元ニュースでよく流れるので)。
物事には逆の側面も存在はするので、正月じゃなければ…というご家族ももちろんたくさん存在している事は重々承知のうえで、あくまでも僕に関して(そして僕の目の届く範囲に関して)の話として書くということはご承知いただければと思います。
どうかくれぐれもその前提を踏まえたうえで読み進めていただきたいんですが…
「正月なのに大変」とか「正月から本当に気の毒」みたいに心配してくださった声はそれなりにいただいたんですが、決まって僕は「いや、むしろ元日で本当に良かった」と繰り返してきました。
まずやはり帰省していたという事実。
もう何度も何度も聞いてきた方もいらっしゃるかと思いますが、何度でも痛感しますが「本当に僕が居るタイミングで良かった」と未だにずっと思います。
基本的に年に数日しか実家には滞在しないわけですが、1月1日に関してはほぼほぼ100%近く毎年実家に居ます。
「あんたが帰ってきてなかったらどうなってたか…」とこの時期になってもまだ言われるわけで、本当にそこはもう「正月で良かった」と何度でも思うわけで、とどのつまり「運が良かった」の一言です。
(程度の違いはあれど帰省組が居て助かった世帯は本当に多々おられると思います)
で、ちょっとだけ範囲を広げますと、七尾市街地で一階が丸ごとぺしゃんこになっている家屋はそれなりにあって、その中には普段からお客さん(観光客含)で賑わっているお店も存在します。
都心部っていうのは元日から早速張り切って初売りなんかを開始しているイメージなんですが、こちらの人間は店舗をやっていようが元日はきっちり休みます。
初売りはいくら早くても2日以降のイメージです。
(元日から開いてるのはパチンコ屋くらいかも)
なので、「一瞬で上から潰れたんだろうな」と目に見えて分かる店舗はそのタイミングで無人だったことになるわけで、そのおかげで最悪の事態を免れた方は多々いらっしゃると思います。
なんせ16時10分です(この数字一生忘れないわ)。
時間的にも普通に営業なんてしてようものなら従業員さんもお客さんも丸ごと…という想像は容易につきます。
店舗がしっかり休んでいる元日だからこそ免れた事態。
ここも正月で良かったと思える部分。
「正月から本当に大変ですね」
「いやいやむしろ正月で本当に良かったですよ!」
そうやって本当に思う部分であります。
あと「冬の寒い時期に大変」という声も一定数あったんですが、これもまた「寒い時期で本当に良かった」と思えることが多々あります。
まず水がずっと止まっているのでお風呂に入れないしトイレもはっきり言って不衛生です。
これがもし夏だったらと思うと、まずシンプルに汗をかく。
バケツでの水汲みや物資の運び込みなんかが連日連夜ある中で、どう考えても常に汗だくになります。
そこにきてお風呂に入れない。
こんな地獄はありません。
しっかり寒かったからこそ「ちょっと体があったまる」くらいのことがあっても汗をかくには到底至らないので、お風呂入れなくてもまだなんとなかったというのはあります。
そして虫が居ない。
田舎の夏のなんて本当に虫のオンパレードなわけで、その環境であのトイレの状況だったらどうなってただろうかと想像すると気味が悪くてしょうがありません。
もちろん寒いのもつらいですしご高齢の方の低体温症みたいな問題も出てくるんですが、それで言うと夏は夏で熱中症の問題も出てくるわけですから、やっぱり虫が居ないっていうのは細かい部分ですけどめちゃくちゃ大きかったかなと。
あと自宅の事に関してもなんですが…
冷蔵庫が倒れちゃって中身がおもいっきり床に散乱しちゃってたんですが、そもそも暖房がついてなくて人がずっと居ないまま放置されてる家の中ってのも基本寒いわけで、ある程度時間が経っておそるおそる片付けに行った時に、そりゃあ悲惨ではあったものの夏だったらあれもこれも全部その場で腐りまくって放置している間の異臭がシャレにならなかっただろうし、それこそ得体の知れない虫も湧きまくっていたでしょうよ(書いてて気持ち悪くなってきた)。
そんなことを考えれば考えるほど「寒い冬で本当に良かった」と心底思うようになりました。
そして「自分が避難所に居て良かった」という観点。
やはりこれだけの震災ですから、連日多方面からメディアの方々は取材に来られます。
そこでどうしても避難所運営側が考えるのは「避難者のプライバシーや心身の疲弊」の問題。
「全然身分晒しますよ!」と前のめりな人や「メディア慣れっこなんでカメラ向けられても何の戸惑いもないっすよ!」みたいな人は多分あんまり居ません。
むしろ疲れが増す可能性のほうが高いでしょう。
なので基本的には避難所運営の方が矢面にたって取材対応をするわけですが、やはり伝えたい側としては避難者の声や様子も抑えたいところ。
(抑えるっていう感覚がもう職業病ですね)
実際に避難者のリアルな声というのは現状をメディア越しに全国に伝える最強のツールだと思うので。
そんな中、たまたま避難者の中にオールOKの人間(僕です)が居た。
顔出しOK、フルネームOK、メディアの方々の気持ちも分かるし段取りも把握している(映像撮る時のバックの絵がけっこう大事とか)。
なので避難所に記者と思わしき方が来られた時は割と前のめりで「僕なんでもOKなんであれやったら僕に全部聞いてください」と率先して前に出ました(結果いろんなメディアに掲載していただく流れにも繋がりました)。
それによって避難者目線のリアルをしっかりスポークスマン的に伝え続けることもできたわけで、やっぱり「自分が避難してて良かった」と本当に思います。
被災して良かったとまではさすがに思いませんけどもね。
でも一緒に被災したからこそこういうバイタリティが発揮できたという部分はあります。
細かいことを挙げ出したらまだまだあるんですが、ちょっと長くなってきたので一旦これくらいで切っておきますが…
ふと思い出した話。
昔、仕事で絵を描いている知人から「足を骨折した」っていうポストがSNSで上がってきて、やはり皆さん「大丈夫ですか!」とか「心配!」とか「お大事に!」みたいな声で溢れるわけですけども…
僕は開口一番「良かったね!手だったら絵を描けなくなってたから足で良かったね!良かったやん!!」と、心配するどろこか、もはや嬉々としてる感すらあるテンションのリプライをむちゃくちゃ素直に送ったことがあるんですが、今回も自分の状況に関してはずっとそんな感じでした。
前述してきたことも全部その発想ですし、なんだったら憔悴して避難所生活の現状を嘆きがちな家族に対しても「いやむしろこうやってずっと連日連夜、家族で揃って過ごすなんて時間はもう20年以上もなかったんだからいい時間もらえたじゃん」とか言ってたくらい。
「いやいやそんなとてつもないポジティブな人ならそれでいいだろうけど」って思われる方が居たらこれはもう心外も心外で(もし居たらね)、そうじゃなくて「いやネガティブなのは大前提な上で、それでもどんな状況であれ発想の最善手は必ずあるものなので、そっちを探したほうがよくないっすか?」っていう話でございます。
この辺りは将棋脳です。
(はっきりと自分がピンチ、劣勢だと分かっててもそれを一旦受け入れてなお最善手をひたすら探すのです)
まあ輪をかけて「だからそれができないんだ」と言われたらもう「そうっすか」で終わる話ではありますが。
(そういう人はガチで将棋やったらいいよ)
そんなわけで経験則として一旦まとめてみました。
誰かの何かに一役買えればこれまた僕も「良い経験をした」ということになるので。
以上です。
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