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会社の人に自分の活動がバレた話

わたしは去年まで新卒で入った会社で働いていた。

これは勤務して数年が経った頃の話、ある事によりわたしの活動が会社の人にバレることになる。

元々入社してすぐに映画の出演が決まり、ごく一部の上司には事情(芸能の仕事をしていること)を話し有休をもらって撮影に行っていた。
実際のところ映画に出ることは伏せてもらっていたので、それ以降は社内に知られることなく平穏に過ごしていた。

このような経緯の中、1年ほど過ぎたある日。

その日は、わたしが朝いつものようにオフィスが入っているビルのエレベーターに乗り込んだ時だった。
わたしの後から同じ会社の男性もギリギリで入ってきた。
エレベーターの中は二人きり。

素っ気ない会釈をして5階まで上がるのを待っていた。

古いビルのエレベーターはどうして妙にスピードが遅く感じられるのだろう。早く着かないかと思っていた矢先、

「あの、西村さんって何かやってます?」

ぽつりと、急に男性に話しかけられた。
その人と今まで一度も話したことがなかったこともあり、わたしは一瞬血の気が引いて硬直した。

とぼけて「え?」と聞き返した。
何か、なにかってなんだよ。

「いや西村さんネットに載ってて・・・なんか新聞の」

はい?

心当たりはあった。

わたしが初めてサバイバルと呼ばれるオーディション形式の企画に参加したときのものだった。
某新聞社が主催で、その年のクイーンを決めるというもの。

なぜ知っているのか。見たというのはどのサイトなのか。

当時のわたしは自分の「別の顔」に気づいてほしくなかった。
彼も興味本位で悪気はないのだろう。
それでも、わざわざ確認されたことが不快に感じられた。

そんなことで怒るの?と思われるかもしれない。

しかし考えて欲しい。

まだ彼がわたしと同世代で、
尚且つ同性で、
トイレで化粧直しでもしているシチュエーションなら、

そこでの話だったら違ったかもしれない。

彼は異性(しかも結構年上)で、
媒体を見たのならこちらが裸に近い格好で戦場に出ているのは周知のことだろう。

下卑た笑みに見えた気がして、ヤキモキした。

その場は
「ああ、ちょっとたまにメディアの仕事してて・・・」
と濁したが、

続け様に
「え?タレントみたいな?」と聞かれることになる。

わたしはエレベーターが着いたタイミングで逃げるように足早に去った。


その日は、一日中ドキドキしていた。
ドキドキとイライラが混在して怒りすら湧いていた。

怒りを鎮める為に一旦彼の立場で考えてみた。
もう、知りたくてしょうがなかったのだろうな。
当時20代半ばの同じ職場の社員が、まさかグラビアをやっているなんて。

だけどだ。

しかしそれまで一度も話したことがない関係性なのに、
密室の、エレベーターの中で問い詰めるなんてイケてない。

今のわたし(29歳)なら
「そんなに気になります〜??なにもエレベーターで聞かなくたっていいじゃないですか〜〜!!やだあーー!!」(大声)

くらい言ってやったのだが。
25歳のわたしにはそこまで機転は回らなかった。

これを読んでいる人の中には、
同性に聞かれる方が嫌じゃない?
そういう活動してるんだから聞かれても文句言うなよ。

という意見もあるかもしれない。

例えば、
アナタが何か同人活動をしていたとする。
会社員の傍ら普段は秘密裏にやっている活動で、
好きなアニメや漫画の同人を創作していたとしよう。

ちょっとエッチで、ヒロインの女の子を×××する本を作っていたら。
それが思わぬ形で広報に取り上げられてサークルごとバレてしまった。

活動をしているのは事実であり、
情報はいずれバレるものと覚悟していたとしても、だ。

ある日、会社に出社すると見知らぬ女性社員に
「〇〇さんってなんかエロ同人描いてるんですよねー!なんかネットに載ってました!」
と聞かれたらどういう気持ちになるだろう。
自分の意思で活動していたとしても、ヤキモキしないか。

きっと、大切なのは関係性。

彼とは面識がある程度で話したことがないのも大きかった。

率直に言うと、きもいって思ってしまったのだ。
(これを読んでいたらごめんなさい)

もしわたしの活動を知っている先輩や上司に聞かれたり、むしろ「頑張れよ!」と激励されたら受け取る感情は違ったと思う。

何はともあれ、
この一件で自分のことがネットに載っていることを知ってしまうことになる。そうなると、どのような内容で掲載されているのか気になるのが人間の性だろう。

家に帰って検索してみた。

「小学5年生でEカップ!」
「爆乳ボディー」

元記事に紐づいたまとめサイトが出てきた。

わたしがインタビューに答えたことが過剰な見出しで取り上げられている。

広告の世界というものは言葉が命だから、
キャッチーなコピーがつくことは想定していた。

しかし。

「小学5年生でEカップ」

が一人歩きしすぎて釣りのような見出しになっていたのだ。

案の定、
Eカップの小5どこだよ
10年遅い

など書かれまくっていた。

わたしはコレ(まとめサイト)を見られたのか・・・⁉︎
と愕然とした。

ちなみに小5でEカップとは、
確かインタビュアーの人に「いつから胸が大きくなった?」と聞かれて答えたものだ。
小5から急に発育が良くなり母親に強制的にブラを買いに連れ出された。

今ではGカップまで育った。(どうでもいい)

というか、

よくこの記事を読んで本人に問い合わせる気になったな。


率直にわたしが感じた本音である。
まだこの記事だという確証はないが、
トップに現れるのはグラドル殺しのまとめサイトばかりだった。

あれから数年の月日が経ち、今ではわたしはその会社を辞めた。
後にも先にも自分の活動を聞かれたのはあの一回きりだった。

しかし一度自分の活動が知られた以上、
名前さえ覚えていたら何度でも調べられてしまうだろう。

それは少し怖いことかもしれない。

彼に個人的な恨みを買うことはしていないが、
その気になればわたしが勤めていた会社もバラそうと思えば出来てしまうのだ。

やはりこういう活動をしている以上、塩対応は禁物だ。

でもあの日の聞かれ方とシチュエーションはきもかった(すみません)

皆さんの周りにもグラドルや役者の卵、そしてエッチな同人活動をしている人などがいたらそっとしてあげてください。

笑顔で対応されることなんてほぼないでしょう。

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