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ひとりで駆けるネオサイタマの新年:ソロアドベンチャー2021「消えたケモ動物」リプレイ【ニンジャスレイヤーTRPG】

(これまでのあらすじ)発令された緊急ミッションは実際タフなインシデントであった。見慣れぬクローンヤクザが徘徊する不気味な廃工場は、ドゥームゴーストのメンタルを容赦なく削る。判断の遅れから命の危機に瀕するものの、ソウカイヤの兄貴の力添えもあり、彼は間一髪で窮地を脱した。この夜、運命は彼の味方であった。今日はどうだろうか、そして明日は。彼に限ったことではない。ネオサイタマのケオスは貪欲に彼らの命を飲み込まんと待ち構えている。道を切り拓くのはただひとつ、カラテだ。新たな年を迎え、次の年も迎えるために、ネオサイタマの闇を目立たずに駆け抜けろ!ドゥームゴースト!
これは前回記事「ひとりで楽しむネオサイタマの闇:ソロアドベンチャー3リプレイ」の続きです。下記、ニンジャスレイヤー(@NJSLYR)さんの「ニンジャスレイヤーTRPG ソロアドベンチャー「消えたケモ動物」」のシナリオをプレイした、幻覚を含む記録となっています。

深夜、ネオサイタマ、ヤクザ事務所。日課のトレーニングを終え、地下ヤクザジムからの隠し階段を上ってきた男はブラインドの隙間から外を覗き、息を吐く。

「雪か...」降り続ける重金属酸性雨はいつの間にか雪へと変わり、街を煤けた灰色で覆っていた。積雪は大通りのネオンサインを奥ゆかしく反射し、ビビッドな色彩を裏路地の闇に投げかける。彼、ソウカイニンジャであるドゥームゴーストは、首にかけたマイクロファイバー・マフラータオルで手早く汗を拭き取ると、ラフなジャージ姿に着替えて給湯室へと向かった。今日は彼がこの事務所の宿直当番だ。

近所の店からテイクアウトした生ソバをたっぷりの熱湯で茹でながら、彼は今年一年を思い返す。「なんか、凄い一年だったよな...」底辺を這いずり続けたパパラッチ生活、取材中の神秘的アクシデント、ヤクザの襲撃、銃弾、死...。そして、ニンジャ。

神話上の存在、ニンジャとして再び生を受け、ソウカイヤクザの一員となり暗黒社会を跋扈する。このような荒唐無稽は、当然ながら、去年の今頃の彼にはパルプ・フィクションのひとコマでしかなかった。激しく水蒸気を上げる鍋で踊るソバを見つめながら、彼は想いを巡らせた。

いつも大晦日には、奮発してソバを食べる。昔からの変わらぬ習慣だ。かつてのそれは量り売りの激安乾ソバとケモ合成ツユで、余裕があればゲソテンをトッピングする...といった程度のものであったが、彼にとっては年に数度のご馳走だったのだ。

ソバを湯から揚げて水で締める。コシが出て艶めくソバを再び温めなおし、水気を切ってドンブリに盛った。湯気が昇る熱いツユをなみなみとかけ、マグロ・スシ、イカ・スシ、そしてエビテンを2つも乗せ、バイオネギをちらす。ニンジャになり、ヤクザになり、相変わらず下っ端には変わりはないが、彼の生活の質は実際大きくベースアップした。

ビジネスはより深い闇へと染まった。外道と堕ちた彼には、もはや両親の墓参りすらも出来た義理は無いが、それはネオサイタマでは取り立ててめずらしいことでもない。総合的に見て、人生は良い方向に向かっている。彼はそう感じていた。

箸を取り、ソバをすする。カツオとショーユの香ばしさ、そしてソバのかおりが舌と鼻を心地よく刺激する。テンプラを齧り、スシをつまみ、ネギの浮いたツユを飲み込むと、その熱量と塩分が疲れた体に染み渡ってくる。窓の外では盛大な花火が上がり、遠くの空から威勢の良い掛け声が響き渡る。年が明けた。

(今年の末も同じソバが食えるように、堅実にやっていかなきゃな...)ドゥームゴーストは消極的な決意を胸の内で固めながら、残りのソバを勢い良くかき込んだ。

ドゥームゴースト
【カラテ】3
【ニューロン】3
【ワザマエ】4
【ジツ】1(カトン・ジツLv1)
【体力】3
【精神力】3
【脚力】2
【万札】47
【名声】3
【DKK】3
生い立ちスキルは『○下劣なパパラッチ』。
初期装備はトロ粉末。
サイバネはなしだ。

BEEP!BEEP!BEEP!ソファーに腰掛けて休憩をとっていると、デスクトップUNIXが突如、けたたましい呼び出し音を鳴らした。「アーッ、新年早々緊急ミッションか...。さてどんな.... なんだ、コレ?」

「ドーモ、モーターロクメンタイです。いきなり面倒な仕事を押し付けられて、びっくりしましたね」UNIXに接続されていた立方体が起動し、LEDを明滅させながら発声する。モーターロクメンタイ、通称D6、オムラの試作機で、ソウカイヤが試験運用しているナビドロイドだ。「なんなんだ、この、「ケモ動物」ってのは」

「ここ最近、ケモビール社が宣伝のために市街に放し飼いにしている、牛くらいの大きさのバイオ生物で……見たことがない?わかりました。大丈夫です。私がナビしますから、安心してください!」ロクメンタイは流暢に話し続ける。「まずはIRC-NETで情報収集し、ケモビール社からの情報と照合しましょう!居場所がつかめるかもしれませんよ!」

いまいち詳細が掴めないままにUNIXを前にし、ドゥームゴーストは考える。(宣伝のための生物、ってワケなら、当然一般市民の目につきやすい行動をするはず...?こういった流行情報に敏感な女子高生とかのSNSを漁ってみるか...)目星をつけた彼はIRCにログインし、情報収集を始めた。

判定【ニューロン】【能力値3】出目4以上で成功!
【2】【4】【2】 …成功!

予想通り、IRC-SNS上では多数の目撃情報が共有されていた。ケモビール社の情報と突き合わせ、行方不明のケモ動物と同一個体かどうか検証する。「何匹居るのか知らんが、かなり多いな...。座標データからするとこれは別個体か。これも、これも。こいつは...可能性があるか」

座標情報と一致する投稿をピックアップし、時系列で整理する。予測される移動経路を基に消失可能性エリアを探り、ロクメンタイに入力した。数十秒の沈黙の後、計算を終えたロクメンタイが話し始める。

「お疲れ様です!十分な情報でした。このエリア内はある程度把握が進んでいるため、消失地点を割り出すことに成功しました!さっそく向かいましょう。準備は良いですか?」ロクメンタイが促す。ドゥームゴーストは既にニンジャ装束を装備し、武装を整えていた。「よろしく頼む」ニンジャらしい雰囲気を纏った彼は事務所の戸締りを素早く確認し、新年のお祝い気分立ち込めるネオサイタマの街へとその身を躍らせた。


特定した地点は、床面積こそ大きめではあるが、何の変哲もないアパートの一室だった。少し距離を取った建物の屋上から、ドゥームゴーストは様子を確認する。「玄関は普通だが...窓は全部板張りで塞がれているな。雪で分かりづらくはなっているが、いくらか落ちている羽に大型の獣の足跡。ほぼ確定だろう。ロクメンタイ、中の様子は探れるか?」

「熱源が4つありますね。部屋の左奥の一つは大型なので、これがケモ動物でしょう。金属反応が多いので武装しているようですが、ニンジャソウルは検知されません。楽勝ですね」ロクメンタイはアンテナをぐるぐると回しながら答える。「なら正面からアサルトする。扉のロック解除だけやってくれ」ドゥームゴーストは両手にスリケンを握り、しめやかにアパートの前へと進む。ロクメンタイも続いた。

ロクメンタイのマニピュレーターが玄関扉の制御盤へと伸び、ハッキングを行う。パワリオワー! ファンファーレが鳴りロックが解除される!「グッドラック!ご武運を!」ドゥームゴーストは扉を蹴り開け、アパート内に突入!武装アウトローが3人、まだ反応しきれていない!ドゥームゴーストはスリケンを投擲!「イヤーッ!」

攻撃判定【ワザマエ】【能力値4】出目4以上で成功!
【6】【4】【2】【4】 …成功!

スリケンは風切り音を放って飛び、玄関に背を向けて立っていた武装アウトローの後頭部に深く突き刺さる!「アバーッ!」即死!死体を蹴り飛ばして部屋の中央にエントリーし、アイサツする!「ドーモ、ソウカイヤのドゥームゴーストです!」「ダッテメッコラーッ!」武装アウトロー達はヤクザスラングを叫び、ドゥームゴースト目掛けて銃撃!重金属ライフル弾が迫る!ドゥームゴーストは弾道を予測し、身を反らす!「イヤーッ!」

回避判定【ワザマエ】【能力値4】出目4以上で成功!
【6】【1】【2】【1】...成功!

弾丸が届くよりも速くブリッジ姿勢に移行する。重金属弾は空を切り、ドゥームゴーストには当たらない!「イヤーッ!」ドゥームゴーストはバックフリップで距離を取り、再びスリケンを構える!

(残りは2人...武装はバトルライフルと電磁カタナ、それにテッコか。弾は見える。距離があれば脅威ではない...。このまま遠距離戦で仕留める!)「イヤーッ!」スリケンを投げる!

攻撃判定【ワザマエ】【能力値4】出目4以上で成功!
【4】【2】【2】【6】...成功!

スリケンが武装アウトローの喉に当たる!貫通!「アッ、アバーッ!」血を噴いて崩れ落ちる!最後の武装アウトローはもはや恐慌状態だ!「アアーッ!ニンジャ!ニンジャ、ナンデ!?ウワーッ!!」BLAMN!BLAMN!BLAMN!銃口をやたらに振り回して連射する!ドゥームゴーストは冷静に見極める!

回避判定【ワザマエ】【能力値4】出目4以上で成功!
【5】【3】【6】【4】...成功!

最小限の動きで身を屈め、反らす。こぶし一つ分の距離を弾丸が通過する。背後の壁を穿つ音が耳に届く。錯乱して暴れまわるアウトローを狙い、再びスリケンを投擲する!「イヤーッ!」

攻撃判定【ワザマエ】【能力値4】出目4以上で成功!
【2】【3】【3】【4】...成功!

「グワーッ!」スリケンはアウトローの脚にかろうじて当たる!転倒したアウトローに向け、ドゥームゴーストはカイシャクのスリケンを投げた。「イヤーッ!」「アバーッ!」アウトローは動かなくなり、アパートはもとの静寂を取り戻す。ドゥームゴーストは深呼吸し、あらためて部屋を見渡した。

「ケモビール...」部屋の左奥には大型の檻が設置され、アルカイックな微笑みをたたえたキメラ様動物が悲しげな鳴き声をあげていた。「これがケモ動物か...。確かにカワイイが...思っていたよりデカいな。どうやって連れて帰る...?」

檻の鍵は開けたものの、ケモ動物はゆったりと鳴くだけでまるで動こうとしない。つかみどころのない巨体を前にドゥームゴーストが途方に暮れていると、いつの間にか後ろに浮遊していたロクメンタイが声を発した。

「お疲れさまでした!ケモビール社へのミッション報告が終わりましたよ。まもなく回収班が到着するようです。それまで護衛してもらえれば、晴れて任務完了ですよ!」目途がついたことに安心し、ドゥームゴーストは息を吐く。「了解だ。ドーモ」優秀なナビに礼を告げ、気合を入れなおして周囲を警戒する。報告に違わず、すぐに回収班は現れ、慣れた手つきでケモ動物を連れて帰っていった。見送った彼はソウカイネットに簡易報告書をアップロードし、帰路につく。

雪は再び雨へと戻り、ネオサイタマの夜景をいつものように濡らしていた。街には変わらず、新年を祝う人々の熱気が満ち溢れている。ビルの谷間を渡りながら、ドゥームゴーストは思考する。これまでのこと、これからのこと。このお祭り気分も数日で落ち着き、またケオスのネオサイタマへと戻る。今日のようなイージーな日々は続かない。足掻き、闘って、生き残る。命を削る日常がまた始まるのだ。だけど、今日だけは。

脳裏に浮かぶのは、ケモ動物の何とも言えないあの表情。そしてケモビールの、クールで独特の味わい。この時刻であれば、事務所に戻る頃には退勤だ。彼はケモビールが恋しくなり、路地裏に降り立って自販機を探す。ポケットから取り出した、わずかな小銭を手にして。


【ニンジャスレイヤーTRPG ソロアドベンチャー「消えたケモ動物」 終わり】

ソウカイヤからの報酬!
【万札】47→50 (+3)
ドゥームゴースト
【カラテ】3
【ニューロン】3
【ワザマエ】4
【ジツ】1(カトン・ジツLv1)
【体力】3
【精神力】3
【脚力】2
【万札】50
【名声】3
【DKK】3
生い立ちスキルは『○下劣なパパラッチ』。初期装備はトロ粉末。サイバネはなしだ。

ドゥームゴースト=サンの活躍まとめマガジンです!
ひとりで楽しむネオサイタマの闇【ニンジャスレイヤーTRPG】

https://note.com/nishimura_8492/m/m1e49b602c43a


★感謝と感想★

@NJSLYR=サン、新年からソロアドベンチャーをありがとうございます。楽しませていただきました。

タイトル画像は今回もみんなのフォトギャラリーからで、ryokan1123 さんの画像を使わせていただきました。ありがとうございました。

体験版なのにもう2回もトレーニングしたニンジャで行ってもいいのかな?とは思ったのですが、彼のステータスをダイス換算すると3,3,4,4でほんのわずかに運の良いニュービーニンジャぐらいの感じだったので、気にせずに出向いてもらいました。実際実況ヘッズ諸氏の出来立てニンジャ達のほうが強いし...。頑張れドゥームゴースト。

今回は2版の体験ソロアドベンチャーということのようで、お昼のキャラメイクのあたりも見ていたのですが、背景タイプのダイスが便利そうで楽しいですね。自分だけで考えると同じような思考のキャラばかりになってしまいそうで、とっかかりが掴めるのがありがたいです。ドゥームゴースト=サンは1と2の複合/中間タイプになるんですかね。従順と諦観かな?裏社会に適正とまではいかなくとも理解があり、ヤクザ文化には馴染んでも心酔まではしていない。もともとの境遇とソウル憑依直後に精神的に叩きのめされた影響で、成り上がることは諦めているため上昇志向に乏しい舎弟タイプ...。ダイスの中ではタイプ6とかかっこいいですよね。タイプ4の全能感サンシタも楽しそう。

最後になりましたが、新年あけましておめでとうございます。今年もどうぞ、よろしくお願いいたします。

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