にしむら

にしむら

マガジン

  • 逆噴射小説大賞2021応募自作まとめ

    どれも気合入れて書きました!ぜひどうぞ!

  • ひとりで楽しむネオサイタマの闇【ニンジャスレイヤーTRPG】

    ダイハードテイルズさんのニンジャスレイヤーTRPGソロアドベンチャーについて、妄想しながらプレイしたリプレイです。主人公はニンジャメーカー製。過酷なネオサイタマで、生きるために頑張っています。

最近の記事

  • 固定された記事

【短編小説】Finder (Full version 2.0)

仕事は順調で、可愛い恋人もいる、幸せな日々。それは記憶を失った私の見る、甘い幻想だった。カメラを通じて切り取られたのは、荒廃した現実の世界。断片的な記憶。私は思い出す。憎き仇の、その姿を。 これは、逆噴射小説大賞2021に応募した「Finder」の完全版です。 【Ver.2.0 UPDATE】全体的に描写が濃くなってわかりやすくなりました! 逆噴射版とは主人公の設定が少し違っているので、一旦リセットして読んで頂けると嬉しいです。 Finder (GYAKUFUNSYA-

    • 永平寺観光ガイド [七堂伽藍]

      1. 山門(さんもん) 道元禅師(以降全人物敬称略)により永平寺の前身である大佛寺が建立されたのは1244年ですが、移転(最初はもう少し山の奥のほうにありました)や火災による消失もあったため、最初期の建物は現在では残っていません。 山門は現在の永平寺の伽藍の中では最も古く、1749年の建築物となっています。 山門は永平寺のいわば正面玄関で、七堂伽藍の中では最下部中央に位置します。 玄関とは言っても住職を除いて通常はここから出入りすることはなく、『永平寺に修行に入る時(上

      • ブラック・タグ

         土砂降りの雨が、コンクリートの外壁をけたたましく打ち付ける。薬品臭く仄暗い一室。二人の男の荒い息遣いが、狭い空間に満ちていた。  大男が口を開く。その長い腕は、白衣の男の首を壁に押し付け、磔にしている。 「おれは『先生』を探している。おまえが、知っていると」  枯れた低音。粘る声が答える。 「躾がなっていないとは思ったが…そうか、お前は、彼女の作品か」  格子窓から雷光が差し込み、大男の姿を映し出す。  怪物じみた岩石色の皮膚が、丸太の如き前腕が、そしてその中ほど

        • ハンドラー・ウォルターとはだれだったのか(アーマードコア6)

           おはようございます。アーマードコア6、非常に良いですね。グラフィックがきれいだしストーリーも濃いめだしACとネクストの中間ぐらいの機動性があってスピード感があるしPCでできるし…。  最初は鬼畜ボスの多さからアーマードソウルかよ!と言われまくり、実際に自分もそう感じたところでしたが、二週目以降の武器も内装も揃って高火力アセンでわからせられるようになってからは、アーマードコア感も増してより楽しくなったなと思いました。あとターゲットアシストの使い方とアサルトブーストの有能さに気

        • 固定された記事

        【短編小説】Finder (Full version 2.0)

        マガジン

        • 逆噴射小説大賞2021応募自作まとめ
          4本
        • ひとりで楽しむネオサイタマの闇【ニンジャスレイヤーTRPG】
          6本

        記事

          銀河スリケン仮説【ニンジャ自由研究】

          1.序論  夏を彩る行事は多い。またそれらには、しばしば神秘的な逸話がつきものである。夏祭り、神輿、ハナビ、オーボン…そして、七夕もその一つだ。私は一ヶ月ほど前に七夕について調査する機会があり、そこで天の川の星景写真に興味を持った。そして自分でも撮影してみたいと思い、それについて調べてみたのだ。  「夏の天の川」を撮影した写真群に写っているのは、正確には「天の川銀河の中心方向」だということだ。我々の太陽系は天の川銀河中心部から伸びる「腕」の途中に位置しており、中心部は直

          銀河スリケン仮説【ニンジャ自由研究】

          【君と、最期のハネムーン】

          「あったよ!たべもの!」  煤塗れの配給棟入口から、彼女が嬉しそうな顔を覗かせる。私は駆け寄った。 「6食分ぐらいかな。災害用のやつだって」  見るからに味気なさそうなクッキーバー。それでも、処理施設を出てから3日、初めて見つけた食料だ。私たちは微笑み合った。  私たちが目覚めた時、世界は既に壊れていた。  アーカイブによると、隕石が運んできた、ガスやらウイルスやらのせいらしい。それが、5年前。 「それじゃあ、乾杯!」  ボトルの蓋を捻った彼女が笑う。私も合わせる

          【君と、最期のハネムーン】

          【狭間に揺らぐ影法師】

           …かあん、…かあん、  法堂から響く殿鐘の音が、夕闇の迫る僧堂に木霊する。  堂内を満たすのは、中央に祀られた聖僧像の、燭台が放つ幽かな灯り。虚ろに照らし出される影は、墨染の袈裟に身を包んだ、無数の修行僧だ。それらは肘を横に張り、掌を胸の前で組んだまま、微動だにしない。  私は同じように整然と立ちながら、左隣に立つ僧に視線を向けた。  一昨日までは、そこには常信が居た。憔悴しきった表情で、私と共に立っていた。  今、その顔には暗く影が落ち、判然としない。  僧堂

          【狭間に揺らぐ影法師】

          ネオサイタマ百物語 #赤い部屋 【ニンジャスレイヤー二次創作】

          都市伝説『赤い部屋』より  とある男が、ネオサイタマ某所の支部に転属が決まり、マンションを借りることになりました。  生活を続けるうち、彼は部屋に小さな穴があることに気がつきます。  それは隣室との境となる壁に空いていて、彼は好奇心から、その穴を覗き込んでみました。すると、穴の向こうは真っ赤でした。  奇妙な部屋だなと、彼は不気味な直感を覚えました。次の日も、また次の日も、彼は興味に誘われるままに、小さな穴を覗き続けました。穴の向こうは、いつでも真っ赤でした。  あ

          ネオサイタマ百物語 #赤い部屋 【ニンジャスレイヤー二次創作】

          永平寺観光ガイド【門前町から傘松閣 編】

          前回記事の最後に書いたように、12月中旬、もう一つの曹洞宗大本山も観光してきました。そこで知ったのですが、以前はあった諸堂案内って、今は行われていないんですね(事前に予約しておくと、修行僧が一人ついて案内してくれるサービス)。修行僧の数が減った影響なのでしょうか...? 總持寺は初めてだったのですが、永平寺は少しだけ知っています。せっかくなので、これから観光に行ってみたい!という人に向けて、簡単な観光案内を作ってみます。 見たこと、聞いたことのほか、一次ソース不在の噂話を

          永平寺観光ガイド【門前町から傘松閣 編】

          曹洞宗大本山 總持寺に参拝してきました

          この記事は、初めて總持寺を訪れて写真を撮ってきたぞ!というだけの、観光の記録です。なにか今日をより良く生きるための思想とかありがたいお話とかは特に書かれていません。気楽にお読みください。 曹洞宗の両大本山がひとつ、總持寺。横浜市のJR鶴見駅から徒歩五分という好立地ながらも今まで特に訪れる機会が無かったのですが、少し用事ができたので、せっかくだからと併せて観光をしてきました。 今回の写真は、Nikon Z6 + NIKKOR Z 28mm f/2.8 SE で撮影しています

          曹洞宗大本山 總持寺に参拝してきました

          私の大好きな学び舎

          _____年卒 3 年__組 氏名__________  私の卒業の時期が来たと、土屋先生からお話を聞き、胸の高鳴りが抑えきれません。大変なこともありましたが、今振り返ると、全て良い想い出です。  はじめての虚像祭の後、一年生の秋からずっと、私は特別学習室で、皆とは離れて勉強していました。  大迫力の後夜祭の儀式の後、忘れ物を取りに行った私は、何かがあって気を失いました。職員室で目が覚めた私を、先生がここに案内してくれました。  霊廟の隣の、鍵のついた扉から降りる地下

          私の大好きな学び舎

          憧れの体育祭

          2008年 3年A組 西村 彰  僕の架高生活で一番の思い出は、三年間打ち込んだ弓道と、その総決算の体育祭です。  中学生の頃、この高校を受験すると決めた時から、受かったら絶対に弓道部に入るぞ!と意気込んでいました。  理由は、体育祭の三年生競技の花形、「部活対抗戦」です。当時、架高のスゴい伝統行事として僕ら一中の男子の間で有名で、学校の毎年のブログ記事を読んでは、そのあまりの凄惨さに、皆で興奮したものでした。  弓を始め、日々の練習で目的としていたのはもちろん、弓道

          憧れの体育祭

          趣味で選ぶ逆噴射ピックアップ読書感想文2021

          逆噴射小説大賞2021、皆様おつかれさまでした。今回はせっかく一緒に躍らせてもらったので、そのテンションの残り火が潰えぬうちに、ピックアップ行為に手を染めたいと思います。理由は楽しそうだったからです。個人的な、癖に刺さった作品群のピックアップ感想文となります。もし致命的な解釈違いとかおこしてたら教えてください。 具体的な内容に触れずに感想と妄想を書けるようなワザマエは持ち合わせていないので、以降はネタバレだらけです。それぞれの投稿作品読了後に読んでいただければ、とてもありが

          趣味で選ぶ逆噴射ピックアップ読書感想文2021

          初めての逆噴射小説大賞《2021》参加の感想と、応募作あとがき

          逆噴射小説大賞に初参加するまでの道のり お世話になっております。このたび初めて、この『逆噴射小説大賞』に応募させて頂きました。抱負としていた2作品の提出を終えたので、感想を記録しておきます。結論から言うと、何が書けるか正直不安でしたが、やってみると意外なほどに楽しく作ることができました。ありがとうございます。 このコンテストの存在を知ったのは、ほぼ一年前、逆噴射小説大賞2020開催決定の報によるものでした。あの『ニンジャスレイヤー』を擁するダイハードテイルズさんの主催する小

          初めての逆噴射小説大賞《2021》参加の感想と、応募作あとがき

          Finder

           ふと思い立って、押し入れからカメラを引っ張り出した。きっかけは単純で、昨日、ビルの谷間から覗く夕陽が、とても綺麗に見えたからだ。  憧れのままに奮発した、フルサイズ・デジタル一眼レフ。結局、上手く使えずにしまい込んでしまったのだが。思い出と苦手意識が蘇る。  『目で見たまま』を捉えることは難しい。デジタルカメラはどこまでも0と1の機械で、物理世界の事象をそのまま切り取る。対して人は、視細胞の電気信号を基に、脳が勝手に映像を補正する。感情や思い込みは容易に現実を捻じ曲げ、

          灰燼よりうまれた獣

           狭苦しいコックピットの足元から、発動機のくぐもった高音が響き始める。操縦桿から伝わる拍動。右手元のガラス質の燃料槽では、深紅に輝く流動体が静かに揺らめいている。頸椎に浸入した針が熱を帯び、鋼の巨人の眼が、俺の視界に重なった。  目標地点上空、警報と同時に、無人輸送機に無数の穴が穿たれる。30ミリ機関砲弾。こいつには豆鉄砲だ。有機的に艶めく装甲が軟質に歪み、衝撃を逸らす。俺は炎上する輸送機の壁を抉じ開け、5メートルの身体を宙に躍らせた。  攻撃機に飛び付き、爪で切り裂く。金

          灰燼よりうまれた獣