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(第8回 新千歳空港国際アニメーション映画祭感想)(4/6)スペシャル・トーク: アニメーション監督 平尾隆之× 声優 小原好美&木島隆一「ポンポさんの、ニャリウッド式 演技論」

はじめに

全体的には平尾監督、ポンポさん役の小原さん、アラン役の木島さんによるトークセッションということで、各々が作品に臨んだときの想いのようなものが強く感じられてファンとしてはとても興味深いセッションでした。

ポンポさん関連の逸話のような部分は色々なメディアに取り上げられたりしており、それらを逐一拝見していたので答え合わせのような部分も個人的にはありました。
それでも皆さん一人一人が自分と配役との重なり方や向き合い方を嘘偽りなく話されているのがどことなく伝わってきて、同じエピソードを何度聞いても本編と同様に励まされるような思いがあり、作品に向ける熱意が自分にも伝播していくような感覚がありました。

好きなシーンやセリフ

好きなセリフや好きなシーンはキャラクターの個性もあり面白かった。
木島さんがアランの「夢を追う人を手助けするのが銀行マンの役目なんじゃないか」というセリフから自分自身のあり方を見つめ直す、気付くというシーンも演じた本人ならではでもあるし、ご自身のバックボーンとも繋がっているのかと思ったりしてグッと来ました。
小原さんの「幸福は創造の敵」は作品を代表する一節で、ものづくりをする人間にとって幸福=現状への満足とすると永遠に向き合わないといけない課題とも感じで共感とともに重く感じます。

個人的にはポンポさんとアランが手を取り合ったときにポンポさんが放った「ようこそ、夢と狂気の世界へ」というのが一番好きなシーンで、ここをきっかけに全てが変わっていく転換ポイントだと考えています。
そして、創造・クリエイティブの世界というどこか狂ってしまわないと辿り着けない領域に対して、一歩引いていたアランがそこに足を踏み入れてしまったという場面で何度見ても胸が熱くなります。

それぞれのターニングポイント

小原さん、木島さん、平尾監督、それぞれが色んな作品や時間を経ていった中でも、やっぱり人との出会いや自分が置かれた環境そのものが結果として自分を形作る・成長させることに繋がっていったという印象でした。

もしかしたら他のメディアでも言っていたのかも知れないのですが、監督と編集の今井さんから作中ポンポさんがジーンに言った「監督になったじゃない」はご自身でも言われたことがあるというエピソードがとても好きで、思わず目頭が熱くなりました。
その立場、監督になったから監督としての立ち振舞ができるわけではなく、色んな経験を積み重ねて少しずつ歩んでいった結果、目指すものになっていくのかなと自分とも少し重ねてしまいましたね…。

まとめ

この作品について、自分個人としては非常に大好きで色んな人に見て欲しいのですが、別に絶賛してほしいわけではないという珍しい感情をもっています。
「全然合わなかった」「好きじゃなかった」などなんでもいいのですが、この作品を見てどう思ったのかをすごく知りたくなるような作品だと思っています。
なので、今回は平尾監督と小原さん、木島さんの3名でしたが、一つの作品を作るためのドラマというか、作品やその中にいるキャラクターたちに命を吹き込む方々の作る側としても視聴者側としても色んな視点で物事を語ってくれたのが嬉しい。
当然ですがこの作品を作っている方々は他にもいて、それぞれまた違った気持ちでポンポさんという映画を作っていて、そして観ているはずなので機会があればもっと色んな方々の話を聞いてみたくなるようなセッションでした。


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