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大徳寺納豆

僕は、大徳寺納豆(塩納豆)で有名な京都の大徳寺に向かっていた。

 その途中で『塩納豆』とそのルーツである『豆豉(トウチ)』の特徴を整理する。
 
【豆豉(トウチ)】中国の薬味。中華の隠し味というだけあって、噛むと旨味がじわじわ口に広がる癖モノの妙味がある。豆味噌と違って塩味が強く酒肴としては厳しそう。

【塩納豆】豆豉をもとに日本で発展した粒状の塩大豆麹食品。半グレの乳酸菌と酵母菌が金属バットで窓ガラスをバリンバリン叩き割っていくような大豆界の口内暴力。慣れるまでは(ウマイマズイの)判断すら難しい納豆ラビリンス。お粥、お茶漬け、お茶請けに最適。

 写真の皿に乗っている、向かって左半分が『塩納豆(大徳寺)』

 そして右半分が、そのルーツである中国の『豆豉(トウチ)』である。

 豆味噌はペースト状の硬くて黒い味噌であるが上記の2種類は粒状である。

 ところで、なぜ570年もの間、塩納豆は豆味噌のようなペーストではなく粒状のまま受け継がれて来たのだろう。

 豆味噌も塩納豆も『硬くて黒い』のは一緒だが豆味噌の方が圧倒的に使い勝手が良い。

 中華料理とは、正反対とも言える精進料理の世界に於いて使い勝手の限られる『より硬くて、粒状に黒い』塩納豆の謎!

 余談だが僕は、夏の砂浜でビーチバレーを男女で楽しむ『硬くて黒い男』が苦手だ。

 硬くて黒い男に『白い歯と金のネックレスと、ロケット花火』が加わると、もっと苦手だ。

 僕にとって『硬くて黒い』のが、許されるのは『豆味噌』だけなのだ。

 『神様、どうか次は(肌がほどほどに)黒くて(ほどほどに腹筋が割れて)硬い方の人生でお願いします。』

 あろうことか大徳寺で、お願いしたのは、つい出てしまった本音とエゴ丸出しの来世であった。

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