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月見そばで月見酒

僕は、まじまじと蕎麦屋で考えていた。
『月見』はイベント(遊び)である。

そのイベントが蕎麦の名前になった粋なメニューが『月見そば』である。

平安時代からの遊びであるという『月見』だけれども、これを実際やってみると『雪見』同様、5分くらいで飽きてしまう。

そこで『月見』というイベントを盛り上げるためのアイテムがお酒であり、お団子なのだ。

逆に言えば『お月見』は月見酒や月見団子を頂く為の、ある種の口実に使われたのだと思う。

例えば江戸時代、大店の旦那は番頭さんから丁稚にいたるまでの奉公人を労うため、お酒や団子を振舞う『お月見』の機会を大切にしていたという。

こんな話をなぜするのか。

実は昨晩、そんな風情を垣間見るような名月の『月見そば』に出会った。

それで僕は興奮のあまり、思わずお燗酒を追加でお願いしたくらいなのだ。

大人数での『月見酒』は、まだまだ世間的に難しい昨今、こんな蕎麦屋での『月見酒』ならしみじみ嬉しいのであった。

(その後、頂いた『月見そば』の画像を解析した結果、これはどう見ても『山かけそば』であり『月見そば』ではない事実が判明しました。人間の記憶ってあやふやなものですね。)

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