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カラオケ酒場は宝箱

【書けなかったこの2年間のこと⑧】

 江戸川区の平井に引っ越した僕はカラオケ居酒屋こそ友達作りの宝箱である事を知った。

 僕の【ちょうどいい具合の音痴】が店の常連達に好評だったのだ。

 毎週土曜日の夜、カウンターだけのカラオケ居酒屋に僕は飛び込む。勇気を出して。

 そして焼酎のお湯割り片手にマイクの順番を待ち、尾崎豊、河島英五、松山千春、浜田省吾のいずれかを【ちょうどいい具合の音痴】で唄いあげるのだ。

 つまりこの場所でのセーフティキーワードは【路地裏、場末、大空と大地、苦悩と孤独、そして自分より音痴】

 『小林くんの唄はちょうどいいじゃない』
 そう常連に言われる事がすなわち飲み仲間として認められた事を暗に示唆していた。

 一方で、サザン、チューブ、小室ファミリーは常連客の雰囲気を悪くさせた。

 なるほどNGワードは【常夏のビーチ、そうよtry me、人生の宝探し】なのだと確信する。

 店では色々な街の情報を常連客から入手できるようになった。

このカウンターが僕のいつもの席だ。
いつもの店のいつもの席のいつものツマミが僕の居場所だった。だけど、この高麗人参酒はいつ減るんだろう?
そしてオート取り出し機能が搭載された爪楊枝箱。

 その中の一人である“もとちゃん“とは、同じ年な事もあって楽しく飲めた。

行きつけのカラオケ居酒屋では、お腹が空いていると言ったらほとんどの場合目玉焼きとソーセージが提供される。
時には、ハムと目玉焼き。サラダが添えられる事に大いなる優しさを感じていた。
ソーセージ率高すぎるけれど、元気を出して!
という、店のママの愛情をしみじみ感じる。

 そんなある日の夜。
 “もとちゃん“が僕の運命を大きく変えるトピックを教えてくれるのであった。

 という事でカラオケ居酒屋での熱唱、張り切ってどうぞ!

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