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ヨイキゲン酒造

さて、お正月からずっとこのような旅をしていると、ふと突然の夕立のような寂しさが込み上げてくる。

 『つーか、だったらお前、早く帰れよ!』という話なのだが、そうなればなったで、また寂しいのであった。

 そんな僕を岡山県総社市清音にあるヨイキゲン酒造のご当主、渡辺信行さんが
昔と変わらぬ優しさで迎えて下さった。

 お蔵では銘酒『酔機嫌』の歴史と現在までの物語をお話頂き、後半は雄町を中心とした碧天シリーズを倉敷の名店『備中の地酒バル 粋酔日』で勉強させて頂いた。(オススメです)


 岡山の十八番である雄町は豊満で色彩豊かな味わい。のびやかな旨味のバランスでオマチストなるファンを増産し続ける横綱的存在のお米である。

 土地の風土で親しまれる酒肴を頂きながら
 ここで育った米、ここで歴史を刻んだ蔵元の酒を満喫する。

 これ以上の贅沢はとても思いつかない。

 僕は、渡辺さんの真摯な酒への想いと哲学に触れて、改めてファンになった。

 そして途中から、ニヒルな笑みと仕草が(どことなく同世代の)吉田栄作に見えてくるのである。

 すっかり昔話で盛り上がった翌日、その事を本人に伝えたところ、爽やかに否定されていらっしゃった。

 いや、そんな筈はないとツーショット写真を見なしてみたら、なるほどやっぱり、お酒のせいだったのかもと思った。



(でも、どこかがなんか似てる!ヨイキゲンは料理と人の持ち味をも引き出すお酒であった。)

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