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俺のたっちゃんはフィレモンを殴らなかった〜ペルソナ2罪〜

ペルソナ2罪 1999年発売 アトラス

ちまちま進めていたペルソナ2をクリアした。人気ジュブナイルRPGの第二弾。スタイリッシュになった3作目以降の人気がすごいが、自分たちの過去と向き合う本作もやりごたえ十分だ。
”噂“を操作するシステムも、不安定で刺激的な思春期の主人公達にピッタリな要素だ。
主人公(デフォルトネームは周防達哉、通称たっちゃん)は、呪われたエンブレムを持つという七姉妹学園に通う高校生。たっちゃんに想いを寄せるリサ(ギンコ)やライバル視する栄吉(ミッシェル)らとのドタバタの最中、謎の男フィレモンにペルソナの力を授かる。
そして自分達の過去に起因する試練に、悩みながらも立ち向かっていく。

ペルソナシリーズのように主人公が喋らないタイプのゲームは、自己投影が肝となり、プレイヤーの数だけ主人公像が出来上がる。そういった意味で俺のたっちゃんは、栄吉に、リサを二人で助けようと言われても断ったし、終盤のアイテム取り忘れでペルソナが覚醒しなかったしで、なんとも締まらなかった。顔グラはあんなにカッコよくて強そうなのにね。

ストーリー中盤から、たっちゃん達の幼少期に経験したトラウマにスポットが当たり、物語の核心に迫っていく。
「幼少期のトラウマ」がキーになる作品には名作が多いと思う。子供のころは感受性が豊かだし、トラウマが後の人生に影響を与え、そして大人になってからも、知ってか知らでかその人の行動指針、行動原則になっていたりするからだ。
火傷の経験から火の扱いが慎重になる、不審者に声かけられてから夜道は歩けない、などなど。
そして行動指針がアクションを決定づけて物語が進行していく。
だからトラウマを上手く物語に組み込めると、多くの人に刺さる作品になる。こういうのはヘルマンヘッセとか太宰治が特段上手な気がする。

俺の“たっちゃん”もなんとか過去を受け入れ、乗り越え、ラスボスを倒せた。途中何度も倒れたし、すんなりとは進まなかったが、最後の選択肢ではフィレモンを殴らなかった。自分達を巻き込んだ、とも言えるキーパーソンの一人を。
理由は自分でもよく分からないが、優しい“たっちゃん”でいて欲しい。そんな気がした。

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